LETTERS IN THE SKY / SHII'S JOURNEY
朝の庭に、宛先の書かれていない一通の手紙が落ちていました。
誰が書いたのか、どこへ届ければよいのか、じむいん しーちゃんにも分かりません。
それでも、誰かを想って生まれたものなら、きっと帰る場所がある。
白い鳩のじむいん しーちゃんが風の道をたどり、想いを光へ変えて届ける、三つの空の物語です。

THE LETTER WITHOUT AN ADDRESS
第一部|宛先のない手紙
朝露が まだ白く光る庭で
じむいん しーちゃんは 一通の手紙を見つけた 封は閉じたまま
宛名も 住所もない
けれど 胸にそっと寄せると
小さなぬくもりが伝わってくる たぶんこれは
急がなくてもいい言葉
忘れないでほしい気持ち
遠くにいても そばにいたいという願い じむいん しーちゃんは
中をのぞかず
書いた人の大切を
大切なまま運ぶことにした 白い翼をひらくと
庭の花びらが 一枚
行く先を示すように空へ舞った

THE ROAD THE WIND KNOWS
第二部|風が知っている道
空には 道しるべがない
でも風は すべての窓辺を知っている 川の上を渡る やわらかな風
丘を越えていく 草の香り
洗いたてのカーテンを揺らす 午後の風 じむいん しーちゃんは
手紙のぬくもりが強くなる方へ
ひとつずつ 風を選んで飛んだ 陽ざしが強くなると
雲が 白いやすらぎをつくり
迷いそうになると
金色の光が 翼の先に灯った まっすぐでなくてもいい
遠回りにも
出会える景色がある そうして夕暮れの向こうに
ひとつの窓の明かりが見えてきた

WHERE THE FEELING BECOMES LIGHT
第三部|想いが光になる場所
その窓辺には
手紙を待っていたわけではないけれど
誰かを思い出すたび
空を見上げる人がいた じむいん しーちゃんが そっと降りると
封のすき間から
淡い光が静かにこぼれた 誰の名前も呼ばないまま
光は部屋を満たし
遠くの誰かと
ここにいる誰かのあいだに
細い空の道を結んだ その人は
手紙を胸にあて
「ありがとう」とだけ
小さく空へ返した 返事は 言葉ではなく
窓から飛び立った
一枚の光の羽になった じむいん しーちゃんは
その光を次の空へ運ぶため
朝の方へ羽ばたいた