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介護保険サービス利用時に申請で得られる給付・減免・税制優遇制度

介護保険利用者のための給付・減免・税制優遇ガイド

この記事の要点まとめ

この記事では、介護保険サービスを利用している方と、働きながら家族を介護している方に向けて、費用や仕事の負担を軽くできる制度を紹介します。対象条件や申請先は制度ごとに異なります。

介護費用の軽減制度に加え、介護離職を防ぐための休業・休暇・働き方の制度も確認できます。

  • 高額介護(予防)サービス費:介護保険の自己負担が月上限を超えた場合の払い戻し。横浜市では、初回申請後の2回目以降は原則として同じ口座へ振り込まれます。
  • 高額医療・高額介護合算制度:医療保険と介護保険の年間自己負担を合算して上限超過分を支給(毎年8月~翌年7月計算)。
  • 負担限度額認定(補足給付):施設入所・ショートステイ利用時の食費・居住費(滞在費)を所得・資産要件により軽減。
  • 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度:低所得者を対象とする介護サービス費・食費・居住費の一定割合軽減。
  • 医療費控除(介護保険サービス):居宅サービスは“医療系+併用条件”の判定が要点。領収証に対象額が記載される。
  • おむつ代の医療費控除:令和6年10月改正により、市町村確認書や主治医意見書の写しで適用可能になるケースがある。
  • 障害者控除対象者認定書:要介護認定だけでは控除対象になりません。65歳以上で障害の程度が一定基準に準ずると市区町村長等に認定された場合は、障害者手帳がなくても控除を受けられることがあります。
  • 仕事と介護の両立支援:介護休業・介護休暇・短時間勤務・残業免除などを組み合わせ、介護離職を防ぐための体制を整えます。

まず知っておきたいこと

対象となる方と自己負担のしくみ

この記事が主に対象としているのは、要介護・要支援認定を受け、介護保険サービス(居宅、地域密着、施設、介護予防・総合事業を含む)を利用している方と、そのご家族です。仕事と介護の両立支援制度は、働きながら対象家族を介護する方が利用できます。介護保険の利用者負担は原則1割ですが、所得等の条件により2割または3割となります。
この「負担割合」は、月上限払い戻し(高額介護サービス費)・年上限合算(高額医療・高額介護合算)・医療費控除計算に連動するため、各年の「介護保険負担割合証」等の把握が起点となります。

申請の時効・遡及の実務注意

介護保険給付を受ける権利には消滅時効が関係し、給付の追加支給は一定期間に限られます。また、自治体独自助成(おむつ・介護用品等)は「申請月以降のみ」を要件とする例が多く、遡及不可を明記する自治体が多いため早期の申請が重要です。

主要制度一覧(表A)

制度名 管轄 主な給付・要件 申請窓口
高額介護(予防)サービス費 国(介護)+市区町村 月の自己負担合計が所得区分別上限超過で、超過分を支給。上限例:44,400円等(世帯)。 市区町村の介護保険担当
高額医療・高額介護合算制度 国(医療+介護)+保険者 1年(8/1~7/31)の医療+介護自己負担合算が基準額超過で支給。 基準日加入の医療保険窓口
負担限度額認定(補足給付) 国(介護)+市区町村 施設・短期入所の食費・居住費を軽減。預貯金等基準あり。 市区町村の介護保険担当
社会福祉法人等による利用者負担軽減 国+市区町村+実施法人 市民税非課税等で生計困難な方へ、サービス費・食費等を原則1/4軽減。 市区町村+対象サービス提供法人
住宅改修費支給 国(介護)+市区町村 支給限度基準額20万円。事前確認・理由書・見積・写真等が必要。 市区町村の介護保険担当(事前)
特定福祉用具購入費支給 国(介護)+市区町村 年度上限10万円(購入額)。指定事業者からの購入が要件。 市区町村の介護保険担当

介護保険での申請・減免・給付制度

高額介護(予防)サービス費
管轄
国(介護保険制度)/市区町村(保険者)が支給事務。
対象要件
同一月の介護保険サービス等の利用者負担(1~3割)の合計が、所得区分に応じた月上限を超えること。(食費・居住費や住宅改修等は対象外)
受給内容
上限超過分を支給。上限の例:世帯区分により140,100円/93,000円/44,400円/24,600円等。
申請手続
対象者に申請書が送付され、横浜市では初回に申請し、2回目以降は原則として同じ口座へ振り込まれます。他の自治体では取扱いが異なるため確認してください。
高額医療・高額介護合算制度
管轄
国(医療保険+介護保険)/申請窓口は医療保険の保険者。
対象要件
同一世帯で、1年間(原則8月~翌7月)の医療・介護自己負担合算が、所得区分別の基準額を超えること。
申請手続
基準日(7/31)時点の加入医療保険へ申請。保険者変更がある場合は自己負担額証明書等が必要。
負担限度額認定(補足給付)
管轄
国(介護保険制度)/市区町村(保険者)。
対象要件
施設・ショートステイ利用者のうち、世帯全員が市町村民税非課税で、預貯金等が所得段階、年齢、配偶者の有無などに応じた基準以下であること。
受給内容
食費・居住費(滞在費)を段階別の「負担限度額」までに抑える。※令和6年8月に居住費が改定。
社会福祉法人等による利用者負担軽減制度
対象要件
市町村民税非課税世帯で、収入・資産・扶養状況等の条件を満たし生計困難と認められる者。
受給内容
原則として利用者負担の1/4(老齢福祉年金受給者は1/2)を軽減。免除は扱わない。
注意点
軽減を実施していない法人・事業所が存在し得るため、利用先への確認が必要。

医療保険・関連制度での申請・減免

高額療養費制度(医療保険)
管轄
国(医療保険制度)/加入医療保険の保険者。
対象要件
同一月の医療機関窓口での自己負担が高額となり、所得・年齢区分の限度額を超える場合。
注意点
マイナ保険証を利用できる医療機関では、原則として認定証を提示せずに窓口負担を限度額までに抑えられます。利用できない場合などの手続きは、加入している医療保険へ確認してください。

介護離職を防ぐために使える制度

家族の介護が始まっても、すぐに退職を決める必要はありません。介護休業は、ご自身だけで介護を続ける期間ではなく、地域包括支援センターやケアマネジャーへ相談し、介護サービスや家族の分担を整えて、仕事と介護を両立できる体制をつくるための準備期間として活用できます。

介護休業と介護休業給付金
取得できる期間
対象家族1人につき3回まで、通算93日まで。希望する開始日の2週間前までに勤務先へ申し出ることが原則です。
給付金
雇用保険の被保険者で一定の条件を満たす場合、原則として「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」を基に算定した介護休業給付金を受けられます。給付額には上限があり、休業中の賃金によって減額・不支給となる場合があります。
介護休暇

通院の付き添い、介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの打ち合わせなどに利用できます。対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日まで、1日または時間単位で取得できます。年次有給休暇とは別の制度ですが、有給か無給かは勤務先の規定によります。

短時間勤務・残業や深夜勤務を減らす制度

勤務先には、短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護サービス費用の助成などから少なくとも1つの制度を設ける義務があります。一定の条件を満たす方は、残業免除、時間外労働を月24時間・年150時間以内にする制限、午後10時から午前5時までの深夜勤務の制限も請求できます。対象条件や申出期限は勤務先へ確認してください。

2025年4月から会社の対応も強化

介護に直面したことを申し出た従業員に対し、事業主は制度・申出先・介護休業給付金を個別に案内し、利用の意向を確認する必要があります。研修や相談窓口など利用しやすい職場環境の整備も義務となり、介護のためのテレワーク導入は努力義務となっています。

仕事を辞める前に確認すること

  • 勤務先の人事・労務担当者へ、家族の介護に直面したことを伝える。
  • 介護休業、介護休暇、短時間勤務、残業免除などの社内制度を確認する。
  • 地域包括支援センターやケアマネジャーへ相談し、介護サービスと家族の分担を整える。
  • 介護休業給付金と介護費用の軽減制度を確認する。

介護と仕事の両立について相談するケアマネジャーに相談できること厚生労働省の仕事と介護の両立支援制度

税制優遇・非課税措置の整理

控除名・特例 対象と要件 計算例・上限(概念) 必要書類等
医療費控除
(介護保険居宅サービス)
医療系(訪問看護等)+併用条件の福祉系が対象。生活援助中心型等は対象外。 医療費控除全体枠で整理。高額介護サービス費の戻り分は差し引く。 領収証(医療費控除対象額の記載あり)
おむつ代(医療費控除) 寝たきり度・失禁等要件を満たす者。 医療費控除枠内。※令和6年10月改正あり。 おむつ使用証明書/主治医意見書の写し/市町村確認書等
障害者控除 本人/同一生計配偶者/扶養親族が対象。 障害者27万円、特別障害者40万円。同居特別障害者75万円は、同一生計配偶者または扶養親族が該当する場合の控除額。 障害者手帳、または自治体の「障害者控除対象者認定書」
社会保険料控除 自己または同一生計親族の負担すべき社会保険料(介護保険料含む)を支払った者。 支払額全額(年金特別徴収の場合は本人控除のみに留意) 保険料納付額が分かるもの
住宅改修関連税制 一定のバリアフリー改修を行った自己居住家屋(所得税・固定資産税)。 固定資産税は翌年度分1/3減額等。要介護認定者が要件に含まれる。 増改築等工事証明書等

おむつ代の医療費控除(令和6年10月改正点)

2024年10月の取扱い改正により、初めて控除を受ける年でも、一定の要件を満たす主治医意見書に基づく市町村確認書等を「おむつ使用証明書」に代えられる場合があります。初年度と2年目以降では確認要件が異なるため、市区町村へ確認してください。

障害者控除と「障害者控除対象者認定書」

要介護認定を受けただけでは障害者控除の対象になりません。65歳以上で、障害の程度が一定基準に準ずると市区町村長等の認定を受けた場合は対象となります。認定方法は市区町村へ確認してください。

市区町村独自のサポート・割引サービス(よくある例)

お住まいの市区町村が独自に行っているサポートです。地域によって対象となる方や金額が異なるため、必ず役所の窓口やホームページ等で確認してください。

横浜市・川崎市・大田区・品川区の違い

介護休業や介護休暇など勤務先で利用する制度は全国共通です。一方、紙おむつ、見守り、家族介護者への支援は自治体ごとに対象要件や内容が異なります。次は2026年7月29日時点の主な例です。

自治体 介護の相談窓口 紙おむつ等の主な例 特徴的な支援・注意点
横浜市 地域ケアプラザの地域包括支援センター。福祉・保健の専門員が無料で相談。 在宅で寝たきり・認知症の要介護者が対象。要介護度、世帯の課税状況などの条件があり、月の上限は状態により6,000円または8,000円、原則1割負担。 対象要件と申請先は各区福祉保健センターへ確認。
川崎市 住所ごとの地域包括支援センター。 原則65歳以上の在宅で要介護3~5、紙おむつが必要な方。月6,000円を上限に給付し、利用者負担率は課税状況等で異なる。 緊急通報は携帯型と自宅設置型があり、利用前に地域包括支援センターの調査が必要。
大田区 住所ごとの地域包括支援センター。 要介護3~5、または要介護1・2で医師が必要と認めた方など。月500点(1点10円)まで区が負担。 要介護3~5で家族が在宅介護している場合、介護保険外の内容を含む家族介護者支援ホームヘルプサービスがある。
品川区 地区ごとの在宅介護支援センターが総合相談を受付。 在宅の要介護3~5で常時おむつが必要な方への支給や、入院中の紙おむつ代助成がある。詳細要件は窓口で確認。 救急代理通報システムはペンダント、生活リズム・火災センサー等で通報し、支え愛・ほっとステーションまたは在宅介護支援センターへ申請。

比較するときの注意:「同じ要介護度なら同じ支援」ではありません。年齢、在宅・入院・施設の別、所得・課税状況、同居状況、医師の確認などで対象が変わります。転居や保険者変更がある場合は、新しい自治体へ改めて確認してください。

介護用品・紙おむつの支給・助成

対象要件: 在宅(施設入所者除外)、要介護度(例:要介護3~5等)、失禁・寝たきり状態、所得段階。
注意点: 適用開始時期は自治体によって異なります。対象になりそうな場合は、早めに自治体へ確認してください。

緊急通報・見守り(救急通報装置貸与等)

対象要件: 65歳以上のひとり暮らし等で、健康不安がある者。
内容: ペンダント型ボタン等の貸与。所得段階により利用料が免除・減額される場合があります。

よくあるご質問(FAQ)

高額介護サービス費は毎月申請が必要ですか?
自治体によって取扱いが異なります。横浜市では、初回申請後の2回目以降は原則として同じ口座へ振り込まれます。
負担限度額認定(補足給付)は、施設入所後に申請してもよいですか?
認定の開始時期や過去にさかのぼれるかは自治体によって異なります。施設やショートステイを利用する前に、市区町村へ確認してください。
介護保険サービスのうち、医療費控除の対象になるものが分かりません。
医療系(訪問看護等)は対象、福祉系は「医療系と併用している場合」に対象となります。基本的には、お手元の介護保険領収証の「医療費控除対象額」欄に記載された金額を合算して計算します。

申請の流れと、今すぐできること

  1. 領収証、負担割合証、通帳など手元の書類を整理する。
  2. 市区町村、加入している医療保険、勤務先など制度ごとの窓口へ確認する。
  3. 申請書と必要書類を提出する。審査や振込までの期間は制度・自治体・書類の状況で異なります。
  4. 決定通知や認定証を保管し、適用開始日と有効期限を確認する。

まとめ:今日からできる、お金の負担を軽くする4つのこと

介護保険の負担軽減、税金の控除、市区町村独自の助成のうち、条件に合う制度を利用すると、費用負担が軽くなる場合があります。

まず始めに確認したい4つのポイント:
(1) 毎月の領収証を確認し、「高額介護サービス費」などの払い戻しの対象にならないかチェックする。
(2) 施設やショートステイを利用する場合は、食費などが安くなる「負担限度額認定」を早めに申請する。
(3) 確定申告に向けて、医療費控除の対象額を確認し、「おむつ使用証明」や「障害者控除認定書」の準備を始める。
(4) おむつ代の助成など、お住まいの市区町村独自の制度がないか役所のホームページ等で確認し、必要になったらすぐに申請する。

本記事の位置づけ・出典・監修

本記事は介護保険サービス利用時の給付、負担軽減、税制上の取扱いを一般向けに整理した解説です。申請要件、所得区分、対象サービス、税務上の判断は個別事情により異なるため、自治体・税務署・専門職へ確認してください。

最終更新日:2026年7月29日

確認・監修:きてケアプランセンター(居宅介護支援事業所・事業所番号1470602754)

主な一次情報・参考資料:

きてケアプランセンターは、合同会社Kite art factoryが運営する横浜市保土ケ谷区天王町の居宅介護支援事業所です。介護保険事業所番号は1470602754です。介護相談・ケアプラン作成・要介護認定申請・退院前後の相談は、お問い合わせページからご相談ください。