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生活保護制度について

生活保護制度の仕組み、利用できる扶助の内容、申請から決定までの流れをわかりやすく解説します。生活にお困りの方やご家族が、必要な支援へつながるための基礎情報をご案内します。

生活保護制度をわかりやすく解説

生活保護制度を、申請・生活・医療・介護までわかりやすく

生活保護は、収入や資産、年金・手当などを活用しても生活を維持できないときに、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を支える制度です。このページでは、制度の基本から申請、調査、8つの扶助、医療扶助・介護扶助、資産や収入の考え方、よくある疑問までを整理します。

はじめに|「当てはまるか分からない」段階でも相談できます

生活保護を利用できるかどうかは、病名や年齢、失業の有無だけで決まるものではありません。世帯の人数、地域、年齢、住まい、必要な医療や介護、収入、資産、利用できる他制度などを確認し、国が定める最低生活費と世帯収入を比較して個別に判断されます。

大切な点:必要書類がそろっていない、住む場所がない、同居していない親族へまだ相談していない、持ち家があるといった事情だけで、申請そのものができなくなるわけではありません。生活が差し迫っているときは、現在いる地域を所管する福祉事務所へ早めに相談してください。

このページの目次

  1. 第1章 生活保護制度とは
  2. 第2章 生活保護を受けられる人
  3. 第3章 保護が適用されない場合
  4. 第4章 申請から開始まで
  5. 第5章 調査で確認されること
  6. 第6章 扶養照会とは
  7. 第7章 生活を支える8つの扶助
  8. 第8章 医療扶助
  9. 第9章 介護扶助
  10. 第10章 資産・自動車・持ち家
  11. 第11章 収入申告
  12. 第12章 ケースワーカー
  13. 第13章 よくある質問
  14. 第14章 相談窓口

第1章 生活保護制度とは

制度の目的

日本国憲法第25条は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を定めています。生活保護法は、この理念に基づき、生活に困窮する方へ必要な保護を行って最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。

ここでいう「自立」は、就職して保護を利用しなくなることだけを意味しません。病気の治療を続けて健康を回復すること、介護サービスを利用して自宅で安全に暮らすこと、家計や生活リズムを整えること、社会とのつながりを取り戻すことなども含め、世帯の状況に応じた支援が行われます。

最低生活費と収入の差を補う仕組み

保護費は、厚生労働大臣が定める基準によって計算した最低生活費と、世帯の収入を比較して決まります。最低生活費より収入が少ない場合、原則としてその不足分が保護費として支給されます。最低生活費は全国一律の定額ではなく、地域、世帯人数、年齢、住居費、障害や子育てなどの事情によって変わります。

他法優先の原則

生活保護では、年金、雇用保険、傷病手当金、労災保険、児童手当、児童扶養手当、障害福祉サービス、介護保険など、他の法律や制度による給付・サービスを利用できる場合は、原則としてそれらを先に活用します。これを一般に「他法優先の原則」といいます。

ただし、他制度を申請できることと、現在の生活が維持できることは同じではありません。他法優先は、生活保護の申請を他制度の決定まで待たなければならないという意味ではありません。他制度の決定まで時間がかかる、給付額を加えても最低生活費に届かない、今日の食事・住まい・治療に困っているといった場合は、その状況を福祉事務所へ伝えます。他制度を利用したうえで不足する部分を生活保護が補う場合や、後日の遡及給付と保護費を調整する場合があります。

最低生活費はどのように組み立てる?

最低生活費は、食費や光熱水費等に対応する生活扶助だけを指すものではありません。家賃が必要な世帯には住宅扶助、義務教育中の子どもがいる世帯には教育扶助、治療や介護が必要な方には医療扶助・介護扶助など、世帯の実際の必要に応じた扶助を組み合わせて算定します。

生活扶助には、年齢別の個人的経費に対応する部分と、光熱水費等の世帯共通経費に対応する部分があります。さらに、地域の生活水準や物価差を反映する級地区分、世帯人数、冬季の暖房需要、妊産婦、障害、ひとり親、児童養育などの事情に応じた加算が関係する場合があります。インターネット上の簡易計算だけで正確な可否や金額を確定することはできません。

「自立」は三つの面から考えます

経済的自立

就労、年金・手当の受給、家計改善などにより、自分の収入で生活できる範囲を広げることです。病状や年齢に合わない就労を一律に求めるものではありません。

日常生活自立

治療を続ける、服薬や金銭を管理する、介護サービスを利用して安全に暮らすなど、毎日の生活を安定させることです。

社会生活自立

家族、地域、医療・介護機関、就労支援などとのつながりを保ち、孤立を防ぎながら地域で生活することです。

世帯ごとの目標

どの自立を優先するかは世帯によって異なります。ケースワーカーと現状を整理し、実行可能な目標を段階的に確認します。

このページは制度の一般的な解説です。具体的な保護の要否、金額、資産保有、医療・介護の利用方法は、福祉事務所が世帯ごとの事情を確認して判断します。

用語の補足

※最低生活費:国の基準を基に、その世帯が最低限度の生活を営むために必要と計算される額です。

※他法優先:年金や手当、医療・介護・障害福祉など、利用できる他の法律・制度を先に活用する考え方です。

※補足性の原理:資産、能力、他制度等を活用しても不足する生活を、生活保護が補うという原則です。

※自立の助長:就労だけでなく、健康や日常生活、社会とのつながりを整え、その方らしい生活を支えることです。

第2章 生活保護を受けられる人

生活保護は「失業者だけ」「高齢者だけ」を対象とする制度ではありません。世帯全体で利用できる資産や能力、年金・手当などを活用しても、収入が最低生活費に満たない場合に適用が検討されます。働いている方や年金を受け取っている方でも、その収入だけで最低生活費をまかなえないときは対象になり得ます。

失業・休業した方

雇用保険、傷病手当金、労災保険など利用できる制度を確認します。それらを利用しても生活費が不足する場合や、給付開始まで生活できない場合は、世帯の状況を踏まえて判断されます。

高齢者・年金生活者

年金は収入として扱われますが、年金額が最低生活費を下回る場合は、その不足分について保護が適用されることがあります。年金受給の有無だけで可否は決まりません。

病気や障害がある方

働けるかどうかは病名だけで決めず、治療状況、心身の状態、年齢、職歴などを踏まえて確認されます。障害年金や各種手当を利用できる場合は、その申請も検討します。

DV・虐待から避難した方

安全確保が最優先です。加害者や、連絡により危険が及ぶ親族への扶養照会を行わない取扱いがあります。居所を知られたくない事情を相談時に明確に伝えてください。

離婚後・ひとり親世帯

養育費、児童扶養手当、児童手当などを確認したうえで、世帯収入が最低生活費に満たない場合に適用が検討されます。申請中の給付があるときも窓口へ状況を伝えます。

一人暮らし・住まいがない方

単身世帯も対象です。住民票や住居がないことだけを理由に申請できないわけではありません。現在いる場所に近い福祉事務所へ相談できます。

働いている方

正社員、パート、アルバイト、自営業などで収入があっても、世帯収入が最低生活費を下回る場合は対象になり得ます。就労収入には必要経費や勤労控除等が考慮される場合があります。

家族と同居している方

生活保護は原則として世帯単位です。同じ住居で生計を共にしている方の収入や生活実態も確認されます。ただし、世帯認定は住民票だけでなく実際の暮らし方を踏まえて判断されます。

外国籍の方については、在留資格など一定の要件のもとで生活保護法に準じた保護が行われる場合があります。個別の在留状況を福祉事務所へ確認してください。

世帯単位とは

生活保護は原則として世帯を単位に実施されます。ここでいう世帯は、住民票上の世帯だけで機械的に決まるのではなく、同じ住居で暮らしているか、食費や家賃を共同で負担しているか、継続的に生活費を支え合っているかなど、生活実態を踏まえて認定されます。

親子やきょうだいが同居している場合、本人だけ収入がなくても、同居家族の収入・資産を含めると最低生活費を上回ることがあります。反対に、同じ住所でも生活実態が明確に分かれている、長期入院や施設入所、大学等への就学、虐待からの保護など特別な事情がある場合は、世帯分離の取扱いが検討されることがあります。世帯分離は本人が自由に選べるものではなく、制度上の要件に基づく個別判断です。

働く能力の活用は「働けるか」を個別に見ます

年齢だけで就労可能と決めるのではなく、傷病や障害の程度、治療の必要性、これまでの職歴・技能、保育や介護の負担、地域の求人状況などを確認します。就労が可能な方には、ハローワークや就労支援員と連携した求職支援が行われることがあります。

短時間勤務から始める、治療を優先して体調を整える、職業訓練を利用するなど、段階的な支援が適する場合もあります。仕事が見つからないことだけで直ちに保護が打ち切られるわけではありませんが、正当な理由なく求職活動や必要な手続きを拒む場合は、助言・指導の対象となることがあります。

用語の補足

※世帯単位:原則として、生活費を共通にして暮らす人のまとまりを一つの単位として保護の要否を判断する考え方です。

※世帯分離:同居等をしていても、特別な事情と制度上の要件により、一部の方を別の世帯として扱うことです。

第3章 生活保護が適用されない場合はある?

申請はできますが、調査の結果、生活保護以外の方法で最低生活費をまかなえると判断された場合は、保護が開始されないことがあります。代表例は次のとおりです。

  • 世帯収入が最低生活費以上:給与、年金、手当、仕送りなどを合計した認定収入が最低生活費を上回る場合。
  • 当面の生活に使える資産が十分にある:預貯金や換金可能な資産を生活費へ充てることで生活を維持できる場合。
  • 他制度の給付で生活を維持できる:年金、雇用保険、各種手当などを利用すれば最低生活費を確保できる場合。
  • 生活実態や世帯収入を確認した結果、要件を満たさない:申請者本人だけでなく、同一世帯と認定された方の収入・資産も含めて判断されます。

一方で、「働ける年齢である」「親族がいる」「借金がある」「持ち家や自動車がある」という一点だけで、申請を一律に拒むことはできません。資産の処分や就労に関する助言を受ける場合はありますが、まず申請時点の生活状況を調査したうえで決定されます。

却下・停止・廃止は同じではありません

申請に対して保護を開始しない決定が「却下」です。受給開始後、一時的に保護費が不要となるなど再開の可能性を残す取扱いが「停止」、保護を必要としなくなった場合などに終了する取扱いが「廃止」です。処分内容に納得できない場合には審査請求の制度があります。決定通知書を保管し、期限を確認して福祉事務所や専門相談窓口へ相談してください。

他制度があると生活保護は申請できない?

年金、雇用保険、傷病手当金、労災保険、児童扶養手当、障害年金など、利用できる他制度は生活保護に優先して活用します。しかし、他制度へ申請できるというだけで、現在の困窮が解消していないのに生活保護の申請が一律にできなくなるわけではありません。

他制度の支給開始まで時間がかかる、給付額だけでは最低生活費に届かない、申請結果がまだ決まらないといった場合は、現在の所持金や生活状況を伝えます。後から年金や手当が遡って支給されたときは、同じ期間に受けた保護費との調整や返還が必要になる場合があります。

収入が一時的に増えた場合

賞与、臨時就労、年金の遡及支給、保険金などで、ある月だけ収入が最低生活費を上回ることがあります。収入の種類、対象期間、今後も継続するかを確認し、保護費の変更、停止、廃止、返還等が判断されます。臨時収入が入ったことだけを理由に、本人が自己判断で保護を辞退する必要はありません。

保護の辞退届は、本人の自由な意思に基づく必要があります。今後も最低生活を維持できる見通しがあるか、医療や介護が途切れないかを確認し、決定通知を受け取ります。収入が再び減少し生活に困ったときは、改めて相談・申請できます。

用語の補足

※却下:申請を審査した結果、保護を開始しない行政上の決定です。

※停止・廃止:停止は再開の可能性を残して一時的に保護を止めること、廃止は保護を終了することです。

※審査請求:行政の決定に不服がある場合に、決定の見直しを求める手続きです。

第4章 生活保護申請の流れ

  1. 相談
    現在いる地域を所管する福祉事務所で、所持金、収入、住まい、健康状態、家族状況などを伝えます。横浜市では各区役所の生活支援課が相談窓口です。
  2. 申請意思の表明と申請
    生活保護を申請したいことを明確に伝え、申請書を提出します。特別な事情で申請書を作成できない場合は、申請書がなくても申請できる取扱いがあります。
  3. 家庭訪問などの実地調査
    担当者が生活状況を確認するため、原則として家庭訪問を行います。入院中、住居がないなどの場合は状況に応じた方法で確認されます。
  4. 収入・資産・他制度等の調査
    預貯金、保険、不動産、年金、給与、手当、扶養援助の可能性、就労の可能性などが確認されます。
  5. 保護の要否と種類を決定
    最低生活費と世帯収入を比較し、必要な扶助の種類と額を判断します。開始または却下の結果は理由を付した書面で通知されます。
  6. 保護開始
    生活扶助などは世帯の状況に応じて支給され、医療扶助・介護扶助は原則として指定機関への現物給付で行われます。
  7. 開始後の支援
    ケースワーカーが定期的に生活状況を確認し、健康、住まい、就労、家計、医療、介護などの相談に応じます。収入や世帯状況が変わったときは届出が必要です。

決定までの期間

申請日から原則14日以内に決定されます。調査に時間を要する特別な理由がある場合でも、原則として30日以内です。生活が差し迫っているときは、手元の所持金、食事、住まい、治療の必要性など緊急性を具体的に伝えてください。

必要書類がなくても、まず相談・申請できます

本人確認書類、通帳、給与明細、年金通知、賃貸借契約書、保険証券などは調査を円滑にしますが、すべてそろっていないことだけを理由に申請できないわけではありません。取得できる書類と、取得できない理由を窓口へ伝えます。

相談前に整理しておくとよいこと

相談前に完璧な資料を作る必要はありません。ただし、現在の生活がどの程度差し迫っているかを具体的に伝えられると、窓口が緊急性と必要な支援を把握しやすくなります。紙やスマートフォンのメモへ、分かる範囲で次の内容を整理しておくと役立ちます。

  • 現在の所持金と、次に収入が入る日・見込額
  • 家賃、電気、ガス、水道、携帯電話などの滞納状況と停止予定日
  • 預貯金口座、生命保険、不動産、自動車など、世帯が保有している資産
  • 給与、年金、手当、仕送り、養育費など、世帯員ごとの収入
  • 病気、障害、妊娠、介護、入院・退院予定など、生活へ影響する事情
  • 同居している方と、別居していても生活費を共通にしている方の状況
  • DV・虐待、親族との関係断絶、居所秘匿など、安全確保に必要な事情

通帳等を紛失した、ネット銀行の画面を開けない、家族名義の資産が分からないなどの事情も、そのまま伝えます。資料がないことを隠すのではなく、「何が確認できていて、何が確認できないか」を共有することが、その後の調査を円滑にします。

相談と申請は別の段階です

窓口では、生活保護の説明に加え、雇用保険、年金、傷病手当金、住居確保給付金、生活福祉資金など他制度を案内されることがあります。他制度の検討は重要ですが、今日の食事や住まい、治療に困るなど生活が急迫し、生活保護を希望する場合は、相談だけで終えず申請意思を明確に伝えます。他制度の結果を待たなければ申請できないとは限りません。

用語の補足

※福祉事務所:生活保護の相談、申請受付、調査、決定、受給中の支援を担当する行政機関です。

※実地調査:担当職員が家庭訪問などにより、書類だけでは分からない生活状況を確認することです。

第5章 調査では何を確認される?

調査は申請者を責めるためではなく、保護の要否と必要な扶助を正確に決めるために行われます。分からないことや手元にない資料は、その旨を正直に伝えることが大切です。

生活状況 世帯構成、住まい、家賃、食事、健康状態、通院、介護、就労状況、所持金、困窮に至った経緯など。
収入 給与、賞与、自営業収入、年金、各種手当、雇用保険、傷病手当金、仕送り、養育費など。
預貯金 世帯員名義の銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行、ネット銀行等の口座や残高、入出金状況など。
保険・有価証券 生命保険、学資保険、損害保険の返戻金、株式、投資信託、暗号資産など換金可能性のある資産。
不動産 居住している家屋・土地、居住に使っていない不動産、共有持分、資産価値、処分可能性など。
自動車等 自動車、バイクの保有・使用状況、通勤・通院等の必要性、公共交通、維持費、資産価値など。
他制度 年金、障害年金、児童扶養手当、雇用保険、労災保険、健康保険給付など利用できる制度。
扶養 親族関係、交流状況、DV・虐待等の事情、援助が期待できるかなど。扶養照会を行わない場合もあります。
就労可能性 年齢、心身の状態、治療状況、職歴、資格、地域の求人状況などを踏まえて個別に確認します。

福祉事務所は、生活保護法に基づき、銀行、保険会社、年金機関、勤務先などへ必要な調査を行うことがあります。申告内容と資料に違いがあるときは、理由を説明し、必要に応じて訂正します。

用語の補足

※資産調査:預貯金、保険、不動産、自動車など、生活に活用できる資産の有無と内容を確認する調査です。

※照会:福祉事務所が法令に基づき、金融機関や関係機関等へ必要な情報を問い合わせることです。

第6章 扶養照会とは

扶養照会とは、親族等から金銭的な援助や日常生活上の支援を受けられるか、福祉事務所が確認する手続きです。ただし、扶養義務者による扶養は生活保護に「優先」するものであり、親族の扶養が生活保護申請の前提条件という意味ではありません。同居していない親族へ先に相談しなければ申請できない、ということもありません。

誰にでも一律に照会するわけではありません

実際に扶養が期待できるかを確認し、照会の対象を判断します。長期間交流がなく援助が期待できない、親族も高齢・病気・生活困窮などで援助できない、関係が著しく不良であるなどの事情は、窓口へ具体的に伝えてください。

DV・虐待など安全上の問題がある場合

DV、虐待、著しい関係不良などにより、照会することで生命・身体の安全が脅かされるおそれや、申請者の自立を阻害するおそれがある場合、直接照会を行わない取扱いがあります。加害者に現在の居所や連絡先を知られたくない場合は、相談の早い段階で必ず伝えてください。

親族が援助できないと回答した場合

親族が援助できないことだけを理由に、その親族が責任を問われたり、申請者が保護を受けられなくなったりするものではありません。援助できる範囲がある場合も、その内容を踏まえて世帯収入と最低生活費を比較します。

相談時に伝えるとよいこと:交流が途絶えた時期、連絡すると危険または強い心理的負担がある理由、過去のDV・虐待・金銭トラブル、親族自身の病気や困窮など。言いにくい事情でも、安全に関わるため担当者へ伝えることが重要です。

用語の補足

※扶養義務者:民法上、一定の範囲で互いに扶養する義務を負う親族を指します。

※扶養照会:親族等が金銭や生活上の援助をできるか、福祉事務所が確認する手続きです。申請の前提条件ではありません。

第7章 生活を支える8つの扶助

生活保護には、必要に応じて8種類の扶助があります。世帯の状況に合う扶助が組み合わされるため、全員が8種類すべてを受けるわけではありません。金銭で支給する扶助と、医療機関・介護事業者等へ直接費用を支払う現物給付があります。

1.生活扶助

食費、被服費、光熱水費、日用品など日常生活に必要な費用です。年齢別の個人的費用と、世帯人数に応じた共通費用などを基に算定され、冬季加算や妊産婦加算、障害者加算などが該当する場合があります。

2.住宅扶助

家賃、地代など住居を確保するための費用です。地域や世帯人数による上限があります。転居が必要と認められた場合の敷金等、契約更新料、住宅維持費などが対象になる場合もありますが、事前の承認が必要です。

3.教育扶助

義務教育に必要な学用品、教材、通学用品、学校給食などの費用です。高等学校等の就学費用は教育扶助ではなく、生業扶助の技能修得費として対象になるものがあります。

4.医療扶助

診察、薬剤、治療材料、処置、手術、入院、訪問看護など、必要な医療を対象とします。原則として指定医療機関で受診し、費用は福祉事務所から医療機関へ直接支払われます。

5.介護扶助

要介護・要支援の方が必要な介護サービスを利用するための費用です。居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、福祉用具、住宅改修など、介護保険給付の対象範囲を基本に必要性が判断されます。

6.出産扶助

分娩介助、分娩前後の処置、衛生材料など出産に必要な費用です。出産育児一時金や助産制度など他制度との関係を確認し、原則として事前に福祉事務所へ相談します。

7.生業扶助

就労のための技能習得、就職支度、小規模な事業開始、高等学校等への就学など、自立に必要な費用です。対象範囲と上限があるため、受講や購入の前に相談します。

8.葬祭扶助

検案、遺体の運搬、火葬・埋葬、納骨など、葬祭に必要な最低限度の費用です。亡くなった方の状況や葬祭を行う方の資力などにより適用が判断されます。

一時的に必要となる費用

毎月の扶助とは別に、制度上の要件を満たす臨時的な需要について、一時扶助が認められる場合があります。例として、被服、家具什器、入学準備、転居時の敷金等、住宅維持、通院移送などがあります。ただし、希望する物品や費用がすべて対象になるのではなく、必要性、他に利用できる方法、上限額、事前承認などの条件があります。

特に、転居契約、家具・家電の購入、住宅補修、通院のためのタクシー利用などは、実施後に領収書を出せば必ず支給される仕組みではありません。緊急やむを得ない場合を除き、必要になった時点でケースワーカーへ相談し、対象となる費目、見積書、申請時期を確認します。

保護費の支給方法

生活扶助や住宅扶助などは、原則として毎月、金銭で支給されます。支給日や振込・窓口払いの方法は実施機関により異なります。医療扶助や介護扶助は、原則として医療機関・介護事業者へ費用を支払う現物給付です。

家賃について、滞納の防止や住居の確保のため必要がある場合は、住宅扶助を福祉事務所から家主等へ直接支払う代理納付が行われることがあります。代理納付の対象や方法は自治体と世帯の状況により確認されます。

用語の補足

※現物給付:本人へ現金を渡すのではなく、医療や介護のサービスそのものを給付し、費用を実施機関から事業者へ支払う方法です。

※一時扶助:毎月の扶助とは別に、要件を満たす臨時の需要へ対応する給付です。

※代理納付:住宅扶助等を、福祉事務所から家主等へ直接支払う方法です。

住宅の契約、転居、福祉用具購入、住宅改修、資格講座、葬祭などは、先に自己判断で契約・支払いをすると扶助の対象にならないことがあります。緊急時を除き、実施前にケースワーカーへ相談してください。

第8章 医療扶助を詳しく

医療扶助は、困窮のため必要な医療を受けられない方に、診察、薬剤、治療材料、医学的処置・手術、入院、看護、移送などを給付する制度です。原則として費用は福祉事務所から指定医療機関へ直接支払われ、本人が窓口で医療費を負担しない現物給付で行われます。

受診するとき

福祉事務所へ病状と受診希望を伝え、必要な手続きを確認します。現在は医療扶助のオンライン資格確認に対応した医療機関もありますが、利用方法は医療機関と自治体の対応状況により異なります。指定医療機関であるか、医療券等が必要かを確認してください。

対象となり得る医療

  • 外来診療、入院、手術、検査、処置
  • 医師の処方に基づく薬局での調剤
  • 歯科診療
  • 医師の指示に基づく訪問看護
  • 治療材料や施術など、制度上の要件を満たすもの

差額ベッド代、制度の対象外となる診療、医師の必要性が確認されない費用などは、医療扶助の対象にならない場合があります。入院時の日用品、診断書料なども内容によって取扱いが異なるため、事前に確認します。

救急時・夜間の場合

生命や身体に危険があるときは、まず救急要請や必要な受診を優先します。生活保護を利用中であることを医療機関へ伝え、可能な限り早く福祉事務所または担当ケースワーカーへ連絡してください。緊急時の手続きは自治体や状況により異なります。

転院・入院・退院で確認すること

入院や転院では、医療上の必要性、指定医療機関、移送、入院中の生活扶助、家賃を継続して支給する必要性など、複数の確認が必要になることがあります。病院から転院を勧められたとき、遠方の専門病院を希望するとき、退院後の住まいがないときは、病院の医療ソーシャルワーカーとケースワーカーへ早めに相談します。

退院後に訪問診療、訪問看護、薬局の訪問、介護サービスが必要な場合は、主治医の指示、要介護認定、ケアプラン、医療扶助・介護扶助の適用関係を整理します。医療機関が決めた退院日だけを先行させず、安全に生活できる環境を関係者で確認することが重要です。

医療扶助の対象外や本人負担が生じ得る費用

医療扶助は、必要な医療を無条件にすべて給付する制度ではありません。保険診療の対象外となる診療、医学的必要性が認められないもの、選定療養、希望による差額ベッド、文書料、入院中の日用品等は、医療扶助の対象外となる場合があります。

治療材料、眼鏡、補装具、柔道整復、あん摩・マッサージ、はり・きゅう、通院移送費などは、それぞれ医師の必要性、給付要件、事前手続き等を確認します。購入や利用を決める前に、医療機関とケースワーカーへ確認してください。

用語の補足

※指定医療機関:生活保護法に基づく指定を受け、医療扶助による診療を担当する医療機関です。

※医療券:医療扶助の対象者や診療内容等を医療機関へ示すため、福祉事務所が発行する書類等です。オンラインで確認する場合もあります。

※選定療養:保険診療と併用できるものの、差額部分を本人が負担する医療上の選択を指します。

第9章 介護扶助を詳しく

介護扶助は、最低限度の生活を維持できない要介護者・要支援者が、必要な介護サービスを利用するための費用を保障する制度です。介護保険の対象となるサービスの範囲を基本とし、ケアプラン等に基づいて必要性が確認されます。費用は原則として指定介護機関へ直接支払われます。

介護保険との関係

65歳以上の介護保険第1号被保険者や、医療保険に加入する40~64歳で特定疾病により要介護・要支援となった第2号被保険者は、介護保険給付が優先され、通常の自己負担部分が介護扶助の対象となります。

生活保護受給中の40~64歳で医療保険に加入していないため介護保険第2号被保険者とならない方でも、特定疾病により介護が必要と認められる場合、介護扶助により介護保険と同等のサービスを利用できることがあります。年齢、医療保険加入、疾病、認定状況によって仕組みが異なるため、福祉事務所と市区町村の介護保険担当へ確認します。

利用できる主なサービス

自宅を訪問するサービス

訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導など。医療と介護のどちらで利用するかは、サービス内容や保険関係により異なります。

通って利用するサービス

通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)、認知症対応型通所介護など。

短期間泊まるサービス

短期入所生活介護、短期入所療養介護など。食費・居住費の取扱いを含め、利用前に確認します。

施設・居住系サービス

介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、認知症対応型共同生活介護など。入所要件や費用はサービスごとに異なります。

福祉用具

特殊寝台、車いす、床ずれ防止用具などの貸与や、腰掛便座など特定福祉用具の購入。要介護度や身体状況、住環境に応じて必要性を確認します。

住宅改修

手すりの取付け、段差解消など介護保険対象の改修。工事前の申請と承認が原則で、先に着工すると対象外になることがあります。

ケースワーカーとケアマネジャーの役割

ケースワーカーは生活保護全体の実施、収入・資産や生活状況の確認、医療・介護扶助の手続きなどを担当します。ケアマネジャーは、要介護者の生活上の希望と課題を確認し、ケアプランを作成して介護サービス事業者や医療機関等との連絡調整を行います。

介護サービスの新規利用、変更、福祉用具、住宅改修、入退院、施設入所などでは、ケースワーカーとケアマネジャーが情報を共有し、介護券や利用手続きを確認することが重要です。きてケアプランセンターは居宅介護支援事業所として、ケアプラン作成と在宅介護サービスの連絡調整を行いますが、生活保護の決定や介護扶助の支給決定は福祉事務所が行います。

介護サービス利用までの実務的な流れ

  1. 介護の困りごとを共有する
    立ち上がり、歩行、入浴、排泄、服薬、認知症、家族の介護負担など、日常生活で困っている場面をケースワーカー、市区町村の介護保険担当、地域包括支援センター等へ相談します。
  2. 要介護認定を申請する
    認定調査と主治医意見書により、要支援・要介護状態に該当するか審査されます。生活保護を利用していることだけで要介護度が決まるわけではありません。
  3. ケアマネジャー等を選ぶ
    要介護の場合は居宅介護支援事業所、要支援の場合は地域包括支援センター等が中心となり、生活上の希望と課題を確認します。生活保護を利用中であることを伝え、指定介護機関や介護券の手続きを確認します。
  4. ケアプランを作成する
    本人の希望、心身の状態、住環境、家族の支援、医療上の注意を踏まえ、必要なサービスの種類、回数、役割を整理します。サービスを増やすこと自体が目的ではなく、生活上の課題に合う支援を組み立てます。
  5. 福祉事務所と利用手続きを確認する
    介護扶助の決定、介護券、指定介護機関、本人支払額の有無などを確認してから利用を開始します。福祉用具購入や住宅改修は、購入・工事前の申請が特に重要です。
  6. 利用後も見直す
    ケアマネジャーは定期的にサービスの実施状況と生活の変化を確認します。入退院、要介護度の変更、転居、収入・世帯状況の変化があるときは、ケースワーカーとも共有します。

医療扶助と介護扶助が同時に関係する場面

訪問看護、訪問リハビリテーション、療養上の管理などは、病状、年齢、要介護認定、主治医の指示等によって医療保険側と介護保険側のどちらが優先するかが変わります。医療扶助と介護扶助の両方を利用していても、同じサービスを重複して給付するものではありません。主治医、ケアマネジャー、訪問看護事業所、ケースワーカーが、適用する制度と手続きを確認します。

退院直後は、医療処置、服薬、食事、排泄、移動、認知症、家族の介護力など複数の課題が重なります。退院日が決まってからでは準備期間が足りないことがあるため、病院の医療ソーシャルワーカーを通じ、退院前から福祉事務所とケアマネジャーへ連絡することが大切です。

生活保護で介護ベッドや福祉用具を利用できる?
身体状況、要介護度、住環境などから必要性が認められ、介護保険・介護扶助の給付要件を満たす場合に利用できます。希望する製品を自由に選んで購入する制度ではありません。ケアマネジャー、福祉用具専門相談員、ケースワーカーへ事前に相談してください。

用語の補足

※要介護認定:介護の必要度を、市区町村が認定調査と主治医意見書等に基づいて判定する仕組みです。

※介護券:介護扶助の対象者、本人支払額、認定情報等を指定介護機関へ示す書類です。

※ケアプラン:本人の希望と生活課題を基に、利用する介護サービスの目標・内容・役割をまとめた計画です。

第10章 資産・自動車・持ち家

生活保護では、利用できる資産を最低生活の維持に活用することが原則です。ただし、資産があるという理由だけで申請できないわけではありません。資産の種類、価値、処分可能性、生活上の必要性、処分に要する期間などを個別に確認します。

持ち家・土地

現在住んでいる持ち家は、資産価値が著しく高くない、処分より居住を続ける方が生活維持と自立に有効であるなどの事情から、保有が認められる場合があります。一方、住んでいない土地・家屋や高額な不動産は、売却等を求められることがあります。住宅ローンの返済を保護費で行うことは原則として認められません。

居住実態のある自宅は、必ず売却するわけではありません。
申請者と世帯員が実際に生活している自宅については、処分価値、住宅の規模、世帯の状況、転居した場合の生活への影響などを確認し、保有が認められる場合があります。その場合は、生活保護を申請・利用するために直ちに自宅を売却する必要はなく、住み続けることができます。

ただし、居住実態があることだけで、どのような住宅でも無条件に保有できるという意味ではありません。資産価値が著しく高い、世帯人数に比べて規模が過大である、他に活用可能な不動産があるなどの場合は、売却や貸付け等を検討することがあります。高齢者世帯では、不動産担保型生活資金等の利用可能性を確認する場合もあります。申請前に自己判断で売却せず、登記事項、固定資産税関係書類、住宅ローン残高など分かる資料を持参して福祉事務所へ相談してください。

自動車・バイク

自動車は資産であり、維持費も必要なため処分が原則です。ただし、障害のある方の通勤・通院、公共交通が著しく不便な地域での通勤、事業に不可欠、求職中の通勤用自動車を一定期間保有するなど、個別事情により保有が認められる場合があります。単に便利だからという理由だけでは認められないことがあり、使用目的、代替交通、資産価値、維持費等を総合的に判断します。

生命保険・学資保険

解約返戻金のある保険は資産として確認され、原則として解約・活用が検討されます。ただし、返戻金が少額で保険料も低額、保障を継続する合理性があるなど、一定の要件で保有が認められる場合があります。

預貯金・株式・投資信託・暗号資産

当面の生活に使える預貯金や換金可能な金融資産は、原則として生活費へ活用します。申請時の手持金が少額であっても、すべて隠さず申告します。保護開始後に相続、保険金、売却代金などを得た場合も、速やかにケースワーカーへ届け出ます。

すぐに処分できない資産がある場合

不動産の売却に時間がかかる、共有名義で単独処分できない、相続登記が未了であるなど、資産があっても直ちに生活費へ換えられないことがあります。急迫した生活を放置して売却完了まで待たせるのではなく、資産の処分を進めながら保護を開始し、後に売却代金等から、それまでに受けた保護費の範囲で返還を求められることがあります。

どの時点から返還対象になるか、売却に必要な費用をどう扱うかなどは個別に決定されます。売却代金を受け取ったときは使う前に届け出、福祉事務所の説明を確認してください。

相続・共有財産・名義だけの資産

相続する可能性のある遺産、共有不動産、家族が使用している本人名義の車、他人のために名義を貸した口座なども、事実関係を申告します。「自分は使っていない」「名義だけ」という説明だけで調査対象外になるわけではありません。所有関係、取得経緯、実際の管理、処分可能性を確認します。

保護費のやりくりで生じた預貯金

保護費を節約し、将来の家具購入、冠婚葬祭、進学、転居など生活保護の趣旨に反しない目的のために蓄えた預貯金は、その目的や金額を確認したうえで保有が認められる場合があります。未申告収入を貯めた場合とは取扱いが異なります。

高額な購入や長期の積立を予定するときは、目的、必要時期、見込額をケースワーカーへ説明しておくと、後の認識違いを防ぎやすくなります。現金で保管すると入出金の経緯が分かりにくいため、記録を残すことも大切です。

資産の処分には例外や留保があり、自己判断で家や車、保険を処分してからでなければ相談できないわけではありません。生活や通院に不可欠なものを処分する前に、福祉事務所へ相談してください。

用語の補足

※処分価値:売却等により、実際に生活費へ活用できると見込まれる資産の価値です。

※不動産担保型生活資金:一定の高齢者世帯等が、居住用不動産を担保として生活資金の貸付けを受ける制度です。

※返還:後から資力が判明した場合などに、既に受けた保護費の範囲で費用を戻す手続きです。

第11章 収入申告

生活保護を利用中は、収入、支出その他生計の状況に変動があったとき、速やかに届け出る義務があります。毎月の給与だけでなく、年金、手当、賞与、日雇い収入、自営業収入、仕送り、養育費、保険金、相続、返金なども、自己判断で除外せずケースワーカーへ申告します。

給与・アルバイト 給与明細、勤務日数、交通費、必要経費等を提出します。就労収入の全額がそのまま保護費から差し引かれるとは限らず、勤労控除等が適用される場合があります。
年金・手当 老齢年金、障害年金、遺族年金、児童手当、児童扶養手当などを申告します。遡って年金を受給した場合は返還の調整が必要になることがあります。
仕送り・養育費 現金だけでなく、継続的に受ける家賃負担や生活物資なども内容を伝えます。
副業・フリマ等 継続的な販売や役務提供による収入、臨時収入は、売上と必要経費が分かる資料を残して申告します。
ポイント・電子マネー 通常の値引き、特典、換金可能な報酬などで取扱いが異なり得ます。高額または継続的に得た場合は、自己判断せず内容を伝えて確認します。

申告を忘れたとき

気づいた時点で速やかにケースワーカーへ連絡し、金額と経緯を説明して資料を提出します。認定すべき収入が後から判明した場合は、保護費の返還や徴収が必要になることがあります。故意に隠すことは不正受給につながるため、迷う収入も含めて相談することが大切です。

保護開始後に届け出る主な変化

収入だけでなく、生活の基礎となる状況が変わったときも届出や相談が必要です。届出が遅れると、保護費の過不足、医療券・介護券、住宅扶助、世帯認定などに影響することがあります。

  • 就職、退職、休職、勤務時間や給与額の変更
  • 年金・手当の開始、停止、金額変更、遡及支給
  • 入院、退院、妊娠、出産、死亡など世帯員の大きな変化
  • 同居、別居、結婚、離婚、世帯員の転出入
  • 転居、家賃変更、契約更新、立退きの通知
  • 相続、保険金、交通事故の補償金、不動産や車の売却代金
  • 自動車・バイクの取得や使用、生命保険等の加入・解約
  • 要介護認定、障害認定、医療・介護サービス利用の変化

受給中に大切な権利と義務

必要な保護を受け、正当な理由なく不利益な取扱いを受けないことは重要です。一方で、生活保護法には、能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り生活の維持・向上に努めること、福祉事務所が必要に応じて行う指導・指示に従うこと、収入や生計の変化を届け出ることなども定められています。

「自立に努めること」は、病気や障害を無視して無理に働くことではありません。治療を継続する、家計を整える、介護サービスを利用して生活を安定させるなど、世帯の状態に合う目標をケースワーカーと確認します。指導内容に疑問があるときは、理由と根拠の説明を求め、必要に応じて上司や相談窓口へ相談します。

用語の補足

※収入認定:得た金銭等のうち、生活保護制度上の収入として扱う額を決めることです。

※勤労控除:働くための経費や就労意欲の向上等を考慮し、就労収入の一部を収入認定から差し引く仕組みです。

※遡及支給:年金や手当等を、決定後に過去の対象期間へさかのぼってまとめて支給することです。

第12章 ケースワーカーとは

ケースワーカーは、福祉事務所で生活保護を担当する職員です。申請時の調査、保護費や各扶助の手続き、定期的な家庭訪問、収入・資産・世帯状況の確認、生活上の相談援助、関係機関との連絡などを行います。

家庭訪問で確認すること

生活状況、健康状態、就労、住まい、家計、家族関係、医療・介護サービスの利用状況などを確認します。訪問の頻度は世帯の状況や支援方針によって異なります。入院や外出等で予定が合わない場合は、無断で避けるのではなく日程を相談します。

相談できること

  • 病気や障害で働くことが難しい
  • 家賃や転居、住環境に問題がある
  • 入院・退院後の生活が不安
  • 介護認定や介護サービスが必要になった
  • 家計管理、債務、家族関係に困っている
  • 収入や世帯状況が変わった

ケースワーカーは医師、ケアマネジャー、相談支援専門員などの役割を代わりに担うわけではありません。必要に応じて専門機関へつなぎ、関係者と連携します。担当者との意思疎通に困ったときは、まず具体的な出来事と希望を伝え、それでも解決が難しければ福祉事務所の上司や相談窓口へ相談できます。

生活を支える専門職との連携

医師・歯科医師 診断、治療、療養上の指示、就労や介護に関係する医学的判断を行います。ケースワーカーは必要に応じて病状調査を行います。
医療ソーシャルワーカー 入院中の生活課題、医療費、退院先、在宅支援、福祉制度について相談を受け、病院と地域をつなぎます。
ケアマネジャー 要介護者のケアプランを作成し、介護サービス事業者、医療機関、ケースワーカー等との連絡調整を行います。
地域包括支援センター 高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防、要支援者の支援などを行い、必要な機関へつなぎます。
相談支援専門員 障害福祉サービス等の利用計画を作成し、障害のある方の地域生活を支援します。
就労支援員・ハローワーク 本人の状態と希望を踏まえ、求人、職業相談、職業訓練等を通じて就労を支援します。
弁護士・司法書士 借金、離婚、相続、賃貸借、成年後見など法律上の課題を整理します。法テラスの民事法律扶助を利用できる場合があります。

支援方針を共有する

複数の専門職が関わるほど、「誰に何を相談するか」が分かりにくくなることがあります。生活保護の決定・収入申告・扶助手続きはケースワーカー、治療は医師、介護サービス調整はケアマネジャーというように役割を整理し、重要な変更は関係者間で共有します。

本人の同意なく個人情報を無制限に共有するものではありません。支援に必要な範囲、共有先、目的を確認します。一方で、生命・身体の安全に関わる緊急時など、法令に基づく取扱いが必要となる場合があります。

用語の補足

※ケースワーカー:福祉事務所で生活保護世帯の調査、決定に関する事務、相談援助等を担当する職員です。

※援助方針:世帯の生活課題、支援目標、必要な働きかけを福祉事務所が整理した支援の方針です。

第13章 生活保護のよくある質問

Q1.仕事をしていても生活保護を受けられますか?

働いていても、世帯の認定収入が最低生活費を下回る場合は対象になり得ます。給与等を申告し、最低生活費との差額が保護費として算定されます。勤労控除等が適用される場合があります。

Q2.年金を受け取っていても申請できますか?

申請できます。年金は収入として扱われますが、年金だけで最低生活費をまかなえない場合は、不足分について保護が適用されることがあります。

Q3.親や子、きょうだいへ先に相談する必要がありますか?

同居していない親族へ先に相談することは申請の条件ではありません。申請後、援助が期待できる親族に扶養照会が行われる場合はありますが、DV・虐待や長期の関係断絶などの事情により照会しないこともあります。

Q4.車を持っていると申請できませんか?

車があっても申請はできます。保有は処分が原則ですが、障害のある方の通勤・通院、公共交通が著しく不便な地域の通勤、一定期間の求職活動など、個別事情により認められる場合があります。

Q5.持ち家があっても申請できますか?

申請できます。現在居住している持ち家は、資産価値や処分可能性、生活への影響などにより保有が認められる場合があります。住宅ローン返済中などの場合は個別確認が必要です。

Q5-2.実際に住んでいる自宅も売却しなければなりませんか?

必ず売却するわけではありません。現に世帯の生活に利用され、処分価値や規模等から保有が認められる自宅は、直ちに売却せず住み続けられます。ただし、高額な住宅や生活に利用していない不動産などは個別に活用を検討します。

Q6.借金があっても申請できますか?

借金があっても申請できます。ただし、保護費は借金返済のための給付ではありません。債務整理等が必要な場合は、法テラスや弁護士・司法書士など専門窓口への相談を検討します。

Q7.入院中でも申請できますか?

申請できます。入院先の医療ソーシャルワーカーや病院所在地・居住地を担当する福祉事務所へ相談してください。退院後の住まいや介護が必要な場合は、早めの連携が重要です。

Q8.住民票や住所がなくても申請できますか?

住む場所がない方も申請できます。現在いる場所に近い福祉事務所へ相談してください。施設への入所に同意することが申請条件ではありません。

Q9.所持金がほとんどありません。決定まで待つしかないですか?

所持金、食事、住まい、治療の必要性など緊急性を具体的に伝えてください。福祉事務所は申請時の状況を確認し、必要な対応を検討します。

Q10.申請書を受け取れなかった、申請を断られたと感じたら?

「生活保護を申請します」と意思を明確に伝え、申請書の提出を申し出てください。対応に疑問がある場合は、福祉事務所の上司、自治体の相談窓口、法テラス、弁護士会等へ相談する方法があります。

Q11.生活保護は恥ずかしい制度ですか?

生活保護は、生活に困窮したときに最低限度の生活を保障するため法律で定められた制度です。病気、失業、介護、家族関係など、困窮の理由はさまざまです。必要なときに相談・申請することをためらう必要はありません。

Q12.ケースワーカーを変更できますか?

希望だけで必ず変更される制度ではありません。まず困っている具体的な事実と希望を担当者へ伝え、解決が難しい場合は福祉事務所の上司へ相談してください。安全上の問題や重大な支障がある場合も具体的に伝えます。

Q13.生活保護で病院や歯科へ行けますか?

必要性が認められれば医療扶助の対象になります。原則として指定医療機関を利用します。受診前に福祉事務所へ手続きを確認し、救急時は受診を優先して速やかに連絡します。

Q14.生活保護で介護ベッドを借りられますか?

要介護度、身体状況、住環境などから必要性が認められ、介護保険・介護扶助の給付要件を満たす場合に福祉用具貸与を利用できます。ケアマネジャー等へ事前に相談してください。

Q15.生活保護で住宅改修はできますか?

介護保険対象の手すり設置や段差解消などは、必要性と要件を満たせば介護扶助の対象となる場合があります。原則として工事前の申請・承認が必要です。

Q16.家族と同居していても自分だけ申請できますか?

生活保護は原則として世帯単位です。ただし、世帯分離が認められる場合もあり、住民票ではなく生計や生活の実態を確認して判断されます。事情を福祉事務所へ説明してください。

Q17.申請すると勤務先に知られますか?

収入確認のため勤務先へ照会する場合がありますが、まず給与明細等で確認できることもあります。勤務先への連絡に特別な事情がある場合は、申請時に相談してください。

Q18.生活保護を利用すると介護サービスの内容が変わりますか?

必要な介護サービスは、要介護認定とケアプラン等に基づいて検討されます。生活保護利用を理由に必要なサービスが一律に減るものではありませんが、介護保険給付の範囲や必要性の確認が必要です。

Q19.保護費を受けながら貯金できますか?

将来の必要な支出に備え、生活費を節約して一定の預貯金を持つことが直ちに禁止されるわけではありません。ただし、目的や金額によって取扱いが異なるため、収入申告を行い、まとまった金額になった場合はケースワーカーへ相談してください。

Q20.引っ越し費用は出ますか?

立退き、家賃が基準を超える、療養・介護上必要など、転居が必要と認められる場合に敷金等が住宅扶助の対象となることがあります。契約前に必ず承認を受けてください。

Q21.保護費を使い切れず貯金ができたら問題になりますか?

保護費をやりくりして生じた預貯金が直ちに禁止されるわけではありません。ただし、保護の趣旨・目的に反する使用や、未申告収入による貯金は別の問題です。まとまった金額になった場合や、高額な購入を予定するときは、目的をケースワーカーへ説明して確認してください。

Q22.生命保険へ加入したまま利用できますか?

解約返戻金や保険料、保障内容を確認し、資産として活用するか、保有を認めるかが判断されます。少額の返戻金・保険料など一定の事情で継続できる場合もあるため、自己判断で解約する前に保険証券等を提示して相談してください。

Q23.保護の決定に納得できない場合はどうすればよいですか?

開始、却下、変更、停止、廃止などの処分に不服がある場合は、審査請求ができます。通知書に処分理由と不服申立ての案内が記載されているため、通知書を保管し、期限内に自治体や法律相談へ確認してください。

Q24.必要書類がそろうまで申請を待つ必要がありますか?

必要書類がそろっていなくても申請できます。持参できる資料を提出し、不足する資料は取得方法を相談します。書類がないことと、申請意思を受け付けることは分けて考えます。

Q25.施設へ入らないと申請できませんか?

施設へ入ることへの同意は申請条件ではありません。住居がない場合も、本人の希望と状況を確認しながら居所や支援方法を検討します。

Q26.大学や専門学校へ通いながら利用できますか?

生活保護世帯の大学等進学者は、原則として世帯分離など特有の取扱いがあり、本人分の生活費・学費が通常どおり保護されるとは限りません。奨学金、授業料減免、進学準備給付金等を含め、進学前から福祉事務所と学校へ相談してください。

Q27.家賃が住宅扶助の上限を超えています。

直ちに退去という意味ではありませんが、家賃を上限内にするため転居を求められる場合があります。地域の物件状況、世帯人数、障害・高齢・通院・介護など転居困難な事情を説明し、期限と転居費用を確認します。

Q28.生活保護を利用していることを周囲へ伝える必要がありますか?

一般に近隣や知人へ自ら公表する必要はありません。一方、医療・介護扶助、収入調査、家賃代理納付など、制度実施に必要な範囲で医療機関、介護事業者、勤務先、家主等と連絡する場合があります。

Q29.保護を受けながら引っ越す場合、自由に物件を決められますか?

転居の必要性、家賃上限、初期費用、転居先の実施機関等の確認が必要です。先に契約すると扶助の対象外になる場合があるため、内見・申込み・契約の順序をケースワーカーと確認します。

Q30.生活が安定したら保護はどのように終わりますか?

収入増加、年金開始、世帯状況の変化などにより保護が不要となった場合、停止または廃止の決定が行われます。就職後も収入額が確定するまで調整が必要なことがあるため、自己判断で連絡をやめず、給与明細等を提出して決定通知を確認します。

FAQに出てくる用語の補足

※行政処分:保護の開始、却下、変更、停止、廃止など、行政機関が法令に基づいて行う決定です。

※住宅扶助の上限:地域や世帯人数等に応じて定められる、家賃等に対する扶助の限度額です。

※法テラス:法的な困りごとの案内や、一定の要件で無料法律相談・弁護士費用等の立替えを行う公的な窓口です。

第14章 生活保護の相談窓口

生活保護の相談・申請先は、現在お住まいの地域を所管する福祉事務所です。横浜市では各区役所の生活支援課で相談を受け付けています。住む場所がない場合は、現在いる場所に近い福祉事務所へ相談してください。

相談時には、所持金、家賃や公共料金の滞納、食事の状況、病気や通院、介護の必要性、家族関係、今後入る予定の収入などを伝えると、緊急性と必要な支援を整理しやすくなります。

介護の相談について

きてケアプランセンターは、横浜市保土ケ谷区を拠点とする居宅介護支援事業所です。生活保護を利用している方の介護保険申請、ケアプラン作成、在宅介護サービスの連絡調整について相談できます。生活保護の申請・決定、扶助の支給、収入・資産の判断は福祉事務所が行います。

内容の確認に使用した主な一次資料

最終内容確認:2026年7月30日。制度・基準・自治体の取扱いは変更されることがあります。個別の判断は福祉事務所、医療・介護の利用手続きは担当ケースワーカーや各専門職へ確認してください。

相談窓口に関する用語の補足

※生活支援課:横浜市の各区役所で、生活保護や生活困窮に関する相談を担当する部署です。

※居宅介護支援事業所:自宅で生活する要介護者の相談を受け、ケアマネジャーがケアプラン作成やサービス調整を行う事業所です。