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医療費を軽減する制度について

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MEDICAL COST SUPPORT GUIDE

医療費の負担を整理する総合ガイド

高額療養費、難病医療、自立支援医療、医療費控除などを、横浜市・川崎市・大田区・品川区の地域情報とともに整理しました。制度を探す入口としてご利用ください。

制度内容確認日:2026年8月1日

医療費を軽減する制度について

横浜市・川崎市・大田区・品川区にお住まいの方へ

制度内容確認日:2026年8月1日

病気やけがの治療が長期化すると、診察代や薬代だけでなく、入院時の食費、通院交通費、差額ベッド代、介護サービス費、休職による収入減少など、生活全体に影響が及びます。

日本には、公的医療保険の自己負担を一定額までに抑える制度、特定の疾病や障害を対象とする医療費助成、働けない期間の所得を補う制度、税負担を軽くする制度、経済的に受診が難しい人を支える制度があります。ただし、制度によって対象となる費用、所得基準、申請先、申請期限が異なります。

また、一つの制度だけで医療費の全額を補えるとは限りません。高額療養費、自立支援医療、指定難病医療費助成、自治体の医療費助成など、複数の制度を優先順位に沿って適用する場合もあります。

本記事では、医療費や療養中の生活費を軽減する主な制度について、対象者、助成内容、対象外となる費用、申請方法及び利用時の注意点を解説します。


1.最初に知っておきたい医療費軽減制度の全体像

医療費に関係する制度は、目的によって大きく分けられます。

制度 主な目的
高額療養費制度 1か月の保険診療の自己負担を所得区分別の上限までに抑える
限度額適用 医療機関窓口で支払う金額をあらかじめ上限までに抑える
高額医療・高額介護合算制度 1年間の医療保険と介護保険の自己負担を軽減する
後期高齢者医療制度 75歳以上等の医療保険を支える
自立支援医療 障害の軽減や精神科通院等に必要な医療費を軽減する
重度障害者医療費助成 一定の重度障害がある人の保険診療自己負担を自治体が助成する
指定難病医療費助成 指定難病と関連傷病の医療費を助成する
小児慢性特定疾病医療費助成 対象疾病のある児童等の医療費を助成する
傷病手当金 病気やけがで働けない期間の所得を補う
医療費控除 年間医療費が一定額を超えた場合に所得税等を軽減する
無料低額診療事業 経済的事情によって受診が難しい人の診療費を減免する
生活保護の医療扶助 生活保護受給者に必要な医療を給付する

ここで重要なのは、「窓口負担を抑える制度」「後から払い戻しを受ける制度」「所得を補う制度」「税を軽減する制度」は、それぞれ役割が異なるという点です。

例えば、医療費控除は、医療機関の窓口で医療費が安くなる制度ではありません。その年に支払った医療費を基に、確定申告によって所得税等の負担を軽くする制度です。傷病手当金も医療費そのものの助成ではなく、療養によって働けない期間の生活保障を目的としています。


2.高額療養費制度

高額療養費制度とは

高額療養費制度は、同じ月の1日から末日までに支払った保険診療の自己負担額が、年齢や所得に応じた上限額を超えた場合、超過額の支給を受けられる制度です。

2026年8月から制度が改正され、月単位の自己負担上限に加えて、長期療養者等を対象とする年間上限が設けられました。厚生労働省の例では、70歳未満で年収約370万円から約510万円の人が総医療費100万円の治療を受けた場合、2026年8月以降の自己負担は約9万3,000円です。実際の限度額は年齢、所得、加入保険、診療月などによって異なります。厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

対象となる費用

原則として、公的医療保険が適用された次の自己負担額が対象です。

  • 医師による診察
  • 保険適用となる検査
  • 投薬及び処方薬
  • 注射、点滴
  • 手術
  • 入院基本料
  • 保険適用となるリハビリテーション
  • 保険適用となる訪問看護
  • 保険薬局で支払った薬代

医療機関と保険薬局が別でも、条件を満たす自己負担額は合算の対象になります。

対象外となる費用

次の費用は、原則として高額療養費の対象になりません。

  • 入院時の食事代
  • 差額ベッド代
  • 先進医療の技術料
  • 自由診療
  • 健康診断
  • 予防接種
  • 診断書等の文書料
  • 病衣、テレビ、日用品等の費用
  • 保険適用外の歯科材料
  • 通院交通費
  • 介護保険サービスの自己負担

高額療養費によって入院費のすべてが上限内に収まるわけではありません。特に差額ベッド代、食事代、日用品費は別に必要です。

1か月単位で計算する点に注意

高額療養費は暦月単位です。例えば、7月25日から8月10日まで入院した場合、7月分と8月分に分けて計算します。入院期間が月をまたぐと、それぞれの月で限度額を計算するため、同じ日数の入院でも自己負担が変わることがあります。

緊急性のない予定入院では、治療上可能であれば月初からの入院が費用面で有利になる場合があります。ただし、治療日程は医学的必要性を最優先とし、費用だけを理由に受診や治療を遅らせるべきではありません。

世帯合算

同じ医療保険に加入する家族の自己負担は、一定の条件の下で合算できます。ただし、住民票上で同一世帯でも、加入する医療保険が異なる場合は合算できないことがあります。

例えば、夫が後期高齢者医療、妻が国民健康保険、子が勤務先の健康保険に加入している場合、それぞれ別の医療保険として計算します。

多数回該当

直近12か月以内に高額療養費の対象となった月が3回以上ある場合、4回目以降は「多数回該当」として上限額が低くなることがあります。抗がん剤治療、人工透析、免疫抑制療法など、長期にわたって高額な治療を受ける人に関係する仕組みです。

転職、退職、75歳到達などによって加入する医療保険が変わると、多数回該当の通算方法が変わる場合があります。保険が変わる予定がある人は、変更前後の保険者へ相談してください。

2026年8月からの年間上限

2026年8月から、月単位の限度額に加えて年単位の上限が導入されました。月ごとの負担が続く長期療養者について、年間の自己負担が一定額に達した後の負担を抑える仕組みです。厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」

所得区分や制度移行時期によって計算が異なるため、具体的な上限額は加入している健康保険組合、協会けんぽ、市区町村国民健康保険、後期高齢者医療広域連合に照会してください。


3.限度額適用とマイナ保険証

限度額適用とは

高額療養費は、いったん医療機関で自己負担額を支払い、後から上限超過分の支給を受けることが基本です。しかし、高額な医療費を一時的に立て替えることが難しい場合があります。

限度額適用の仕組みを利用すると、医療機関ごとの窓口負担を、その月の自己負担限度額までに抑えられます。

マイナ保険証を利用する場合

オンライン資格確認に対応する医療機関でマイナ保険証を提示し、限度額情報の提供に同意すると、原則として限度額適用認定証を別に提示しなくても、窓口負担に限度額が適用されます。

ただし、医療機関のシステム、加入保険の情報反映状況、公費負担医療との併用などによって個別対応が必要になる場合があります。入院前に医療機関の入退院窓口または医事課へ相談すると安心です。

限度額適用認定証が必要になる場合

マイナ保険証を使用しない場合や、オンライン資格確認に対応していない医療機関では、加入する医療保険へ申請し、限度額適用認定証等の交付を受けます。

主な申請先は次のとおりです。

  • 協会けんぽ加入者:全国健康保険協会の各支部
  • 健康保険組合加入者:勤務先または健康保険組合
  • 共済組合加入者:加入する共済組合
  • 国民健康保険加入者:住所地の市区町村
  • 後期高齢者医療加入者:住所地の市区町村または広域連合

横浜市国民健康保険では、オンライン資格確認に対応する医療機関で限度額情報の利用に同意する方法と、区役所で限度額適用認定証の交付を受ける方法が案内されています。横浜市「高額療養費支給制度」

限度額適用でも後日の手続きが必要なことがある

複数の医療機関を受診した場合、同じ世帯の家族分を合算する場合、医療機関と薬局の支払いを合算する場合などは、窓口負担だけでは最終的な高額療養費額を計算できないことがあります。その場合は、後から保険者へ高額療養費を申請します。


4.高額医療・高額介護合算制度

制度の目的

高額医療・高額介護合算制度は、医療保険と介護保険の両方を利用する世帯の負担を軽減する制度です。

毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間について、医療保険と介護保険の対象となる自己負担を合算し、所得及び年齢に応じた基準額を超えた場合に、超過分の支給を受けます。厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度」

対象となる費用

  • 高額療養費を適用した後の医療保険自己負担
  • 高額介護サービス費を適用した後の介護保険自己負担

対象外となる主な費用

  • 差額ベッド代
  • 入院時の食事代
  • 介護施設の食費及び居住費
  • 介護保険の支給限度額を超えて利用した費用
  • 日用品費
  • 理美容代
  • 保険適用外の医療費
  • 住宅改修費及び福祉用具購入費の一部
  • 医療保険、介護保険の給付対象外となるサービス

同じ世帯でも合算できない場合

合算の単位は、住民票だけではなく、同じ医療保険に加入している世帯員です。夫婦で異なる医療保険に加入している場合は、原則として別々に計算します。

計算期間中に転居、転職、退職、75歳到達などがあると、以前加入していた保険者から自己負担額証明書を取得し、基準日時点の保険者へ提出する場合があります。

申請先

原則として、基準日である7月31日時点に加入していた医療保険の窓口へ申請します。対象と思われる世帯へ通知が届く場合もありますが、転居や保険変更があると通知されないことがあるため、医療費と介護費の双方が高額な世帯は自ら相談することが大切です。


5.後期高齢者医療制度

対象となる人

後期高齢者医療制度は、原則として75歳以上の人が加入する公的医療保険です。75歳の誕生日当日から、それまで加入していた国民健康保険や勤務先の健康保険から移ります。

65歳以上75歳未満でも、一定の障害があり、後期高齢者医療広域連合の認定を受けた人は加入できます。ただし、この年齢層の障害認定による加入は本人の選択を伴います。現在の医療保険料、被扶養者としての立場、窓口負担、自治体の障害者医療費助成などを比較して判断する必要があります。

横浜市では、神奈川県後期高齢者医療広域連合が制度を運営し、各区役所保険年金課が届出や相談の窓口となります。横浜市「後期高齢者医療制度」

医療機関での負担割合

医療機関窓口での負担割合は所得に応じて1割、2割または3割です。2022年10月の2割負担導入に伴って設けられた負担増加を月3,000円までに抑える配慮措置は、2025年9月30日で終了しています。

2割負担の人にも高額療養費制度があり、外来医療の自己負担には月単位及び年単位の上限が設けられています。

保険料

保険料は、加入者が等しく負担する均等割額と、前年所得に応じた所得割額を合計して算定します。保険料は世帯単位ではなく、被保険者一人ずつに賦課されます。

2026年度から子ども・子育て支援金制度に伴う負担も加わっています。神奈川県の2026・2027年度の医療分保険料は、均等割額と所得割額によって算定され、2026年度は子ども分の均等割及び所得割も加算されます。横浜市「後期高齢者医療保険料について」

介護保険とは別の制度

後期高齢者医療保険料と介護保険料は別に賦課されます。年金から両方の保険料が差し引かれる場合もありますが、一つの保険料に統合されているわけではありません。


6.自立支援医療

自立支援医療とは

自立支援医療は、心身の障害を除去または軽減するために必要な医療について、自己負担を軽減する公費負担医療制度です。

次の3種類があります。

  1. 精神通院医療
  2. 更生医療
  3. 育成医療

原則的な自己負担割合は1割です。ただし、世帯所得や「重度かつ継続」への該当状況に応じて月額上限が設けられます。厚生労働省「自立支援医療制度の概要」

精神通院医療

精神疾患があり、継続的な通院精神医療を必要とする人が対象です。

対象となり得るものには、次の費用があります。

  • 精神科・心療内科等の外来診療
  • 精神疾患に関係する処方薬
  • 精神科デイケア
  • 訪問看護
  • 精神疾患に関係する検査

原則として入院医療は対象外です。また、精神疾患と関係のない風邪、けが、歯科治療などは対象になりません。

利用できる医療機関、薬局、訪問看護ステーションは、受給者証に記載された指定自立支援医療機関に限られます。通院先、薬局、訪問看護ステーションを変更するときは、原則として変更申請が必要です。

精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても、精神通院医療を申請できる場合があります。手帳と自立支援医療は別制度です。

更生医療

18歳以上の身体障害者手帳所持者で、障害を除去・軽減する治療によって効果が見込まれる人が対象です。

対象例には次のような医療があります。

  • 腎臓機能障害に対する人工透析、腎移植
  • 心臓機能障害に対する弁置換術、ペースメーカー植込み術
  • 肢体不自由に対する人工関節置換術
  • 視覚障害に対する手術
  • 免疫機能障害に対する医療

身体障害者手帳を持っていれば、すべての治療が1割負担になる制度ではありません。手帳に記載された障害と、更生医療として認定された治療との関連が必要です。

育成医療

18歳未満で身体に障害がある、または現存する疾患を放置すると将来障害を残す可能性があり、手術等によって改善が見込まれる児童が対象です。

口唇口蓋裂に伴う治療、先天性心疾患の手術、腎機能障害に対する治療、肢体不自由に対する手術などが対象となる場合があります。


7.重度障害者医療費助成

自治体が実施する医療費助成

重度障害者医療費助成は、一定の重度障害がある人について、保険診療の自己負担額を自治体が助成する制度です。全国一律ではなく、対象となる障害、所得制限、年齢制限、一部負担金、入院時食事代の扱いなどは自治体によって異なります。

横浜市では、対象者へ重度障害者医療証を交付し、保険診療の自己負担額を助成します。

利用時の基本的な考え方

医療機関を受診するときは、一般に次のものを提示します。

  • マイナ保険証または資格確認書
  • 重度障害者医療証
  • 自立支援医療、指定難病等を利用する場合は各受給者証

県外受診、医療証を提示できなかった場合、医療機関が制度を取り扱っていない場合などは、いったん支払った後に横浜市へ払い戻しを申請することがあります。

高額療養費との関係

健康保険から高額療養費が支給される部分について、障害者医療費助成と重複して受給することはできません。健康保険から高額療養費等の支給を受けた場合、その金額を差し引いて助成額を計算します。

健康保険組合によっては、法定の高額療養費に加えて「付加給付」がある場合があります。この付加給付も自治体助成との調整対象になることがあります。

対象外となりやすい費用

  • 保険適用外の診療
  • 差額ベッド代
  • 入院時の食事代
  • 文書料
  • 健康診断
  • 予防接種
  • 選定療養費
  • 介護保険サービス費

対象範囲は自治体ごとに異なるため、転居時には新しい自治体で申請し直す必要があります。


8.指定難病の医療費助成

指定難病とは

原因が十分に解明されておらず、治療方法が確立していない難病のうち、国が定める要件に該当する疾病を指定難病といいます。2025年4月1日時点で348疾病が指定されています。

対象疾病と診断されただけで自動的に医療費助成を受けられるわけではありません。疾病ごとの診断基準及び重症度基準を満たし、申請後に支給認定を受ける必要があります。

重症度基準を満たさない場合でも、指定難病に関係する月ごとの医療費総額が一定額を超える状態が継続していると、「軽症高額該当」として対象になる場合があります。

助成対象となる費用

指定医療機関で受けた、認定疾病及びその疾病に付随して発生する傷病に関係する次の費用が対象です。

  • 入院
  • 外来
  • 処方薬
  • 訪問看護
  • 一部の介護保険サービス

横浜市では、対象となる介護保険サービスとして、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、これらの介護予防サービス及び介護医療院サービスを案内しています。

自己負担

医療保険上の自己負担割合が3割の人は2割へ軽減されます。もともと1割または2割の人は、その割合が適用されます。

さらに、所得区分に応じた自己負担上限月額が設定されます。指定難病に関係する病院、薬局、訪問看護等の自己負担を合算し、月額上限を超えた部分は公費負担となります。

長期に高額な治療を受けている人には「高額難病治療継続」の特例があります。申請月を含む直近12か月のうち、指定難病に関係する医療費総額が5万円を超える月が6か月以上あるなどの要件を満たすと、月額上限が軽減される場合があります。

人工呼吸器等装着者についても特例がありますが、単に人工呼吸器を使用しているだけでなく、離脱の見込み、使用時間、日常生活上の介助状況などの要件があります。

対象外となる主な費用

  • 指定難病と関係のない傷病の治療
  • 指定医療機関以外で受けた医療
  • 保険適用外の診療
  • 入院時の食事代
  • 差額ベッド代
  • おむつ代、テレビ代、日用品費
  • 診断書や臨床調査個人票の文書料
  • 補装具、治療用装具
  • 通所介護
  • 訪問介護

指定医が勤務する医療機関と、難病法上の指定医療機関は同じ意味ではありません。申請書類を作成する医師が「指定医」であり、受給者証を利用して診療を受ける機関が「指定医療機関」です。

横浜市の制度内容、自己負担上限、指定医療機関及び申請先は、横浜市「特定医療費(指定難病)助成制度」で案内されています。


9.小児慢性特定疾病医療費助成

制度の対象

小児慢性特定疾病医療費助成は、長期にわたる療養を必要とし、生命や成長発達に影響する一定の疾病がある児童等について、医療費の負担を軽減する制度です。

2025年4月1日から対象疾病は801疾病に拡大されています。

原則として18歳未満が対象ですが、18歳になる前から制度を利用し、引き続き治療が必要な場合は、20歳未満まで継続できることがあります。18歳以降に初めて申請することはできません。

対象となる医療

認定された疾病及びその疾病に付随する傷病について、指定小児慢性特定疾病医療機関で受けた保険診療が対象です。

  • 診察
  • 入院
  • 検査
  • 薬剤
  • 訪問看護
  • その他、認定疾病に関係する保険診療

所得に応じた自己負担上限月額があり、重症患者、高額な治療を長期に受けている人、人工呼吸器等装着者などには負担軽減措置があります。

申請

申請では、指定医が作成した小児慢性特定疾病医療意見書が必要です。横浜市では、各区役所こども家庭支援課等が窓口となります。横浜市「小児慢性特定疾病制度の概要・申請」

医療費助成には開始日の遡及に関する仕組みがありますが、遡及できる期間には限度があります。対象疾病と診断された段階で、早めに医療機関の相談窓口または自治体へ相談してください。

小児医療費助成との関係

横浜市の小児医療費助成と、小児慢性特定疾病、育成医療等の公費負担医療を利用できる場合は、原則として疾病別の公費負担医療を先に適用し、残った保険診療の自己負担を小児医療費助成で扱います。横浜市「小児医療費助成」


10.傷病手当金

医療費ではなく所得を補う制度

傷病手当金は、勤務先の健康保険に加入する被保険者が、業務外の病気やけがによって働けず、給与を受けられない期間について支給を受ける制度です。

原則として国民健康保険には同一の法定給付がありません。自治体独自の給付が設けられる場合を除き、自営業者や国民健康保険加入者は対象外です。また、被扶養者も対象外です。

主な支給要件

次の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 業務外の病気やけがの療養であること
  2. それまでの仕事に就けない状態であること
  3. 連続する3日間を含め、4日以上仕事を休んでいること
  4. 休業期間について給与の支払いがないこと

最初の連続3日間を「待期」といい、4日目以降が支給対象です。待期には、有給休暇や土曜日・日曜日・祝日などの公休日を含められる場合があります。

業務中または通勤途中の病気やけがは、原則として労災保険の対象です。

支給額

協会けんぽの一般的な計算では、1日当たりの支給額は、おおむね支給開始日前12か月間の標準報酬月額の平均を30日で割り、その3分の2に相当する額です。

給与の一部が支払われている場合、傷病手当金より給与額が少なければ差額が支給されることがあります。

支給期間

支給開始日から通算して1年6か月が上限です。途中で復職して傷病手当金を受けない期間がある場合、その不支給期間を除いて通算します。全国健康保険協会「傷病手当金」

退職後も、退職前の被保険者期間や退職時の労務不能状態などの要件を満たせば、継続給付を受けられる場合があります。退職日に出勤すると継続給付へ影響する可能性があるため、退職前に健康保険へ相談してください。

障害年金等との調整

同じ傷病による障害厚生年金、障害手当金、老齢退職年金、労災保険の休業補償給付などを受ける場合、傷病手当金の一部または全部が調整されることがあります。


11.医療費控除

医療費控除とは

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに、自分または生計を一にする家族のために支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告によって所得控除を受ける制度です。

「生計を一にする」とは、必ずしも同居を意味しません。別居していても、生活費、学費、療養費等を継続的に負担している親族は対象となる場合があります。

医療費控除は、支払った医療費がそのまま戻る制度ではありません。課税所得から控除額を差し引き、所得税及び翌年度の住民税を軽減します。

控除額の基本計算

一般的な計算式は次のとおりです。

医療費控除額 =実際に支払った医療費 -保険金、高額療養費、出産育児一時金等で補填された額 -10万円

総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく、総所得金額等の5%を差し引きます。控除額の上限は200万円です。

対象となり得る費用

  • 医師または歯科医師による診療費
  • 治療に必要な医薬品
  • 入院費
  • 通院のための公共交通機関の運賃
  • 緊急時や公共交通機関を利用できない場合のタクシー代
  • 治療目的のあん摩、マッサージ、はり、きゅう、柔道整復
  • 医師の指示による治療用装具
  • 介護保険サービス費のうち法令上の対象部分
  • 一定の条件を満たすおむつ代
  • 訪問看護の自己負担
  • 妊娠、出産に関係する一定の費用

自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金は、原則として対象外です。

介護保険サービスと医療費控除

介護保険サービスのすべてが医療費控除の対象になるわけではありません。

訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護などの医療系サービスは、対象となる部分があります。訪問介護や通所介護などの福祉系サービスも、一定の医療系サービスと併せて利用する場合に対象となることがあります。

領収書に医療費控除対象額が記載されるため、確定申告前に領収書の該当欄を見てください。

申告方法

確定申告書に「医療費控除の明細書」を添付します。医療費通知を利用して明細を作成することもできます。

領収書そのものを申告書へ添付する必要はありませんが、原則として自宅で5年間保管します。国税庁「医療費を支払ったとき」

セルフメディケーション税制と通常の医療費控除は、同じ年に両方を適用できません。どちらか一方を選択します。


12.無料低額診療事業

経済的理由で受診できない人を支える制度

無料低額診療事業は、経済的な理由によって必要な医療を受けることが難しい人に対し、実施医療機関が診療費を無料または低額にする事業です。

生活保護を利用していない人でも相談できます。失業、収入減少、住居喪失、無保険、外国籍、家族関係の断絶など、さまざまな事情が対象になり得ます。

利用条件

全国共通の一律所得基準があるわけではありません。実施医療機関が、本人の収入、世帯状況、資産、生活費、医療の必要性などを基に減免の可否や期間を判断します。

相談時には、次の資料を求められる場合があります。

  • 給与明細
  • 年金額の分かる書類
  • 預貯金通帳
  • 家賃や公共料金の資料
  • 健康保険の資格情報
  • 本人確認書類

書類がそろっていないことを理由に受診を諦めず、まず医療機関の医療ソーシャルワーカーまたは相談員へ事情を伝えてください。

対象範囲

減免対象は、原則としてその医療機関に支払う診療費です。院外薬局の薬代、他院の診療費、差額ベッド代、文書料、交通費などは対象外となることがあります。

制度を利用する前に、診療費のどこまでが減免されるか、院外処方薬をどう扱うかを相談する必要があります。

横浜市内の実施医療機関

横浜市は、汐田総合病院、うしおだ診療所、済生会横浜市東部病院、梶山診療所、うしおだ在宅クリニック、済生会神奈川県病院などの実施施設を掲載しています。診療科、減免基準、申請方法は各施設へ問い合わせます。横浜市「無料低額診療施設」

無料低額診療は、生活保護の代わりに恒久的な医療保障を設ける制度ではありません。必要に応じて、生活困窮者自立支援制度、国民健康保険料の減免、生活保護申請などにつなぐ役割もあります。


13.生活保護の医療扶助

医療扶助とは

医療扶助は、生活保護を利用する人に対して、病気やけがの治療に必要な医療を給付する制度です。

生活保護受給者は、原則として国民健康保険の被保険者から除かれます。被用者保険等に加入していない場合、必要な医療費は医療扶助から給付され、原則として医療機関窓口での自己負担はありません。

被用者保険の被保険者・被扶養者である場合や、自立支援医療等の公費負担医療を利用できる場合は、他の制度を先に適用し、残る対象費用を医療扶助が扱います。厚生労働省「生活保護・医療扶助に関する参考資料」

対象となる医療

必要性が認められた次の医療等が対象になります。

  • 診察
  • 薬剤及び治療材料
  • 医学的処置
  • 手術
  • 入院
  • 訪問看護
  • 移送
  • 施術
  • その他、治療に必要な医療

原則として、生活保護法の指定医療機関を利用します。

受診方法

通常は、福祉事務所のケースワーカーへ受診希望を伝え、医療券等によって指定医療機関を受診します。マイナンバーカードを医療券・調剤券として利用する医療扶助のオンライン資格確認も導入されています。

夜間の急病や救急搬送など、事前連絡が難しい場合は、生命と身体の安全を優先して受診し、その後速やかに医療機関とケースワーカーへ生活保護受給中であることを伝えます。

医療扶助でも対象外となることがある費用

  • 医学的必要性のない差額ベッド代
  • 診断書等の文書料
  • 入院中のテレビ代や日用品費
  • 保険適用外の診療
  • 美容を目的とする治療
  • 医学的必要性が認められない移送費
  • 指定外医療機関で理由なく受けた診療

おむつ代、治療材料、通院移送費等は、医学的必要性や事前の手続きによって取り扱いが変わります。自己判断で購入・利用する前に、ケースワーカーへ相談してください。

医療扶助の申請をためらわないこと

所持金が少なく、受診できない状態にある場合、病状が悪化してから救急搬送となる危険があります。生活保護は、資産や収入だけでなく、世帯状況、扶養の実態、就労能力、医療・介護の必要性などを総合して判断する制度です。

親族がいること、持ち家があること、働いていることだけを理由に、一律に申請できないわけではありません。申請を希望する人には申請する権利があります。

横浜市では、各区福祉保健センターの生活支援課が生活保護の相談・申請窓口です。


14.複数の制度を利用するときの優先順位

医療費助成を複数利用できる場合、一般的には次の順序で費用を計算します。

  1. 公的医療保険
  2. 高額療養費
  3. 自立支援医療、指定難病、小児慢性特定疾病等の公費負担医療
  4. 重度障害者医療費助成、小児医療費助成等の自治体制度
  5. 民間医療保険等

実際の適用順序は制度の組み合わせによって異なります。二重給付は受けられないため、高額療養費、健康保険組合の付加給付、自治体の医療費助成、民間保険等から給付を受けたときは、別の制度の申請書へ記載する必要があります。

受給者証や医療証を複数持っている場合は、受診時にすべて提示してください。


15.制度の利用漏れを防ぐためのチェックポイント

医療費の負担が大きくなったときは、次の項目を整理します。

  • 加入している医療保険は何か
  • 医療機関窓口での負担割合は何割か
  • 1か月の保険診療自己負担額はいくらか
  • 入院が月をまたいでいるか
  • 同じ医療保険に加入する家族にも医療費があるか
  • 介護保険の自己負担も高額になっているか
  • 障害者手帳を取得しているか
  • 精神科への継続通院があるか
  • 指定難病または小児慢性特定疾病に該当するか
  • 勤務先の健康保険に加入しているか
  • 病気やけがで仕事を休んでいるか
  • 年間医療費が医療費控除の基準を超えるか
  • 経済的理由で受診や服薬を中断していないか
  • 生活費そのものが不足していないか

領収書、医療費通知、自己負担上限額管理票、受給者証、健康保険からの支給決定通知は、まとめて保管してください。転居、転職、退職、結婚、離婚、75歳到達、生活保護開始などによって、加入保険や助成制度の取り扱いが変わります。


16.どこへ相談すればよいか

相談内容 主な相談先
高額療養費・限度額適用 加入する健康保険、市区町村保険年金課
後期高齢者医療 市区町村、後期高齢者医療広域連合
自立支援医療 市区町村の障害福祉担当窓口
重度障害者医療費助成 市区町村の医療費助成担当窓口
指定難病 市区町村・都道府県の難病担当窓口
小児慢性特定疾病 市区町村の子ども・家庭担当窓口
傷病手当金 勤務先、健康保険組合、協会けんぽ
医療費控除 税務署、税理士
無料低額診療 実施医療機関の相談窓口
生活保護の医療扶助 福祉事務所、区役所生活支援課
入院中の制度相談 医療ソーシャルワーカー、退院支援部門
在宅療養と介護保険 地域包括支援センター、ケアマネジャー

地域別案内・申請手続・利用場面

17.横浜市・川崎市・大田区・品川区で相談するときの地域別案内

医療費を軽減する制度には、全国共通の法律に基づくものと、都道府県・市区町村が独自に実施するものがあります。高額療養費、傷病手当金、医療費控除などは全国共通の枠組みですが、障害のある方、子ども、ひとり親家庭などを対象とする医療費助成は、対象となる手帳の等級、所得制限、自己負担、年齢、医療証の使い方が自治体ごとに異なります。

そのため、横浜市で利用していた医療証を川崎市や東京都内の医療機関でそのまま使えるとは限りません。県外・都外で受診したときはいったん自己負担し、後日、住民登録地の自治体へ払い戻しを申請する方式になることがあります。転居したときは、以前の自治体が発行した受給者証や医療証の有効期間だけを見て使い続けず、新しい住所地で手続きしてください。

横浜市に住んでいる方

横浜市国民健康保険の高額療養費、限度額適用、高額医療・高額介護合算療養費については、原則として住所地の区役所保険年金課が相談先です。会社の健康保険、健康保険組合、共済組合などへ加入している方は、勤務先ではなく加入している保険者へ確認する場合があります。保険証や資格確認書に記載された保険者名を最初に確認すると、相談先を間違えにくくなります。

自立支援医療、障害のある方の医療費助成、生活保護の医療扶助などは、区役所の高齢・障害支援課、こども家庭支援課、生活支援課など、制度によって担当が分かれます。指定難病の医療費助成は、横浜市の案内で対象疾病、認定基準、申請書類、指定医療機関、更新手続を確認します。診断名が似ていても、指定難病の診断基準や重症度基準を満たすかは指定医の臨床調査個人票に基づいて審査されます。

横浜市外の医療機関を受診した場合、医療証を窓口で使えず、償還払いになることがあります。領収書は、受診者名、診療日、保険診療点数、自己負担額、医療機関名が分かる状態で保管してください。領収書だけでは内容を確認できないときは、診療報酬明細書に相当する書類の提出を求められることがあります。

川崎市に住んでいる方

川崎市国民健康保険の高額療養費や限度額適用は、各区役所・支所の保険年金担当窓口が基本の相談先です。会社員や被扶養者は加入している健康保険へ、後期高齢者医療制度の加入者は神奈川県後期高齢者医療広域連合と市の窓口へ確認します。

障害のある方への医療費助成、自立支援医療、指定難病、小児慢性特定疾病などは、それぞれ対象要件と担当窓口が異なります。川崎市の医療費助成を受けている方が市外で受診した場合や、医療証を提示できなかった場合は、払い戻しの可否と期限を確認してください。健康保険から高額療養費や付加給付が支給されるときは、その金額を差し引いて助成額を計算するため、保険者の支給決定通知が必要になることがあります。

川崎市と横浜市は同じ神奈川県内ですが、市の制度は同一ではありません。「県内だから同じ」と考えず、川崎市の最新案内で所得制限、対象年齢、自己負担、申請先を確認することが大切です。

大田区に住んでいる方

大田区の国民健康保険に加入する方の高額療養費、限度額適用、高額医療・高額介護合算療養費は、区の国保年金担当へ相談します。社会保険に加入する方は勤務先の保険者、後期高齢者医療制度の方は東京都後期高齢者医療広域連合と区の窓口が関係します。

東京都には、心身障害者医療費助成、難病医療費助成、ひとり親家庭等医療費助成など、都の制度と区の受付が組み合わさる制度があります。医療証の名称が似ていても、対象、所得限度額、一部負担金、対象外費用は制度ごとに異なります。大田区外や東京都外で受診するときは、医療証を利用できるか、利用できない場合の払い戻し方法を事前に確認してください。

精神通院医療の自立支援医療は、指定された医療機関、薬局、訪問看護事業所等での対象医療に限られます。通院先や薬局を変更する場合は、受給者証に登録された指定医療機関の変更手続が必要になることがあります。先に受診先だけを変えると、助成を利用できない期間が生じるおそれがあります。

品川区に住んでいる方

品川区国民健康保険の高額療養費では、該当世帯へ診療月から一定期間後に申請書が送られる取扱いがあります。ただし、通知を待つ間も領収書、医療費通知、振込口座情報などを保管し、転居や世帯主変更がある場合は早めに確認してください。会社の健康保険などへ加入している方は、品川区ではなく加入保険者が手続先です。

品川区の自立支援医療は、精神通院医療、更生医療、育成医療で対象と受付が分かれます。自己負担は原則1割で、世帯所得や「重度かつ継続」への該当によって月額上限が設定されます。入院時の食事療養費・生活療養費や保険外費用は原則として対象外です。精神通院医療は入院医療を対象とせず、指定医療機関での通院、薬局、訪問看護等が対象となります。

品川区外や東京都外で受診したとき、医療証を利用できなかったときは、健康保険の給付を先に確認したうえで払い戻しを申請することがあります。高額療養費の支給決定通知、健康保険組合の付加給付通知、領収書原本など、必要書類を処分しないでください。

4自治体に共通する確認事項

市区町村の窓口へ相談するときは、次の内容を整理すると説明がスムーズです。

  • 住民登録のある自治体と区
  • 加入している健康保険の正式名称
  • 受診者の年齢と世帯構成
  • 医療証、受給者証、障害者手帳等の有無
  • 診療月と医療機関名
  • 入院か外来か、薬局や訪問看護の利用があるか
  • その月に支払った保険診療の自己負担額
  • 食事代、差額ベッド代、文書料等の保険外費用
  • 健康保険から高額療養費や付加給付を受けたか
  • すでに別の助成制度へ申請しているか

制度名が分からない場合は、「医療費が高くて困っている」「精神科へ継続通院している」「難病の診断を受けた」「障害者手帳がある」「子どもの医療費について確認したい」など、現在の状況を具体的に伝えてください。


18.入院前・入院中・退院後に行う医療費確認

入院が決まったとき

予定入院では、入院日が決まった段階で医療機関の患者相談窓口または医事課へ、概算費用、保険診療と保険外費用の内訳、限度額適用の取扱いを確認します。マイナ保険証による限度額情報の提供に同意できる医療機関では、認定証の提出を省略できる場合があります。オンライン資格確認を利用できない医療機関、資格情報を確認できない状況、住民税非課税区分の確認が必要な場合などは、加入保険者への申請が必要になることがあります。

「窓口支払いが上限までになる」ことと、「入院費の総額が上限になる」ことは同じではありません。食事療養標準負担額、差額ベッド代、病衣や日用品のレンタル、診断書料、テレビカード、保険外の治療材料などは、高額療養費の対象外です。入院案内に記載された費用を一つずつ確認してください。

月末から翌月へ入院が続くと、高額療養費は月ごとに計算されます。たとえば7月28日から8月10日までの入院は、7月分と8月分に分かれます。同じ総医療費でも、1か月内に収まる場合と月をまたぐ場合では、自己負担が異なることがあります。治療上必要な入院日程を費用だけで変更してはいけませんが、計算方法を知っておくと支払いの準備ができます。

入院中に確認すること

入院中に医療費の支払いが難しいと分かったときは、請求日まで待たず、医療ソーシャルワーカーや病棟スタッフへ相談してください。利用できる制度は、医療費だけでなく、休職中の収入、家賃、家族の生活費、介護、退院後の住まいによって変わります。

会社員等で業務外の病気やけがにより働けない場合は、傷病手当金を確認します。業務上または通勤途中のけが・病気であれば、健康保険ではなく労災保険が関係する可能性があります。交通事故など第三者の行為による負傷では、健康保険へ届出が必要になることがあります。原因を曖昧にしたまま請求すると、後から給付調整が必要になることがあります。

退院前に確認すること

退院後に通院、訪問診療、訪問看護、薬局、介護サービス、福祉用具を利用する場合は、医療保険と介護保険のどちらが適用されるかを確認します。訪問看護は、年齢、疾患、主治医の指示、特別訪問看護指示書の有無などによって適用保険が変わります。利用者が自由に選択するのではなく、法令上の取扱いに基づいて判断されます。

退院時処方、在宅酸素、人工呼吸器、ストーマ用品、治療用装具などは、制度や申請時期が異なります。治療用装具は、医師の指示書や装具の領収書等を用いて、加入保険者へ療養費を申請し、その後に自治体助成を申請する順序になることがあります。購入前に病院と保険者へ必要書類を確認してください。


19.高額療養費を申請するときの実務

まず保険者を確定する

高額療養費の申請先は、診療を受けた時点で加入していた医療保険です。現在の保険ではありません。退職、転職、扶養変更、国民健康保険への加入、後期高齢者医療制度への移行が診療月の途中にあると、保険者ごとに計算が分かれることがあります。

資格確認書、資格情報のお知らせ、マイナポータル等で保険者名と資格取得日を確認します。家族の医療費を世帯合算する場合も、「住民票上同じ世帯」だけではなく、同じ医療保険の被保険者・被扶養者であることが基本です。夫婦でも別々の会社の健康保険へ加入していれば、原則として互いの自己負担を合算できません。

領収書と医療費通知を分けて考える

医療機関の領収書は、実際に支払った事実を確認する資料です。健康保険の医療費通知は、保険者が把握した保険診療の記録です。医療費通知に反映されるまで時間がかかることがあり、保険外費用は記載されません。両者の金額が違うときは、診療月、受診者、医療機関、入院・外来、薬局を分けて確認します。

高額療養費の対象となる自己負担には計算単位があります。70歳未満では、原則として同一月、同一人、医療機関ごと、入院・外来別などの単位で自己負担を整理し、一定額以上のものを世帯合算する仕組みがあります。70歳以上では取扱いが異なります。個別の計算は保険者へ確認してください。

支給までの資金が不足するとき

高額療養費は、いったん支払った後に払い戻される場合、支給まで数か月を要することがあります。窓口負担が難しいときは、限度額適用、高額療養費の貸付制度、医療機関の分割相談、無料低額診療事業などの利用可否を確認します。制度があるか、貸付割合、審査、申請期限は保険者や医療機関によって異なります。

支払いが難しいからといって受診を中断する前に、医療機関の相談員へ伝えてください。制度の手続きと治療の必要性は分けて検討し、安全を優先します。


20.自立支援医療を利用するときの注意点

精神通院医療

精神通院医療は、精神疾患について継続的な通院治療が必要な方を対象とする制度です。対象となるのは指定自立支援医療機関で行われる精神疾患の通院医療で、診察、処方薬、精神科デイケア、訪問看護などが含まれることがあります。入院医療、精神疾患と関係のない治療、指定外医療機関での診療は原則として対象外です。

受給者証には利用する医療機関、薬局、訪問看護事業所等が記載されます。転院、薬局変更、訪問看護の追加を希望するときは、変更後の利用開始前に自治体へ手続きを確認してください。受給者証の有効期限と更新受付期間も確認します。診断書の提出が必要な年と、申請書等で更新できる年がある場合があります。

更生医療

更生医療は、18歳以上で身体障害者手帳を持つ方が、障害を軽くしたり機能を回復・維持したりするために必要な医療を受ける場合の制度です。対象となる障害、治療内容、指定医療機関などの要件があります。手帳を持っていればすべての医療が1割になる制度ではありません。

人工透析、心臓手術、関節手術、免疫抑制療法などが例として挙げられますが、実際の対象は障害と医療の関係、医学的適応、指定状況、事前申請によって判断されます。治療開始後では遡って認定できない場合があるため、予定手術や透析導入が決まった段階で相談してください。

育成医療

育成医療は、18歳未満で、現在障害がある、または治療しないと障害が残るおそれがあり、手術等により改善が見込まれる児童を対象とする制度です。対象疾病、治療内容、所得要件、指定医療機関などの条件があります。

入院時の食事代、保険外診療、文書料、差額ベッド代などは原則として対象外です。治療用装具は、いったん支払った後に療養費と育成医療の払い戻しを申請するなど、別の手続きになることがあります。

自己負担上限額管理票

複数の指定医療機関、薬局、訪問看護事業所を利用する方は、自己負担上限額管理票を毎回提示します。各機関がその月の自己負担額を記録し、合計が月額上限に達した後は、対象医療についてそれ以上の自己負担が生じないよう管理します。

管理票を忘れると、医療機関側で当月合計を確認できず、多く支払うことがあります。後日精算できるかは医療機関や自治体へ確認してください。紛失したときは再交付手続を行い、自己判断で金額を書き込まないでください。


21.指定難病・小児慢性特定疾病の申請実務

診断だけで自動的に助成されるわけではない

指定難病の名称に該当する診断を受けても、助成には診断基準と重症度基準等を満たす必要があります。重症度基準を満たさない場合でも、指定難病に係る医療費総額が一定期間に一定額を超える「軽症高額該当」により認定される場合があります。ここでいう医療費総額は、窓口で支払った自己負担額ではなく、保険診療の10割相当額です。

申請には、難病指定医が作成する臨床調査個人票、申請書、医療保険の資格情報、世帯の所得を確認する書類などが必要になります。支給開始日の取扱いには申請期限が関係するため、臨床調査個人票を受け取ったら放置せず、自治体の最新案内を確認してください。

指定医療機関と対象医療

助成の対象は、原則として指定医療機関で受けた指定難病および付随して発生する傷病に関する保険診療です。指定難病と関係のない一般診療、保険外診療、文書料、差額ベッド代などは対象外です。

病院だけでなく、薬局、訪問看護事業所等も指定を受けている必要があります。受診前に指定状況を確認し、受給者証と自己負担上限額管理票を提示します。複数機関の自己負担を管理票で合算し、所得区分に応じた月額上限まで負担します。

小児慢性特定疾病

小児慢性特定疾病医療費助成は、対象疾病と認定基準を満たす児童等の医療費を支援する制度です。原則として18歳未満が対象ですが、18歳到達時点で認定を受け、引き続き治療が必要な場合などは20歳未満まで継続できることがあります。

申請には指定医が作成する医療意見書が必要です。子どもの医療費助成、健康保険の高額療養費、入院時食事療養費の助成等との調整があるため、持っている医療証・受給者証をすべて窓口へ伝えてください。


22.働いている方・退職した方の医療費と所得保障

傷病手当金

健康保険の被保険者が、業務外の病気やけがの療養のため働けず、連続する3日間を含み4日以上仕事を休み、休業期間について十分な給与を受けられない場合、傷病手当金の対象となることがあります。待期の3日間には有給休暇や公休日を含められる場合がありますが、支給開始は4日目以降です。

支給額は原則として支給開始日前12か月の標準報酬月額を基礎に計算されます。加入期間が12か月未満の場合などは別の計算があります。支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月です。同じ病気で途中に出勤した期間があっても、制度改正後は支給日数を通算して扱います。

退職後も一定要件を満たせば継続給付を受けられる場合があります。ただし、退職日に出勤した場合など対象外となることがあります。退職前に勤務先と保険者へ確認してください。

労災保険との区別

仕事中または通勤途中のけが・病気は、健康保険ではなく労災保険が優先される可能性があります。労災保険には療養補償給付、休業補償給付等があります。会社が労災ではないと言っただけで健康保険を使うのではなく、労働基準監督署等へ相談できます。

退職・転職時の健康保険

退職後の医療保険には、任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者などの選択肢があります。保険料だけでなく、扶養要件、給付内容、健康保険組合の付加給付、申請期限を比較してください。

退職前後で入院が続く場合、保険者が変わると高額療養費の計算は保険者ごとに分かれます。限度額情報も引き継がれないことがあるため、新しい保険者で手続きを確認します。


23.医療費控除を正しく申告するために

高額療養費や保険金を差し引く

医療費控除では、その年に実際に支払った医療費から、健康保険の高額療養費、出産育児一時金、民間保険の入院給付金など、医療費を補てんする金額を差し引きます。補てん金は、その給付の目的となった医療費から差し引き、余った金額を他の医療費から差し引く必要はありません。

申告時点で高額療養費の支給額が確定していない場合は、見込額で計算し、後に金額が異なったときは修正申告または更正の請求が必要になることがあります。税務上の具体的な処理は税務署または税理士へ確認してください。

通院交通費

通院のために通常必要な電車・バス等の公共交通機関の費用は、医療費控除の対象となり得ます。自家用車のガソリン代、駐車場代は原則として対象になりません。タクシー代は、病状や交通事情から公共交通機関を利用できないなど、必要性が認められる場合に対象となり得ます。

交通系ICカードの利用履歴だけでは通院目的が分かりにくいため、受診日、医療機関、経路、金額を記録します。付き添いが必要な子どもや患者の付き添い人の交通費も、状況によって対象となり得ます。

介護保険サービス

介護保険サービスの自己負担がすべて医療費控除になるわけではありません。医療系の居宅サービス、医療系サービスと併せて利用する一定の福祉系サービス、施設サービスなど、サービス種別と領収書の記載により取扱いが異なります。事業者が発行する領収書の「医療費控除対象額」を確認してください。

おむつ代は、一定の要件を満たし、医師が発行する証明書や、市区町村が介護保険の主治医意見書内容を確認して交付する確認書が必要になる場合があります。毎年同じ書類でよいとは限らないため、申告年分の要件を確認してください。

医療費通知と領収書

医療費通知を医療費控除の明細書に利用できる場合があります。ただし、通知に載っていない診療、実際に支払った額との違い、助成後の自己負担額、交通費などは自分で補う必要があります。領収書は申告書へ添付しなくても、税務署から提示を求められることがあるため法定期間保管します。


24.利用場面別の具体例

以下は制度の考え方を理解するための一般例です。実際の認定や金額は、年齢、所得、加入保険、世帯、診療内容、自治体制度によって異なります。

例1 予定手術で入院する会社員

まず加入する健康保険へ高額療養費の所得区分を確認し、医療機関でマイナ保険証による限度額情報を利用できるか確認します。利用できない場合は限度額適用認定証を申請します。病院には、食事代、差額ベッド代、病衣等の保険外費用の概算を確認します。

休職が見込まれる場合は傷病手当金も確認します。高額療養費は医療費を、傷病手当金は休業中の所得を支える別制度です。民間保険の給付金を受けるときは、医療費控除で補てん額として扱う範囲を確認します。

例2 夫婦それぞれに高い外来医療費がある

夫婦が同じ医療保険に加入していれば世帯合算の対象になる可能性があります。別々の会社の健康保険へ加入していれば、住民票が同じでも原則として合算できません。70歳未満と70歳以上では合算の計算方法が異なるため、領収書を受診者・医療機関・入院外来・月別に整理して保険者へ確認します。

例3 精神科へ継続通院し訪問看護も利用する

自立支援医療(精神通院医療)の対象となる可能性があります。主治医へ相談し、自治体で申請します。利用する病院、薬局、訪問看護事業所が指定医療機関であり、受給者証に登録されているか確認します。精神疾患と関係のない内科診療や入院医療は同制度の対象外です。

例4 指定難病の診断を受けた

難病指定医に臨床調査個人票の作成を依頼し、住所地の自治体へ申請します。重症度基準を満たさない場合も、軽症高額該当に該当する可能性があるため、指定難病に係る領収書や医療費を確認できる書類を保管します。認定前の医療費の取扱いと支給開始日は申請時期に関係するため、早めに手続きします。

例5 医療費と介護サービス費がともに高い高齢世帯

医療保険の高額療養費と介護保険の高額介護サービス費をそれぞれ確認したうえで、毎年8月から翌年7月までの自己負担を合算する高額医療・高額介護合算制度を確認します。食費、居住費、差額ベッド代、介護保険外サービスなどは合算対象外です。

例6 無保険状態で受診をためらっている

まず現在の保険資格を確認します。退職後の届出が遅れている場合でも、国民健康保険の資格取得日が退職日の翌日まで遡ることがあります。保険料も遡って発生する可能性があります。生活費自体が不足し受診できない場合は、無料低額診療事業や生活保護を含め、医療機関の相談員と福祉事務所へ相談します。


25.よくある質問

Q1.高額療養費は自動的に振り込まれますか

加入する保険者によって取扱いが異なります。申請書が送られる場合、申請が必要な場合、自動払いの登録制度がある場合があります。通知が来ないから対象外とは限らないため、診療月からの期間と申請期限を保険者へ確認してください。

Q2.差額ベッド代も高額療養費の対象ですか

原則として対象外です。入院時食事療養費、病衣、テレビ、文書料、先進医療の技術料なども対象外です。差額ベッド代については、患者の希望と同意の取扱いを含め、医療機関へ説明を求めてください。

Q3.月をまたぐ入院は合算できますか

高額療養費は暦月ごとに計算するため、月をまたぐ入院は各月に分けて計算します。同じ入院でも、前月分と翌月分を一つの月として合算することはできません。

Q4.マイナ保険証があれば必ず上限額までになりますか

オンライン資格確認に対応し、限度額情報の提供に同意し、資格・所得区分を確認できる場合は、認定証を提出せず窓口支払いを上限までにできることがあります。ただし、保険外費用は別であり、複数医療機関の世帯合算等は後日の申請が必要になることがあります。

Q5.医療費が高い家族分を合算できますか

同じ医療保険に加入する家族であることが基本です。住民票上同じ世帯でも保険者が違う場合は原則として合算できません。年齢や自己負担額による条件もあるため、保険者へ確認してください。

Q6.健康保険組合の付加給付とは何ですか

法定の高額療養費に加え、健康保険組合が独自に自己負担を軽減する給付です。すべての保険者にあるわけではなく、支給基準も異なります。自治体助成や医療費控除では補てん額として申告が必要になることがあります。

Q7.高額療養費の申請期限はありますか

原則として診療を受けた月の翌月初日から2年で時効となりますが、支払い日などにより起算の取扱いが異なる場合があります。期限直前まで待たず、保険者へ確認してください。

Q8.自立支援医療は入院にも使えますか

精神通院医療は原則として入院を対象としません。更生医療・育成医療は、認定された治療内容に入院が含まれる場合があります。受給者証の制度区分と対象医療を確認してください。

Q9.自立支援医療で内科の薬も1割になりますか

精神通院医療では、認定された精神疾患とその治療に関係する医療が対象です。精神疾患と関係のない内科疾患等の診療は対象外です。判断が難しい場合は医療機関と自治体へ確認してください。

Q10.指定難病と診断されればすぐ助成されますか

診断だけで自動的に助成されるわけではありません。指定医が作成する臨床調査個人票に基づき、診断基準、重症度基準、または軽症高額該当等を審査し、認定される必要があります。

Q11.難病受給者証はどの病院でも使えますか

原則として指定医療機関で、認定された指定難病と付随する傷病の対象医療を受ける場合に使います。病院、薬局、訪問看護事業所それぞれの指定状況を確認してください。

Q12.障害者手帳があれば医療費は無料ですか

手帳を持っているだけですべての医療費が無料になるわけではありません。自治体の医療費助成には手帳等級、所得、年齢、保険加入などの要件があり、一部負担がある場合もあります。

Q13.県外・都外の病院でも医療証を使えますか

窓口で使えないことがあります。その場合は保険診療の自己負担を支払い、後日住所地の自治体へ払い戻しを申請できる可能性があります。受診前に自治体へ確認し、領収書を保管してください。

Q14.無料低額診療事業なら薬局の薬代も無料ですか

事業を実施する医療機関の診療費が対象で、院外薬局の薬代は対象外となることがあります。対象範囲、減免基準、利用期間は医療機関ごとに確認してください。

Q15.生活保護を申請すると家族へ必ず連絡されますか

扶養義務者への照会は、扶養が保護の要件という意味ではありません。DV、虐待、長期間の音信不通など、照会が適当でない事情がある場合は福祉事務所へ具体的に伝えてください。個別事情に基づいて判断されます。

Q16.持ち家があると生活保護の医療扶助を利用できませんか

居住用の持ち家があるだけで一律に申請できないわけではありません。資産価値、利用状況、処分可能性、生活維持への影響などを個別に判断します。申請前に自己判断で売却せず、福祉事務所へ相談してください。

Q17.借金があっても医療費控除を受けられますか

借金の有無は医療費控除の直接の要件ではありません。実際に支払った対象医療費、所得、補てん金額等に基づいて計算します。ただし、医療費控除は税負担を軽くする制度であり、支払った医療費がそのまま戻る制度ではありません。

Q18.医療費控除とセルフメディケーション税制を両方使えますか

同じ年分について両方を併用することはできず、どちらかを選択します。対象となる費用と控除額を比較し、申告期限内に選択してください。

Q19.通院のタクシー代は医療費控除になりますか

電車やバスを利用できない病状、緊急性など、タクシー利用が必要と認められる場合は対象となり得ます。単に便利だから利用した場合は原則対象外です。利用日、区間、理由、金額を記録してください。

Q20.介護サービス費も医療費控除になりますか

対象となるサービスと対象外のサービスがあります。領収書に記載された医療費控除対象額を確認します。区分支給限度基準額を超えて全額自己負担した部分など、取扱いが異なる費用があります。

Q21.会社を退職した後も傷病手当金を受けられますか

退職前の被保険者期間、退職日時点の支給要件など、一定条件を満たせば継続給付の対象となることがあります。退職日に出勤した場合など対象外となることがあるため、退職前に保険者へ確認してください。

Q22.仕事中のけがに健康保険を使えますか

業務上・通勤途中のけがや病気は労災保険が優先される可能性があります。健康保険を使う前に勤務先と労働基準監督署へ確認してください。

Q23.医療費の領収書をなくしました

医療機関が領収書を再発行する義務があるとは限りません。支払証明書を有料で発行できる場合があります。高額療養費、自治体助成、医療費控除で必要な書類が異なるため、申請先へ代替書類を確認してください。

Q24.制度を使うと治療内容が制限されますか

制度ごとに保険診療、指定疾病、指定医療機関などの対象範囲があります。医学的に必要な治療を制度だけで決めるものではありませんが、保険外診療や制度対象外の治療は助成されません。主治医と相談窓口の双方へ確認します。

Q25.どの制度を使えるか分かりません

加入保険、年齢、住所地、診断・障害、就労状況、1か月の自己負担額、介護利用の有無を整理し、医療機関の医療ソーシャルワーカー、保険者、市区町村の相談窓口へ相談してください。一つの窓口で完結しない場合は、紹介された担当と相談内容をメモしてつなぎます。


26.相談時に使える確認メモ

相談前に次の項目を書き出しておくと、制度の確認漏れを防げます。

  1. 受診した人の年齢と住所地
  2. 診療を受けた年月
  3. 加入していた健康保険と保険者名
  4. 入院・外来・薬局・訪問看護の別
  5. 保険診療自己負担額
  6. 食事代・差額ベッド代・文書料等の保険外費用
  7. 同じ保険に加入する家族の医療費
  8. 介護保険自己負担額
  9. 持っている医療証・受給者証・障害者手帳
  10. 高額療養費・付加給付・民間保険給付の受給状況
  11. 休職・退職・収入減少の有無
  12. 今後予定される治療と支払時期

窓口では、担当部署名、担当者、相談日、必要書類、申請期限、次に連絡する先を記録します。「後で申請できる」と言われた場合は、いつからいつまでの費用が対象か、領収書原本が必要か、健康保険の決定通知を先に取る必要があるかを確認してください。


27.制度を安全に利用するための重要事項

医療費軽減制度の記事だけで、個別の受給可否や支給額を決めることはできません。制度改正、所得区分、世帯構成、保険者の変更、自治体条例の改正により取扱いは変わります。この記事は2026年8月1日時点の公的情報を基礎に作成し、申請時には必ず各制度の公式案内と窓口で最新情報を確認してください。

医療費の負担が不安でも、処方薬を減らす、通院を中断する、必要な検査を断るなどの判断を自己判断で行わないでください。主治医、薬剤師、医療ソーシャルワーカーへ費用の不安を伝えることで、治療上の安全を保ちながら制度や支払方法を検討できます。

申請書には、事実に基づく情報を記載します。所得、保険資格、他制度からの給付、世帯構成を誤って申告すると、後から返還や訂正が必要になることがあります。分からない欄は推測で記入せず、受付窓口へ確認してください。

内容確認と文責

本ページは、医療費の負担軽減に関する制度を探すための一般的な案内です。診断、治療、法律・税務上の個別判断を行うものではありません。制度内容は厚生労働省、国税庁、全国健康保険協会、横浜市、川崎市、大田区、品川区等の公表資料を確認し、2026年8月1日時点で整理しています。実際の申請では、加入保険者、住所地の自治体、税務署、医療機関等の最新案内を優先してください。


個別制度・追加FAQ・用語の脚注

28.制度別に見る「対象になる費用・ならない費用」

診察・検査・手術

公的医療保険が適用される診察、検査、手術は、高額療養費の計算対象になります。ただし、患者が希望して受ける保険外の検査、自由診療、先進医療の技術料等は対象外です。先進医療では、通常診療と共通する診察・検査・入院料等の部分に保険が適用されても、先進医療の技術料は全額自己負担になるのが基本です。

自立支援医療や指定難病医療費助成では、保険診療であることに加え、認定された障害・疾病の治療に関係し、指定医療機関で行われることが必要です。同じ日に同じ病院で支払った費用でも、対象疾病と関係のない診療は助成対象外になることがあります。

処方薬・薬局

医師の処方箋に基づき保険薬局で調剤された薬は、保険診療の一部として高額療養費の対象になります。病院と院外薬局の自己負担は、同一月分を保険者が制度上の単位で計算します。市販薬、健康食品、サプリメント、保険外の選定療養に係る追加負担などは、高額療養費の対象外です。

自立支援医療や指定難病では、利用する薬局が指定医療機関であり、受給者証に登録されていることを確認します。処方元の医療機関だけが登録されていても、薬局が未登録では助成を受けられないことがあります。

入院時の食事代・居住費

入院時の食事療養標準負担額や、療養病床等の生活療養標準負担額は、高額療養費の対象外です。ただし、住民税非課税世帯等では、事前の認定により食事代等が軽減される制度があります。過去12か月の入院日数が一定期間を超える場合の長期入院該当など、追加手続が必要になることがあります。

マイナ保険証で限度額情報を確認できても、食事代の減額区分や長期入院該当が自動的にすべて反映されるとは限りません。病院と保険者へ確認してください。

差額ベッド代

差額ベッド代は、特別療養環境室に入院した場合の保険外費用で、高額療養費の対象外です。医療機関は、病室の設備、料金、患者の同意等について説明する必要があります。治療上の必要や病棟管理上の事情で患者が希望していない個室へ入った場合など、差額ベッド代を求められない取扱いがあるため、疑問があれば医事課や患者相談窓口へ確認してください。

治療用装具

コルセット、義肢、弾性着衣、小児弱視等の治療用眼鏡など、医師が治療上必要と認めた装具は、要件を満たせば療養費の対象となることがあります。一般的には、いったん全額を支払い、医師の証明書、領収書、装具の明細等を加入保険者へ提出します。

自治体の医療費助成を利用する方は、健康保険の療養費支給決定後に、残る自己負担について自治体へ申請する場合があります。購入前に必要書類を確認し、装具業者の領収書と内訳を保管してください。

訪問看護・訪問診療

訪問診療や往診、訪問看護は、要件により医療保険または介護保険が適用されます。医療保険の対象となった自己負担は高額療養費、介護保険の対象となった自己負担は高額介護サービス費の対象になり得ます。両方の年間負担が高い場合は、高額医療・高額介護合算制度を確認します。

交通費、時間外加算、死後の処置、保険外の付き添いサービス、日用品費などは、制度対象外となることがあります。契約時に保険内・保険外の費用を分けて説明してもらいます。

歯科治療

保険適用の歯科診療は高額療養費や医療費控除の対象となり得ます。自由診療のインプラント、審美目的の矯正、保険外材料などは高額療養費の対象外です。医療費控除では、治療目的、一般的な水準の費用かどうかなどにより判断が異なります。

訪問歯科診療や口腔ケアについても、医療保険と介護保険の適用関係があります。請求書の項目が分からない場合は、歯科医院やケアマネジャーへ確認してください。


29.医療保険の種類による違い

国民健康保険

自営業者、退職後に他の健康保険へ加入していない方などが加入します。保険者は市区町村または国民健康保険組合です。横浜市、川崎市、大田区、品川区の国民健康保険では、住所地の自治体が高額療養費等の手続窓口になります。

保険料の滞納があっても、医療を受ける必要性がなくなるわけではありません。窓口負担や資格確認で問題がある場合は、保険料担当と給付担当へ相談してください。災害、失業、所得減少等により保険料の減免や納付相談の対象になることがあります。

被用者保険

会社員、公務員等が加入する健康保険組合、協会けんぽ、共済組合などです。高額療養費の法定給付に加え、保険者独自の付加給付がある場合があります。自治体へ申請する前に、加入保険者から支給される金額を確認します。

被扶養者の医療費も同じ保険者内で高額療養費の計算対象になりますが、被扶養者認定が外れた後の診療や、資格喪失後受診は別の調整が必要です。資格変更日を確認してください。

後期高齢者医療制度

原則75歳以上の方と、一定の障害があり認定を受けた65歳以上75歳未満の方が対象です。窓口負担割合は所得等に応じて1割、2割または3割です。高額療養費には、外来の個人単位上限と世帯単位上限があります。

高額療養費の申請方法、振込口座の登録、基準収入額適用などは、後期高齢者医療広域連合と市区町村窓口へ確認します。75歳到達月は、加入前の医療保険と後期高齢者医療制度の限度額がそれぞれ通常の半額となる特例が適用される場合があります。

医療保険に加入していない状態

日本国内に住所があり、他の公的医療保険や生活保護の対象でない方は、原則として国民健康保険の加入対象です。届出が遅れても、資格取得日まで遡って保険料が発生することがあります。医療機関へ全額支払った場合、やむを得ない事情が認められれば療養費を申請できることがありますが、必ず払い戻されるとは限りません。

外国籍の方、在留期間が短い方、海外から転入した方などは要件が異なる場合があります。住所地の自治体と加入していた保険者へ確認してください。


30.医療と介護を同時に利用する方へ

高額介護サービス費

介護保険サービスの1か月の自己負担が、所得区分に応じた上限を超えた場合、超過分が高額介護サービス費として支給されます。施設の食費・居住費、日常生活費、住宅改修費、福祉用具購入費、支給限度額を超えた全額自己負担分などは原則として対象外です。

同じ世帯でも、医療保険の世帯と介護保険の世帯の捉え方が異なることがあります。高額医療・高額介護合算制度では、基準日である7月31日時点の医療保険を基に申請先を判断するのが基本です。年度途中に保険者が変わった場合は、以前の保険者から自己負担額証明書を取得する必要があります。

介護保険負担限度額認定

低所得の方が介護保険施設やショートステイを利用するとき、食費・居住費の負担を軽減する制度です。世帯の課税状況だけでなく、配偶者の課税状況や預貯金等の資産要件があります。毎年更新が必要で、認定前の費用へ遡れない場合があります。

高額介護サービス費がサービス自己負担を、高額医療・高額介護合算制度が年間の医療・介護自己負担を、負担限度額認定が施設の食費・居住費を軽減するというように、対象費用が異なります。

ケアマネジャーと医療ソーシャルワーカーの役割

ケアマネジャーは、介護保険サービスの利用計画、事業所との連絡調整、在宅生活上の課題整理を支援します。医療ソーシャルワーカーは、医療費、退院支援、療養先、社会保障制度等の相談に対応します。両者が連携することで、入院中の医療費だけでなく、退院後の介護費、住居、家族支援まで整理しやすくなります。

ただし、給付の支給決定は保険者や自治体が行います。相談職が「利用できそう」と説明した場合も、正式な申請と審査が必要です。


31.申請を断られた、説明が分からないとき

窓口で「対象にならない」と言われたときは、制度名、対象外となる理由、根拠、正式な申請を受け付けた結果なのか、相談段階の案内なのかを確認します。口頭説明だけでなく、決定通知書が交付される制度では、通知書の理由と不服申立ての方法を確認してください。

書類不足で受け付けられない場合は、不足書類、提出期限、代替書類、後日提出の可否を書面や公式サイトで確認します。診断書や証明書の発行には時間と費用がかかるため、有効期間と様式を確認してから医療機関へ依頼します。

日本語での手続きが難しい場合は、自治体の外国語相談、通訳、やさしい日本語の案内、家族や支援者の同席を利用できるか確認します。視覚・聴覚・認知機能等の障害がある方は、合理的配慮として、筆談、読み上げ、分かりやすい説明、休憩、代理人手続等を相談できます。

緊急に受診が必要なのに費用がなく、複数窓口を回る余裕がない場合は、医療機関へ経済的に困窮していることを具体的に伝えてください。夜間・休日でも、緊急性がある症状では救急相談や救急要請を優先します。


32.申請後も必要な管理

有効期限と更新

自立支援医療、指定難病、小児慢性特定疾病、自治体の医療証などには有効期限があります。更新案内が届かない場合もあるため、受給者証の期限を確認し、更新受付開始日をカレンダーへ記録します。診断書等が必要な場合は、受診日に合わせて主治医へ依頼します。

変更届

住所、氏名、健康保険、世帯、所得、医療機関、薬局、訪問看護事業所等が変わったときは、変更届が必要になる場合があります。新しい受給者証が届くまでの受診方法と、旧証の返却方法を確認します。

返還を避けるための確認

健康保険から高額療養費や付加給付が後日支給されると、自治体助成との重複分を返還する場合があります。支給通知を受け取ったら、すでに自治体助成を利用していないか確認します。民間保険の給付金は自治体助成の計算に直接影響しない場合もありますが、医療費控除では補てん金として扱うことがあります。

書類の保管

制度別にファイルを分け、受給者証の写し、申請書控え、受付日、決定通知、領収書、医療費通知、自己負担上限額管理票、問い合わせ記録を保管します。原本提出が必要な制度へ出す前に、写しを残しておくと他制度の確認に役立ちます。


33.公式情報を確認するときの読み方

公式ページでは、まず「最終更新日」「対象者」「対象となる医療」「自己負担」「所得制限」「申請期限」「申請先」を確認します。制度の紹介ページだけでなく、申請書、記入例、よくある質問、指定医療機関一覧、年度更新のお知らせも確認してください。

高額療養費のように改正時期が決まっている制度では、診療月が改正前か改正後かで上限が変わることがあります。2026年8月の見直しは、原則として2026年8月診療分からの取扱いを確認します。請求書を受け取った月や支払った月ではなく、診療月が基準になる点に注意してください。

自治体サイトでは、古いPDFが検索結果に残ることがあります。年度、版数、最終更新日を確認し、現在のトップページから案内されている最新版を優先します。窓口名や所在地は組織改編・移転で変わるため、来庁前に公式サイトで確認してください。

民間サイトやSNSは、制度を知る入口にはなりますが、個別の受給要件や期限を確定する根拠にはしません。最終判断は法令、行政の公式案内、保険者の通知、自治体の決定通知に基づきます。


34.追加のよくある質問

Q26.入院前に限度額適用の手続きが間に合いません

医療機関でマイナ保険証による限度額情報を利用できるか確認してください。利用できず窓口で上限を超えて支払った場合でも、保険診療の自己負担について後から高額療養費を申請できる可能性があります。支払いが難しい場合は、請求前に医療機関の相談窓口と保険者へ相談します。

Q27.同じ月に病院と薬局を複数利用しました

保険者が診療報酬明細書に基づいて合算を判定します。年齢、受診者、医療機関、入院・外来、自己負担額により計算単位が異なります。領収書を月別にまとめ、保険者へ確認してください。

Q28.家族の扶養に入った月の医療費はどうなりますか

資格取得日前後で保険者が変わるため、診療日時点の保険資格に基づいて計算します。資格喪失後に古い保険証等を使った場合は、医療費の返還と新しい保険者への療養費申請が必要になることがあります。

Q29.所得区分が実際の収入より高く感じます

高額療養費の所得区分は、給与の手取り額ではなく、標準報酬月額や住民税課税所得等、加入保険と年齢に応じた基準で判定します。失業や収入減少が直ちに区分へ反映されないことがあります。保険料の減免や生活支援制度も併せて相談してください。

Q30.住民税非課税世帯ですが、何を申請すればよいですか

高額療養費の低所得区分、入院時食事代の減額、自立支援医療等の月額上限、介護保険負担限度額などで非課税状況が関係します。ただし制度ごとの「世帯」の範囲と収入基準は同じではありません。加入保険者と自治体の各担当へ確認します。

Q31.健康保険料を滞納しています

滞納があっても、受診の必要性がなくなるわけではありません。資格確認方法や窓口負担、高額療養費の支給方法に影響する場合があります。保険料の納付相談と医療給付の相談を同時に行い、受診を中断しないでください。

Q32.病院から「保険が使えない」と言われました

自由診療、資格確認不能、仕事中のけが、交通事故、治療内容が保険適用外など、理由によって対応が違います。理由と根拠を確認し、加入保険者へ相談してください。資格情報の反映遅れであれば、後日療養費を申請できることがあります。

Q33.交通事故の治療でも高額療養費を使えますか

健康保険を使用する場合は、第三者行為による傷病届等が必要になります。加害者側の保険との調整があり、示談内容が給付へ影響することがあります。示談前に加入保険者へ連絡してください。

Q34.出産の費用は高額療養費の対象ですか

正常な出産は原則として保険診療ではないため、高額療養費の対象外です。帝王切開など保険適用となる診療部分は対象になり得ます。出産育児一時金、直接支払制度、医療費控除も確認してください。

Q35.不妊治療の費用は対象ですか

保険適用となる診療部分は高額療養費の対象になり得ます。年齢、回数、治療内容等に保険適用の要件があり、保険外の先進医療や自由診療部分は対象外です。医療機関で見積りの内訳を確認してください。

Q36.訪問看護の交通費も高額療養費に入りますか

医療保険の訪問看護療養費に係る自己負担は対象になり得ますが、事業所が定める交通費や休日・時間外の実費など、保険外費用は対象外となることがあります。契約書と請求書を確認してください。

Q37.介護タクシー代は医療費控除になりますか

通院のために通常必要で、公共交通機関を利用できない事情があるなど、個別要件を満たす場合に対象となり得ます。介護保険サービスの自己負担部分と運賃、介助料を分け、税務署へ確認してください。

Q38.オンライン診療も制度の対象ですか

保険適用のオンライン診療に係る自己負担は高額療養費の対象になり得ます。システム利用料、予約料、薬の配送料等は保険外費用として対象外になることがあります。自立支援医療等では指定医療機関と対象医療の確認が必要です。

Q39.ジェネリック医薬品へ変えれば必ず安くなりますか

一般に薬剤費の軽減が期待できますが、自己負担額は薬価、処方日数、調剤料、他の薬との組合せで決まります。効果や副作用、供給状況もあるため、自己判断で変更せず医師・薬剤師へ相談してください。

Q40.医療費を分割払いにできますか

法定の一律制度ではなく、医療機関の取扱いによります。クレジット分割には手数料が生じることがあります。高額療養費、限度額適用、貸付制度、無料低額診療事業等を先に確認し、支払期限前に相談してください。

Q41.申請書を家族が提出できますか

代理提出が可能な制度がありますが、委任状、本人確認書類、代理人の本人確認書類等が必要になる場合があります。給付金の振込口座を本人以外にすると追加書類が必要になることがあります。

Q42.申請は郵送やオンラインでできますか

制度と自治体によって異なります。郵送では到着日が申請日になる場合があり、書類不備の連絡に時間がかかります。オンライン申請でも診断書原本の郵送が必要なことがあります。期限に余裕を持って手続きしてください。

Q43.転居予定ですが、今の自治体へ申請できますか

診療日、転出日、転入日、受給者証の有効期間によって申請先が分かれます。自治体の医療証は転出日で資格を失うことが多いため、転居前後の両自治体へ確認します。指定難病や自立支援医療は転入先で継続手続が必要です。

Q44.申請した内容を間違えました

気づいた時点で申請先へ連絡し、訂正方法を確認します。二重給付、所得、保険資格、振込口座の誤りは、支給前後で対応が変わります。黙って別の申請を重ねず、受付番号や申請日を伝えてください。

Q45.制度改正後の上限額はどこで確認できますか

厚生労働省の高額療養費制度ページと、加入保険者の案内を確認します。2026年8月診療分からの見直しには月額上限と年間上限が含まれ、2027年8月には所得区分の細分化が予定されています。施行に必要な法令や保険者の具体的な申請方法は、最新の公式情報を優先してください。


35.主な公式確認先

公式ページを閲覧するときは、検索結果の要約だけで判断せず、ページ本文の更新日、対象年度、PDFの版数を確認してください。


36.長期治療で確認したい個別制度

人工透析などの特定疾病療養受療証

血友病、人工透析を必要とする慢性腎不全、一定の抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群など、健康保険法上の特定疾病に該当する方は、「特定疾病療養受療証」により、対象治療の1か月の自己負担限度額が原則1万円となります。人工透析を受ける70歳未満の上位所得者では2万円となる場合があります。

指定難病の受給者証とは別の制度です。透析導入が決まった場合は、加入保険者へ受療証の申請方法と適用開始日を確認します。医療機関が変わった場合も、資格情報と受療証を提示してください。

人工透析では、障害年金、身体障害者手帳、自立支援医療(更生医療)、自治体の障害者医療費助成、通院交通費の助成等が関係することがあります。各制度の要件と優先順位は異なるため、病院の相談員と自治体へまとめて相談します。

肝炎治療の医療費助成

B型・C型ウイルス性肝炎の一定の治療には、都道府県の肝炎治療医療費助成が利用できる場合があります。対象となる治療、認定基準、指定医療機関、自己負担月額、申請書類が定められています。

肝がん・重度肝硬変の入院または通院医療についても、一定の条件で医療費助成の対象となる制度があります。対象月の数え方や所得要件があるため、主治医と住所地の自治体へ確認してください。

結核医療の公費負担

感染症法に基づき、結核の適正な医療を普及するための公費負担や、入院勧告等に基づく入院医療の公費負担があります。対象となる医療、自己負担、申請時期は治療状況により異なります。保健所の指示に従い、指定医療機関で受診します。

感染症・予防接種による健康被害救済

定期予防接種等によって健康被害が生じ、予防接種との因果関係が認定された場合、医療費・医療手当等の給付を受けられる制度があります。通常の副反応があっただけで自動的に給付されるものではなく、申請後に国の審査があります。接種記録、受診記録、領収書等を保管し、接種を実施した自治体へ相談してください。

原爆被爆者・戦傷病者等の公費医療

被爆者健康手帳、戦傷病者手帳などに基づく公費医療があります。対象医療や指定医療機関、他制度との優先関係は個別の法律に基づきます。該当する手帳や認定証を持っている方は、受診時に提示し、住所変更や保険変更を届け出ます。


37.子ども・ひとり親家庭の医療費助成

子どもの医療費助成

横浜市、川崎市、大田区、品川区はいずれも子どもの医療費助成を実施していますが、対象年齢、所得制限、一部負担、入院時食事代、医療証の名称や利用範囲は同じではありません。年度途中に制度が改正されることもあります。

学校や保育所の管理下でけがをした場合は、日本スポーツ振興センターの災害共済給付が優先されることがあります。子どもの医療証を使う前に、学校・園へ災害共済給付の対象か確認してください。交通事故など第三者行為の場合も、健康保険や自治体へ届出が必要です。

都道府県外で受診した場合、医療証を窓口で使えず、後日払い戻しを申請することがあります。受診者名と保険診療点数が分かる領収書を保管し、健康保険から高額療養費等が支給される場合は先に手続きします。

ひとり親家庭等医療費助成

ひとり親家庭の父または母と児童、父母のいない児童等を対象とする医療費助成があります。児童扶養手当と似た所得判定を用いる場合がありますが、同じ制度ではありません。所得限度額、扶養人数、同居親族の所得、養育費の取扱いなどを自治体へ確認してください。

婚姻届を提出していなくても、事実婚と判断される状況では対象外になる場合があります。生活状況に変更があったときは届け出ます。助成資格を失った後に医療証を使用すると、助成額の返還が必要です。

未熟児養育医療

出生時体重が少ない、生活力が特に弱いなど、医師が入院養育を必要と認めた乳児が指定養育医療機関へ入院した場合、医療費を公費で負担する制度があります。世帯所得に応じた自己負担があり、子どもの医療費助成との調整が行われます。

出生後速やかな申請が必要です。退院後や期間を過ぎた申請では対象にならないことがあるため、病院の医療ソーシャルワーカーと自治体へ相談してください。


38.がん治療と費用の整理

がん治療では、手術、放射線治療、抗がん剤治療、通院、入院、検査、薬局、訪問看護などが長期にわたることがあります。保険診療の自己負担は高額療養費の対象ですが、差額ベッド代、ウィッグ、補整具、交通費、民間療法、保険外の先進医療技術料などは対象外です。

治療計画を聞くときは、治療内容だけでなく、入院と外来の予定、使用薬剤、月をまたぐか、通院頻度、仕事を休む期間を確認します。費用の概算は変わる可能性がありますが、支払い時期を見通す材料になります。

自治体によっては、がん患者のウィッグや胸部補整具の購入費助成、若年がん患者の在宅療養支援などを実施しています。対象年齢、治療状況、購入日、申請期限、他制度との併用条件があるため、購入前に公式案内を確認してください。

仕事との両立では、傷病手当金、有給休暇、会社の休職制度、障害年金、雇用保険の基本手当の受給期間延長等が関係することがあります。がん相談支援センター、医療ソーシャルワーカー、勤務先の人事担当へ相談します。病名を勤務先へどこまで伝えるかは、必要な配慮と個人情報保護を考えて整理します。

治療後に障害が残った場合は、身体障害者手帳、障害年金、介護保険、障害福祉サービス等の対象になる可能性があります。診断名だけでなく、機能障害や日常生活・労働能力への影響が審査されます。


39.障害年金・生活費の制度との関係

医療費の助成を受けても、家賃、食費、光熱水費等は残ります。病気や障害により働くことが難しい場合は、医療費制度だけでなく所得保障を確認します。

障害年金は、初診日、保険料納付要件、障害認定日、障害の状態などの要件を満たす場合に支給されます。身体障害者手帳の等級と障害年金の等級は別の基準であり、手帳がなくても障害年金を受給できる場合、手帳があっても障害年金の要件を満たさない場合があります。

傷病手当金と障害厚生年金等が同じ傷病について支給される期間は、調整が行われることがあります。年金が遡って決定したときは、傷病手当金の返還が必要になる場合があります。支給決定通知を保険者へ提出し、調整額を確認します。

生活保護は、最低生活費と世帯の収入を比較し、不足分を保護費として支給する制度です。年金、傷病手当金、各種手当等は収入として扱われるのが基本で、利用できる他制度を先に活用する「他法他施策優先」の考え方があります。ただし、他制度の申請結果が出るまで生活できない場合もあるため、福祉事務所へ早めに相談します。

生活福祉資金貸付制度、住居確保給付金、自治体の生活困窮者自立相談支援等が関係することもあります。貸付は返済が必要であり、審査があります。医療費のために高金利の借入れをする前に、公的相談窓口へ相談してください。


40.家族・支援者が手続きを手伝うとき

本人が入院中、認知機能が低下している、視覚や手の障害があるなど、申請を一人で行うことが難しい場合があります。家族や支援者が手伝うときも、本人の意思と個人情報を尊重します。

書類を代筆する場合は、本人が内容を確認できる方法を用い、代筆者欄や署名方法を窓口へ確認します。本人名義の口座が必要な制度、委任状で代理人の口座を指定できる制度、法定代理人の確認が必要な制度があります。

成年後見人、保佐人、補助人であっても、審判で定められた代理権の範囲を確認します。身元保証人や緊急連絡先であるだけでは、本人の財産を自由に管理できません。医療機関も、本人の同意なく家族へすべての情報を伝えられるわけではありません。

認知症等で金銭管理が難しい場合は、成年後見制度だけでなく、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を利用できることがあります。制度選択は本人の判断能力、必要な支援、財産状況によって異なります。

支援者は、申請日、提出書類、原本を預かったか、返却日、決定通知の送付先を記録します。複数の家族や事業所が関わる場合は、誰がどの申請を担当するかを明確にし、二重申請や期限切れを防ぎます。


41.このページの使い方

最初からすべてを読む必要はありません。医療費が急に高くなった方は「高額療養費」と「限度額適用」、精神科へ継続通院する方は「自立支援医療」、難病の診断を受けた方は「指定難病」、医療と介護の両方を利用する方は「高額医療・高額介護合算制度」から確認してください。

制度名が分からない方は、地域別案内と相談時の確認メモを利用してください。住所地、加入保険、年齢、診療月、自己負担額を整理するだけでも、相談先を絞りやすくなります。

記事内の金額や期限は、個別の支給を保証するものではありません。公式リンクから最新情報を確認し、申請書を提出する前に窓口で対象期間と必要書類を確認してください。

まとめ

医療費を軽減する制度には、月ごとの負担を抑える高額療養費、窓口での支払いを抑える限度額適用、医療と介護の年間負担を軽減する合算制度、障害や疾病に応じた公費負担医療、休職中の所得を補う傷病手当金、税負担を軽くする医療費控除などがあります。

制度は自動的にすべて適用されるとは限りません。申請期限がある制度や、受給者証が届く前の費用について払い戻し手続きが必要な制度もあります。

医療費の支払いが難しいときは、治療や服薬を自己判断で中断せず、医療機関の相談員、加入する健康保険、市区町村の担当窓口、地域包括支援センター、ケアマネジャー等へ早めに相談してください。医療費だけでなく、収入、住居、介護、家族状況を含めて整理することで、利用できる制度が見つかる可能性があります。


用語の脚注

※1 公的医療保険

健康保険組合、協会けんぽ、共済組合、国民健康保険、後期高齢者医療制度など、法律に基づく医療保険です。 本文へ戻る

※2 保険診療

公的医療保険の給付対象として、国が定めた診療報酬に基づいて提供される診療です。 本文へ戻る

※3 自己負担限度額

高額療養費制度等で、本人が負担する月額または年額の上限です。年齢や所得区分によって異なります。 本文へ戻る

※4 公費負担医療

国や自治体が、法律や条例に基づいて医療費の一部または全部を負担する制度です。 本文へ戻る

※5 指定医療機関

自立支援医療、指定難病、生活保護等について、法令に基づく指定を受けた医療機関、薬局、訪問看護事業所等です。 本文へ戻る

※6 医療ソーシャルワーカー

病院等で、医療費、退院後の生活、福祉制度、介護サービス、就労、家族関係などの相談に対応する相談援助職です。 本文へ戻る

※7 償還払い

いったん費用を支払い、後から申請して制度対象分の払い戻しを受ける方法です。 本文へ戻る

※8 世帯合算

同じ医療保険に加入する家族の対象自己負担額を、制度上の条件に従って合計する仕組みです。 本文へ戻る

※9 多数回該当

直近12か月で高額療養費に3回以上該当した場合、4回目から月額上限が軽減される仕組みです。 本文へ戻る

※10 標準報酬月額

健康保険料や傷病手当金等を計算する基礎として、毎月の報酬を一定の幅で区分した金額です。 本文へ戻る

※11 臨床調査個人票

指定難病の申請で、難病指定医が診断基準、症状、検査結果等を記載する診断書です。 本文へ戻る

※12 軽症高額該当

指定難病の重症度基準を満たさなくても、対象疾病の医療費総額が一定期間に一定額を超える場合に助成対象となり得る特例です。 本文へ戻る

文責:きてケアプランセンター 内容確認日:2026年8月1日
本ページは一般的な制度案内です。受給可否・支給額・申請期限は、加入保険者および住所地の自治体の最新案内をご確認ください。