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難病・がん・医療依存度の高い方の支援制度

難病・がん・医療依存度の高い方の支援制度

SERIOUS ILLNESS SUPPORT GUIDE

治療と暮らしを支える制度の総合ガイド

難病、がん、医療依存度の高い方が利用できる医療・介護・障害福祉・所得保障・在宅療養支援を、横浜市・川崎市・大田区・品川区の情報とともに整理しました。

制度内容確認日:2026年8月1日

難病・がん・医療依存度の高い方の支援制度

医療費助成、介護保険、訪問看護、障害年金、身体障害者手帳、補装具※10・日常生活用具までを総合的に解説

制度内容確認日:2026年8月1日

難病、がん、神経疾患、重度の心疾患・呼吸器疾患・腎疾患などがある方は、治療費だけでなく、通院、服薬、医療処置、介護、生活環境の整備、就労継続、収入減少など、複数の課題を抱えることがあります。

人工呼吸器、在宅酸素療法、人工透析、中心静脈栄養、経管栄養、人工肛門・人工膀胱、尿道留置カテーテル、喀痰吸引、褥瘡処置、医療用麻薬、インスリン注射などを必要とする場合には、医療保険、介護保険、障害福祉制度、公費負担医療を組み合わせて在宅生活を支えます。

しかし、制度の対象は診断名だけで決まるとは限りません。年齢、疾病、障害の程度、日常生活への影響、加入する医療保険、所得、医師の診断内容、申請時期などによって異なります。また、同じ訪問看護でも、医療保険を使う場合と介護保険を使う場合があり、両者では利用回数、自己負担、支給限度額との関係が変わります。

本記事では、難病・がん・医療依存度の高い方が利用できる主な制度について、対象者、支援内容、申請方法、制度間の関係、在宅療養における実務上の注意点を詳しく解説します。


1.医療依存度が高い状態とは

「医療依存度」は、法令上の一つの認定区分ではありません。一般には、生命維持や病状管理のため、日常的または継続的に医療処置、医学的管理、看護職による観察等を必要とする程度を表します。

対象となり得る状態には、次のようなものがあります。

  • 人工呼吸器を使用している
  • 非侵襲的陽圧換気療法を受けている
  • 在宅酸素療法を受けている
  • 気管切開をしている
  • 喀痰吸引を必要としている
  • 経管栄養を利用している
  • 胃ろう、腸ろう、経鼻胃管を使用している
  • 中心静脈栄養を受けている
  • 持続点滴や皮下注射を必要としている
  • 人工透析を受けている
  • 腹膜透析を自宅で管理している
  • 尿道留置カテーテルを使用している
  • 腎ろう、膀胱ろうがある
  • 人工肛門または人工膀胱を造設している
  • インスリン注射や血糖測定を必要としている
  • 難治性褥瘡の処置を必要としている
  • がん性疼痛に対して医療用麻薬を使用している
  • 頻回な発作、急変、呼吸状態の変化がある
  • 終末期にあり、症状緩和を必要としている

医療依存度が高くても、日常生活動作がすべて低下しているとは限りません。人工透析を続けながら就労している人、在宅酸素療法を利用しながら外出している人、人工肛門を自己管理している人もいます。

一方、医療処置が比較的少なくても、筋力低下、嚥下障害、失語症、認知機能低下、強い倦怠感、疼痛などによって全面的な生活支援が必要な場合があります。制度利用を検討するときは、医療処置の種類だけでなく、身体機能、認知機能、生活環境、介護者の状況を併せて評価します。


2.指定難病※1医療費助成制度

2-1.指定難病とは

難病のうち、国が定める要件を満たし、厚生労働大臣が指定した疾病を「指定難病」といいます。

2026年4月時点では、348疾病が指定難病となっています。対象疾病には、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、重症筋無力症、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、特発性間質性肺炎などがあります。

指定難病の医療費助成は、疾病の治療に伴う経済的負担を軽減するとともに、患者の医療情報を研究へ活用し、治療研究を進める目的があります。

2-2.対象となる人

原則として、次の条件を満たす必要があります。

  • 国が指定する指定難病と診断されている
  • 疾病ごとの診断基準を満たしている
  • 疾病ごとの重症度基準を満たしている
  • 公的医療保険に加入している、または生活保護を利用している
  • 自治体へ申請し、支給認定を受けている

指定難病という診断名が付いただけで、自動的に医療費助成が始まるわけではありません。指定医が作成する臨床調査個人票※2等を添付して申請します。

横浜市では、患者の住民票が横浜市内にあり、公的医療保険に加入している人または生活保護を利用している人で、診断基準及び重症度基準を満たす人が対象です。横浜市「特定医療費(指定難病)助成制度」

2-3.軽症高額該当※3

疾病ごとの重症度基準に達していなくても、高額な治療を継続している場合には「軽症高額該当」により助成対象となることがあります。

一般的には、申請月以前の12か月以内に、指定難病に関係する医療費総額が3万3,330円を超える月が3回以上あることなどが要件です。

ここでいう医療費総額は、本人が窓口で支払った自己負担額ではなく、医療保険適用前の10割分の医療費です。医療費総額3万3,330円は、3割負担の人の窓口負担では約1万円に相当します。

軽症高額該当を申請する場合は、医療費申告書、領収書、診療報酬明細に関する資料などを求められることがあります。必要書類は自治体によって異なります。

2-4.助成の対象となる医療

認定された指定難病及びその指定難病に付随して生じる傷病について、指定医療機関で受けた次の医療が対象です。

  • 外来診療
  • 入院診療
  • 検査
  • 薬剤
  • 訪問看護
  • 一部の介護保険サービス

横浜市では、次の介護保険サービスも対象に含めています。

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 介護予防訪問看護
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 介護予防居宅療養管理指導
  • 介護医療院サービス

介護保険サービスについては、指定医療機関が提供し、介護保険の支給限度額内であることなどの条件があります。

2-5.自己負担の仕組み

公的医療保険の窓口負担が3割の人は、指定難病に関係する医療について2割へ軽減されます。もともと1割または2割負担の人は、その負担割合が適用されます。

さらに、同じ月に複数の指定医療機関、薬局、訪問看護ステーション等で支払った指定難病関係の自己負担額を合算し、所得区分別の自己負担上限月額まで負担します。

自己負担上限額管理票には、指定医療機関がその月の医療費と自己負担額を記入します。複数の医療機関を利用する場合は、受給者証と管理票を毎回提示することが重要です。

2-6.高額かつ長期※4

支給認定を受けた後も高額な治療が続く人には、「高額かつ長期」または自治体によって「高額難病治療継続」と案内される負担軽減があります。

一般的には、申請月を含む直近12か月のうち、指定難病に関係する医療費総額が5万円を超える月が6回以上あることが要件です。該当すると、一般所得以上の人の月額上限が低くなる場合があります。厚生労働省「難病・小児慢性特定疾病医療費助成制度」

軽症高額該当と高額かつ長期は、名称が似ていますが役割が異なります。

区分 主な役割
軽症高額該当 重症度基準を満たさない人が医療費助成の対象となるための基準
高額かつ長期 すでに医療費助成を利用する人の自己負担上限を軽くする基準

2-7.人工呼吸器等装着者の特例

人工呼吸器等を使用する人には、自己負担上限月額が軽減される場合があります。ただし、人工呼吸器を使用しているすべての人が対象になるわけではありません。

臨床調査個人票に記載された次のような内容を基に判定します。

  • 人工呼吸器等を一日中使用している
  • 離脱の見込みがない
  • 日常生活の多くの項目で部分介助または全介助を必要とする

対象要件は制度上の基準に基づくため、主治医や自治体の難病担当窓口へ相談します。

2-8.対象外となる主な費用

  • 認定された指定難病と関係のない診療
  • 指定医療機関以外で受けた診療
  • 保険適用外の診療
  • 差額ベッド代
  • 入院時の食事代
  • 病衣、テレビ、日用品等
  • 診断書及び臨床調査個人票の文書料
  • 補装具や治療用装具の購入費
  • 通所介護
  • 訪問介護
  • 福祉タクシー等の移動費

指定医が所属する病院であっても、難病法上の指定医療機関とは限りません。「指定医」は申請書類を作成できる医師、「指定医療機関」は受給者証を利用できる病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション等を指します。

2-9.申請時期

原則として申請が必要です。申請が遅れると、助成対象となる開始日にも影響します。

診断後は、次の事項を早めに医療機関へ相談します。

  • 疾病が指定難病に該当するか
  • 主治医が難病指定医か
  • 重症度基準を満たす可能性があるか
  • 軽症高額該当を利用できるか
  • 受診先、薬局、訪問看護が指定医療機関か
  • 申請に必要な臨床調査個人票を作成できるか

3.小児慢性特定疾病から成人制度への移行

3-1.小児慢性特定疾病医療費助成とは

小児慢性特定疾病医療費助成は、長期にわたる療養を必要とし、生命や成長発達に影響する一定の疾病がある児童等の医療費を軽減する制度です。

2025年4月1日から対象疾病は801疾病となっています。

原則として18歳未満が対象です。18歳になる前から制度を利用しており、引き続き治療が必要な場合には、20歳未満まで延長できることがあります。

3-2.20歳以降は自動的に指定難病へ移るわけではない

小児慢性特定疾病と指定難病は、対象疾病、診断基準、重症度基準、法的根拠が異なります。そのため、小児慢性特定疾病医療費助成を利用していても、20歳になった時点で自動的に指定難病医療費助成へ移るわけではありません。

小児慢性特定疾病の中には、次のような場合があります。

  • 同じ疾病が指定難病にも含まれる
  • 成人期には別の疾病名または診断基準で指定難病に該当する
  • 指定難病には含まれない
  • 疾病名は指定難病に含まれるが、重症度基準を満たさない
  • 軽症高額該当によって対象となる可能性がある
  • 別の障害福祉制度や医療費助成を検討する必要がある

したがって、18歳を過ぎてからではなく、15~17歳頃から成人期の医療体制と制度移行を検討することが望まれます。

3-3.成人移行支援の内容

成人移行は、医療費助成の切り替えだけではありません。小児科中心の診療から成人診療科へ移り、本人が自分の病気、薬、緊急時の対応、受診方法を理解していく過程です。

主な準備項目は次のとおりです。

  • 成人後の主治医・診療科
  • 小児科と成人診療科の併診期間
  • 病歴、手術歴、薬剤歴、アレルギー歴
  • 医療機器の種類と設定
  • 緊急時の対応
  • 疾病に関する本人の理解
  • 服薬及び医療処置の自己管理能力
  • 意思決定支援
  • 就学、就労、住まい
  • 障害年金
  • 身体障害者手帳
  • 障害福祉サービス
  • 成年後見制度等の権利擁護
  • 指定難病医療費助成への移行可否

厚生労働省は、小児慢性特定疾病の成人移行について、医療の継続と医療費助成の継続は別の課題であると整理しています。小児期と成人期の医療を切れ目なくつなぐことと、成人後の公費助成対象になることは同義ではありません。厚生労働省「移行期支援について」

3-4.20歳前障害による障害基礎年金

小児期から重い障害が続いている場合、20歳到達時に障害基礎年金を請求できる可能性があります。

20歳前に初診日があり、年金制度へ加入していなかった場合、保険料納付要件はありません。ただし、障害の状態が障害年金の1級または2級に該当する必要があります。

20歳前障害による障害基礎年金には、本人所得による支給制限があります。身体障害者手帳の等級と障害年金の等級は別の基準です。

3-5.移行時に検討する制度

  • 指定難病医療費助成
  • 自立支援医療
  • 重度障害者医療費助成
  • 障害年金
  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 障害福祉サービス
  • 補装具費支給制度
  • 日常生活用具※11給付等事業
  • 就労移行支援、就労継続支援
  • 自立生活援助
  • 共同生活援助
  • 介護保険への将来的な移行

成人移行では、医療機関だけでなく、自治体の障害福祉担当、相談支援専門員、学校、就労支援機関等との連携も必要です。


4.がん患者と介護保険

4-1.65歳以上のがん患者

65歳以上の人は、がんの病期や種類を問わず、要支援・要介護状態になれば介護保険を申請できます。

介護保険を利用できるかどうかは、診断名だけではなく、日常生活上どの程度の支援や介護を必要としているかによって判定します。

例えば、次の状態がある場合は申請を検討します。

  • 強い倦怠感があり家事が難しい
  • 筋力が低下し、立ち上がりや歩行に介助を要する
  • 入浴動作が難しい
  • 食事量が低下している
  • 排泄動作に支援を要する
  • がん性疼痛がある
  • 医療用麻薬の管理を必要とする
  • 在宅酸素療法を導入している
  • ストーマ管理に支援を要する
  • 認知機能が低下している
  • 一人暮らしで療養生活の維持が難しい
  • 介護者の負担が大きい

治療中であっても、介護保険を申請できます。抗がん剤治療中、放射線治療中、手術後の療養中という理由で対象外になるわけではありません。

4-2.40~64歳のがん患者

40歳以上65歳未満の医療保険加入者は、介護保険の第2号被保険者※5です。この年齢層では、要介護状態の原因が介護保険法上の特定疾病である場合に限り、介護保険を利用できます。

がんについては、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断したものが特定疾病の対象です。一般に「末期がん」と呼ばれますが、申請書や主治医意見書では、制度上の表現に基づく医学的判断が必要です。

40歳未満の人は、がんで介護が必要でも介護保険の対象にはなりません。障害福祉サービス、自治体独自の若年がん患者向け在宅療養支援、医療保険による訪問看護等を検討します。

4-3.介護保険で利用できる主な支援

  • 居宅介護支援
  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 訪問入浴介護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 通所介護
  • 通所リハビリテーション
  • 短期入所
  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具購入
  • 住宅改修
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 看護小規模多機能型居宅介護
  • 施設サービス

末期がんでは、病状が短期間で変化することがあります。申請時には歩行や食事ができていても、認定調査後に介助量が増える場合があります。現在の状態だけでなく、直近の病状変化、治療内容、予後に関する主治医の見解、介護者の状況を認定調査員や主治医へ具体的に伝えることが重要です。


5.40~64歳の人が介護保険を利用できる16の特定疾病

40~64歳の医療保険加入者が介護保険を利用するには、要支援・要介護状態の原因が次の特定疾病に該当する必要があります。

  1. がん
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

厚生労働省は、特定疾病を、加齢との医学的関係があり、40~64歳でも発症し、3~6か月以上にわたり要介護・要支援状態となる割合が高い疾病として位置づけています。厚生労働省「特定疾病の選定基準」

5-1.診断名だけではなく原因関係が必要

特定疾病の診断があっても、現在の要介護状態が別の病気や事故だけに起因する場合は、第2号被保険者として介護保険の対象にならないことがあります。

例えば、40~64歳の人に糖尿病があっても、単に糖尿病と診断されているだけでは足りません。糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症または糖尿病性網膜症があり、それが要介護状態の原因となっている必要があります。

同様に、骨粗鬆症だけではなく「骨折を伴う骨粗鬆症」、変形性関節症では「両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う」ことが要件です。

5-2.医療保険加入も要件

40~64歳で特定疾病がある場合でも、公的医療保険に加入している第2号被保険者であることが前提です。生活保護を利用し、医療保険へ加入していない40~64歳の人については、介護扶助による取り扱いを福祉事務所へ相談します。


6.末期がんと介護保険申請

6-1.「余命6か月」などの一律基準ではない

介護保険の特定疾病としてのがんは、単にステージ4であることや、治療を受けていないことだけで決まりません。また、「余命6か月以内」などの一律の期間基準ではありません。

医師が、一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断することが必要です。

積極的ながん治療を継続しながら、同時に介護保険を利用する場合もあります。「抗がん剤治療中だから末期がんではない」「治療中だから介護保険を使えない」と一律に判断することはできません。

6-2.迅速な申請が必要な理由

末期がんでは、数週間から数か月の間に次の変化が生じることがあります。

  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 筋力低下
  • 起立・歩行困難
  • 呼吸困難
  • 浮腫
  • 腹水
  • 胸水
  • 疼痛増強
  • 傾眠
  • せん妄
  • 排泄動作の困難
  • 嚥下機能低下
  • 介護者の疲弊

要介護認定の結果を待ってからサービス調整を始めると、必要な支援が間に合わない可能性があります。地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所へ早めに相談し、申請と並行して暫定ケアプラン※6を作成する方法があります。

ただし、認定結果が非該当または想定より低い区分となった場合、暫定利用分の一部または全部が自己負担になる可能性があります。利用前に本人・家族へ説明します。

6-3.認定調査で伝えるべき内容

調査当日の一時的な状態だけではなく、日常の状態を具体的に伝えます。

  • 良い日と悪い日の差
  • 疼痛が強い時間帯
  • 鎮痛薬使用前後の状態
  • トイレまで移動できない頻度
  • 夜間の介助回数
  • 食事や水分摂取量
  • 入浴後の疲労
  • 呼吸苦の程度
  • 酸素流量
  • 転倒・ふらつき
  • せん妄や見当識障害
  • 医療処置の内容
  • 家族が代行していること
  • 一人にできない時間
  • 緊急連絡や受診の頻度

本人が調査員の前で無理をして動いたり、「自分でできる」と答えたりすることがあります。本人の尊厳を守りながら、家族や支援者が実際の介助内容を補足します。

6-4.末期がんで利用頻度が高いサービス

  • 特殊寝台
  • 特殊寝台付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 車椅子
  • 移動用リフト
  • ポータブルトイレ
  • 訪問介護
  • 訪問入浴
  • 訪問看護
  • 居宅療養管理指導
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 短期入所
  • 住宅改修

軽度の認定区分では、特殊寝台、車椅子、床ずれ防止用具等が原則給付の対象外となる場合があります。しかし、疾病その他の原因によって必要性が認められる場合、軽度者への例外給付を利用できる可能性があります。


7.医療保険による訪問看護

7-1.訪問看護とは

訪問看護は、医師の指示に基づき、看護師、保健師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が自宅等を訪問し、療養上の世話や診療の補助を提供する制度です。

主な支援内容は次のとおりです。

  • 病状及びバイタルサインの観察
  • 服薬管理
  • 疼痛や呼吸困難等の症状緩和
  • 点滴、注射
  • 喀痰吸引
  • 気管切開部の管理
  • 人工呼吸器管理
  • 在宅酸素療法の管理
  • 経管栄養
  • 中心静脈栄養
  • ストーマ管理
  • 尿道留置カテーテル管理
  • 褥瘡及び創傷処置
  • 清潔、排泄、食事への支援
  • リハビリテーション
  • 家族への介護指導
  • 終末期看護
  • 看取り
  • 主治医や関係機関への連絡

7-2.介護保険が優先される原則

要支援・要介護認定を受けている人の訪問看護は、原則として介護保険が優先されます。介護保険による訪問看護は、ケアプランに位置づけ、区分支給限度基準額の範囲内で利用します。

ただし、次のような場合には医療保険による訪問看護となります。

  • 40歳未満
  • 40~64歳で介護保険の特定疾病に該当しない
  • 要支援・要介護認定を受けていない
  • 厚生労働大臣が定める疾病等に該当する
  • 特別訪問看護指示書※7が交付されている
  • 精神科訪問看護の対象となる
  • その他、医療保険の給付要件に該当する

厚生労働省は、要支援・要介護者では介護保険を優先しつつ、末期の悪性腫瘍、一定の難病、急性増悪等では医療保険を適用する仕組みを案内しています。厚生労働省「訪問看護」

7-3.厚生労働大臣が定める疾病等

要支援・要介護認定があっても、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合は、医療保険による訪問看護となります。

代表例は次のとおりです。

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患の一定の状態
  • 多系統萎縮症
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

疾患ごとに重症度、生活機能、医療機器の使用状況などの条件が付く場合があります。指定難病医療費助成の対象疾病と、医療保険による訪問看護の対象疾病は同一ではありません。

7-4.医療保険による利用回数

医療保険による訪問看護は、原則として週3日までです。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等、特別訪問看護指示書の交付期間などは、週4日以上の訪問が可能です。

1日に複数回の訪問や、複数の訪問看護ステーションの利用についても、疾病、状態、指示書、保険上の条件により取り扱いが異なります。

実際の利用回数は、主治医の指示、病状、家族の介護力、医療処置の頻度、訪問看護ステーションの体制を踏まえて決めます。

7-5.訪問看護指示書

医療保険・介護保険のいずれで訪問看護を利用する場合も、主治医の訪問看護指示書が必要です。

指示書には、主な疾病、病状、治療内容、投薬、医療機器、必要な処置、留意事項、緊急時の対応などを記載します。

複数の医療機関へ通院している場合でも、訪問看護指示書を交付する主治医を明確にします。医療機関同士の方針が異なると、訪問看護師が対応に迷うため、診療情報提供書等による連携が重要です。


8.特別訪問看護指示書

8-1.特別訪問看護指示書とは

特別訪問看護指示書は、患者の主治医が診療に基づき、急性増悪、終末期、退院直後等により、一時的に頻回な訪問看護が必要と判断した場合に交付する指示書です。

交付期間中は、要支援・要介護認定を受けている人でも、訪問看護を医療保険から提供できます。

一般的には、月1回、交付日から最長14日間です。気管カニューレを使用している状態や真皮を越える褥瘡がある場合などは、月2回交付できる場合があります。厚生労働省「訪問看護のしくみ」

8-2.対象となり得る状態

  • 感染症等による急性増悪
  • 脱水
  • 心不全の増悪
  • 呼吸状態の悪化
  • 頻回な吸引が必要
  • 点滴を連日必要とする
  • 褥瘡が悪化している
  • 退院直後で医療処置の導入が必要
  • 終末期で症状変化が大きい
  • 家族への医療的ケア※15指導を集中的に必要とする
  • 在宅での看取りに向けて頻回訪問を必要とする

単に家族の介護負担が大きいことだけで交付するものではありません。主治医が診療を基に、一時的な頻回訪問の医学的必要性を判断します。

8-3.交付期間中の支援

病状に応じて週4日以上、場合によっては連日の訪問を組みます。必要性と保険上の要件を満たす場合には、1日複数回訪問、複数名訪問、長時間訪問等を組み合わせることがあります。

ただし、保険で給付される範囲を超える長時間滞在や家事援助は、自費または別制度になる場合があります。

8-4.14日間終了後

特別訪問看護指示書の期間が終了すると、通常は介護保険による訪問看護へ戻ります。病状や対象要件によっては、引き続き医療保険による訪問看護となる場合もあります。

終了後の体制を事前に検討しないと、訪問回数が急に減り、家族の負担が増える可能性があります。主治医、訪問看護、ケアマネジャー、家族で次の点を調整します。

  • 必要な訪問回数
  • 介護保険の支給限度額
  • 訪問介護等との役割分担
  • 緊急連絡体制
  • 医療処置を家族が担えるか
  • 自費サービスの必要性
  • 再入院の判断基準

9.在宅療養支援診療所※8・在宅療養支援病院

9-1.制度上の役割

在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院は、在宅療養を受ける患者に対し、24時間の連絡、往診、訪問看護、緊急入院等に対応できる体制を整え、地方厚生局へ届け出た医療機関です。

2026年度の施設基準では、主に次の体制が定められています。

  • 24時間連絡を受ける体制
  • 24時間往診できる体制
  • 24時間訪問看護を提供できる体制
  • 緊急時の入院体制
  • 連携医療機関等への情報提供
  • 意思決定支援に関する指針
  • 訪問栄養食事指導が可能な体制
  • 業務継続計画

詳細は厚生労働省「質の高い在宅医療の推進」に掲載されています。

9-2.訪問診療と往診の違い

訪問診療は、通院が困難な患者に対し、あらかじめ診療計画を作成して定期的に医師が訪問するものです。

往診は、急な発熱、呼吸苦、疼痛増強など、患者や家族の求めに応じて臨時に医師が訪問するものです。

定期訪問を受けているからといって、すべての急変時に直ちに医師が到着するとは限りません。夜間・休日は連携医師が対応する場合や、電話相談後に救急搬送を案内する場合があります。

9-3.在宅療養支援診療所を選ぶ視点

  • 主疾患や難病への診療経験
  • がん緩和ケアへの対応
  • 医療用麻薬の処方
  • 在宅酸素、人工呼吸器、気管切開への対応
  • 中心静脈栄養や経管栄養への対応
  • 輸血、腹水穿刺等への対応可否
  • 24時間の連絡方法
  • 夜間・休日の往診体制
  • 連携する訪問看護ステーション
  • 緊急入院先
  • 看取りへの対応
  • 本人の意思決定支援
  • 家族支援
  • 病院主治医との連携
  • 薬局との連携

在宅療養支援診療所の届出があることだけでなく、本人の疾病、医療処置、生活環境に対応できるかを個別に把握します。

9-4.病院主治医との併診

難病やがんでは、専門病院への通院を続けながら、在宅医が日常的な病状管理を担うことがあります。

役割分担の例は次のとおりです。

専門病院 在宅医
疾病の専門的治療 日常の体調管理
抗がん剤・専門薬の調整 発熱、脱水、便秘等への対応
定期検査 在宅での症状緩和
手術・放射線治療 訪問看護指示
専門的な予後評価 緊急時の初期対応
入院治療 看取り

誰がどの薬を処方するか、夜間の連絡先、緊急入院先を事前に決めておくことが大切です。


費用・所得保障・用具・制度の使い分け

10.高額療養費制度

10-1.制度の概要

高額療養費制度は、同じ月の1日から末日までに支払った保険診療の自己負担額が、年齢と所得に応じた上限を超えた場合、超過分の支給を受ける制度です。

2026年8月から、月単位の自己負担上限に加えて年単位の上限が設けられました。長期間にわたり高額な治療を受ける人について、年間負担を抑える仕組みです。厚生労働省「高額療養費制度」

10-2.対象となる費用

  • 保険適用の診察
  • 検査
  • 手術
  • 入院
  • 薬剤
  • 保険薬局での薬代
  • 保険適用の訪問看護
  • 保険適用のリハビリテーション

10-3.対象外となる費用

  • 入院時の食事代
  • 差額ベッド代
  • 先進医療の技術料
  • 自由診療
  • 診断書等の文書料
  • 交通費
  • 病衣、テレビ、日用品
  • 介護保険サービス費
  • 保険適用外の医療機器や材料

10-4.限度額適用

マイナ保険証を利用し、オンライン資格情報による限度額情報の提供に同意すると、対応医療機関では窓口負担を自己負担上限までに抑えられます。

マイナ保険証を利用しない場合等は、加入する医療保険へ限度額適用認定証等を申請します。

高額な抗がん剤治療、手術、長期入院が予定されている場合は、治療開始前に医療機関の相談窓口へ申し出ます。

10-5.多数回該当

直近12か月以内に高額療養費の対象となった月が3回以上あると、4回目以降の上限が低くなる「多数回該当」があります。

転職、退職、75歳到達などで医療保険が変わると、通算方法が変わる場合があります。

10-6.指定難病助成等との関係

指定難病医療費助成、重度障害者医療費助成、自立支援医療等を利用する場合、高額療養費との重複給付はありません。

原則として、医療保険の給付を先に計算し、その後に公費負担医療や自治体助成を適用します。健康保険組合独自の付加給付がある場合も調整対象になります。


11.障害年金

11-1.障害年金は診断名だけで決まらない

障害年金は、病気やけがによって日常生活や就労に一定以上の制限が生じた人に支給される公的年金です。

がん、難病、内部障害、精神疾患、脳血管疾患など、幅広い傷病が対象になり得ます。身体障害者手帳の対象にならない病気でも、障害年金の基準に該当することがあります。

反対に、身体障害者手帳を持っていても、障害年金の要件を満たすとは限りません。

11-2.初診日

初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。

初診日は、次の事項を決める重要な日です。

  • 障害基礎年金か障害厚生年金か
  • 保険料納付要件を満たすか
  • 障害認定日※9はいつか
  • どの年金制度へ請求するか

現在の診断名が確定した日とは限りません。

例えば、後に難病と診断された人でも、最初にしびれ、筋力低下、呼吸苦等で医療機関を受診した日が初診日となる場合があります。転院を重ねている場合は、最初の医療機関の受診状況等証明書が必要になることがあります。

11-3.障害基礎年金

初診日が国民年金加入中、20歳前、または一定の60~64歳の未加入期間にある場合は、障害基礎年金を請求します。

障害基礎年金は1級と2級です。

主な要件は次のとおりです。

  • 初診日の要件
  • 保険料納付要件
  • 障害認定日に1級または2級の状態にあること

20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合、保険料納付要件はありません。日本年金機構「障害基礎年金の受給要件」

11-4.障害厚生年金

初診日に厚生年金へ加入していた場合は、障害厚生年金を請求します。1級、2級、3級があり、1級または2級に該当する場合は障害基礎年金も併せて支給されます。

3級より軽い一定の障害が残った場合、障害手当金という一時金の対象になる可能性があります。

11-5.保険料納付要件

原則として、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と免除期間の合計が3分の2以上必要です。

2026年8月時点では、初診日が2036年3月末までで、初診日時点で65歳未満の場合、直近1年間に保険料未納がなければよい特例もあります。

納付要件は初診日の前日を基準に判定するため、病気になった後で未納保険料を納めても、その初診日に関する要件へ反映されないことがあります。

11-6.障害認定日

原則として、初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日です。ただし、人工透析開始後3か月、人工肛門造設、心臓ペースメーカー装着、手足の切断など、障害認定日に特例がある傷病もあります。

障害認定日に基準へ該当する場合は「障害認定日による請求」、その時点では該当せず、その後悪化した場合は「事後重症による請求」を検討します。

障害認定日請求では、時効により遡って受け取れる年金は原則5年分までです。事後重症請求は請求日の翌月分からとなるため、請求が遅れると受給開始も遅れます。日本年金機構「障害厚生年金の受給要件」

11-7.がんの障害年金

がんでは、腫瘍の部位やステージだけでなく、次の状態を総合して判定します。

  • 全身衰弱
  • 強い倦怠感
  • 疼痛
  • 貧血
  • 悪液質
  • 転移
  • 治療の副作用
  • 食事摂取
  • 移動能力
  • 身の回りの動作
  • 就労状況
  • 日常生活への制限

抗がん剤の副作用により就労できない場合や、人工肛門造設、喉頭摘出などによる障害がある場合も対象になり得ます。

11-8.難病の障害年金

難病では症状に日内変動や日差があることがあります。診察時に歩けることだけをもって、生活上の支障が軽いとは判断できません。

診断書には、次の内容を具体的に反映することが重要です。

  • 連続して歩ける距離
  • 転倒頻度
  • 立ち上がりの可否
  • 食事、排泄、入浴、更衣
  • 疲労後の回復時間
  • 呼吸器や酸素の使用
  • 嚥下障害
  • 構音障害
  • 上肢機能
  • 外出の可否
  • 通院時の付き添い
  • 就労上の配慮
  • 欠勤、休職
  • 家族が代行する行為

12.身体障害者手帳

12-1.制度の概要

身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に定める障害が一定の基準に該当する人へ交付される手帳です。

対象となる障害には、次のものがあります。

  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • 平衡機能障害
  • 音声・言語・そしゃく機能障害
  • 肢体不自由
  • 心臓機能障害
  • 腎臓機能障害
  • 呼吸器機能障害
  • 膀胱・直腸機能障害
  • 小腸機能障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
  • 肝臓機能障害

等級は障害の種類によって1級から6級まであります。ただし、すべての障害種別に1~6級が存在するわけではありません。厚生労働省「身体障害者手帳」

12-2.難病やがんの診断だけでは対象にならない

指定難病またはがんと診断されていること自体は、身体障害者手帳の交付要件ではありません。その疾病によって生じた身体機能障害が認定基準に該当する必要があります。

対象になり得る例は次のとおりです。

  • 脳腫瘍や脳血管障害による片麻痺
  • 脊髄疾患による両下肢機能障害
  • 喉頭摘出による音声機能喪失
  • 人工肛門・人工膀胱造設
  • 腎機能障害による人工透析
  • 心臓ペースメーカー等を必要とする心臓機能障害
  • 重度の呼吸機能障害
  • 視覚または聴覚機能の障害

症状が変動する難病では、一定期間の状態、予後、回復可能性等を踏まえて認定します。

12-3.申請

一般的には次の書類を自治体の障害福祉窓口へ提出します。

  • 身体障害者手帳交付申請書
  • 指定医師が作成した診断書・意見書
  • 写真
  • 本人確認書類
  • マイナンバー関係書類

診断書は、身体障害者福祉法第15条の指定を受けた医師が作成する必要があります。主治医であっても指定医でなければ作成できない場合があります。

12-4.利用できる主な制度

  • 補装具費支給制度
  • 日常生活用具給付等事業
  • 税の控除・減免
  • 公共交通機関の割引
  • 有料道路料金の割引
  • NHK放送受信料の減免
  • 携帯電話料金等の割引
  • 重度障害者医療費助成
  • 障害福祉サービス
  • 駐車禁止除外指定
  • 住宅改修
  • 自動車関係の助成
  • 就労支援

対象となる支援は、障害種別、等級、所得、自治体によって異なります。

12-5.障害年金との違い

項目 身体障害者手帳 障害年金
主な目的 福祉サービスや各種助成の利用 所得保障
判定基準 身体機能障害 日常生活・就労能力への制限
等級 主に1~6級 基礎年金1・2級、厚生年金1~3級
保険料納付要件 なし 原則あり
初診日の要件 原則なし 重要
両制度の等級関係 一致しない 一致しない

13.補装具費支給制度

13-1.補装具とは

補装具は、身体の欠損または損なわれた身体機能を補い、日常生活、社会生活、就労等を支える用具です。

主な種目には次のものがあります。

  • 義肢
  • 装具
  • 座位保持装置
  • 車椅子
  • 電動車椅子
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ
  • 視覚障害者安全つえ
  • 義眼
  • 眼鏡
  • 補聴器
  • 重度障害者用意思伝達装置
  • 座位保持椅子等の障害児向け用具

難病患者についても、政令で定める疾病に該当し、必要性が認められる場合は対象となり得ます。

13-2.購入前の申請

補装具費支給制度は、原則として購入前に市区町村へ申請します。先に購入すると支給対象にならない場合があります。

申請後、身体障害者更生相談所の判定、医師の意見書、補装具事業者の見積書等を基に支給を決めます。厚生労働省「補装具費支給制度の概要」

13-3.自己負担

原則として基準額の1割負担ですが、所得に応じた月額負担上限があります。生活保護世帯及び市町村民税非課税世帯では、制度上の自己負担が0円となる場合があります。

基準額を超える仕様を本人が希望した場合、差額が自己負担になることがあります。

13-4.介護保険との関係

65歳以上または40~64歳で介護保険の対象となる人について、介護保険に同種の福祉用具がある場合は、介護保険が優先されることがあります。

ただし、身体状況に合わせた個別製作が必要な車椅子、電動車椅子、意思伝達装置などは、補装具費支給制度の対象となる場合があります。

制度を一律に介護保険へ切り替えるのではなく、用具の目的、個別性、身体機能、既製品で対応できるかを基に自治体へ相談します。

13-5.医療保険の治療用装具との違い

治療用装具は、治療過程で必要となるコルセット、関節装具、弾性着衣、小児弱視用眼鏡等について、医師の指示により医療保険から療養費の支給を受ける制度です。

補装具は、治療後も残る身体機能障害を補完・代替し、生活を支えることが主な目的です。

同じ「装具」でも、治療目的か生活機能補完目的かによって制度が異なります。


14.日常生活用具給付等事業

14-1.制度の概要

日常生活用具給付等事業は、障害者、障害児及び一定の難病患者等に対し、日常生活を円滑にする用具を給付または貸与する市区町村事業です。

補装具費支給制度が全国共通の基準を中心とするのに対し、日常生活用具は、市区町村によって対象種目、障害要件、年齢要件、所得要件、基準額等が異なります。

厚生労働省は、種目を次の6分類に整理しています。厚生労働省「日常生活用具給付等事業」

  1. 介護・訓練支援用具
  2. 自立生活支援用具
  3. 在宅療養等支援用具
  4. 情報・意思疎通支援用具
  5. 排泄管理支援用具
  6. 居宅生活動作補助用具

14-2.主な用具の例

介護・訓練支援用具

  • 特殊寝台
  • 特殊マット
  • 体位変換器
  • 移動用リフト
  • 訓練用ベッド

自立生活支援用具

  • 入浴補助用具
  • 便器
  • 頭部保護帽
  • 歩行時間延長信号機用小型送信機
  • 火災警報器
  • 自動消火器
  • 電磁調理器

在宅療養等支援用具

  • 透析液加温器
  • ネブライザー
  • 電気式たん吸引器
  • 酸素ボンベ運搬車
  • 動脈血中酸素飽和度測定器
  • 人工呼吸器用自家発電機または外部バッテリー
  • 発電機等の非常用電源

情報・意思疎通支援用具

  • 携帯用会話補助装置
  • 情報・通信支援用具
  • 点字ディスプレイ
  • 点字器
  • 視覚障害者用拡大読書器
  • 聴覚障害者用通信装置
  • 人工喉頭

排泄管理支援用具

  • ストーマ装具
  • 紙おむつ等
  • 収尿器

居宅生活動作補助用具

  • 手すり
  • 段差解消
  • 滑り防止
  • 扉の変更
  • 洋式便器への交換
  • 移動を円滑にする住宅改修

14-3.難病患者の利用

身体障害者手帳を持っていない難病患者でも、対象疾病と用具の必要性が自治体の基準に該当すれば利用できる場合があります。

例えば、筋力低下や呼吸機能低下があり、吸引器、ネブライザー、特殊寝台、体位変換器等を必要とする場合です。

ただし、「指定難病医療受給者証を持っていること」と「日常生活用具の対象になること」は同じではありません。自治体が定める疾病、障害状態、医師意見書等によって判断します。

14-4.災害・停電への備え

人工呼吸器、吸引器、酸素濃縮器、在宅透析機器等を利用している人は、停電が生命に影響する可能性があります。

必要な備えには次のものがあります。

  • 外部バッテリー
  • 発電機
  • 蓄電池
  • 手動式吸引器
  • アンビューバッグ
  • 酸素ボンベ
  • 延長コード
  • 医療機器の消費電力一覧
  • 電力会社への登録
  • 停電時の連絡先
  • 避難先
  • 医療機器業者の緊急連絡先
  • 個別避難計画

自治体によっては、人工呼吸器使用者向けの非常用電源を日常生活用具として給付しています。購入前に自治体へ申請します。


15.医療保険・介護保険・障害福祉制度の使い分け

医療依存度の高い方では、複数制度を同時に利用することがあります。

支援内容 主な制度
診察、薬、検査、手術 医療保険
指定難病に関係する医療費 指定難病医療費助成
高額な保険診療 高額療養費
日常生活上の介護 介護保険または障害福祉
訪問看護 状態により医療保険または介護保険
所得保障 障害年金、傷病手当金等
身体機能を補う個別用具 補装具費支給制度
吸引器、ストーマ装具等 日常生活用具
特殊寝台、車椅子等 介護保険福祉用具または障害福祉
住宅改修 介護保険または障害福祉
通院・外出支援 障害福祉、自治体制度、介護保険
家族が担えない長時間介護 障害福祉、介護保険、自費等

15-1.介護保険優先の原則

65歳以上または40~64歳の介護保険対象者について、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、原則として介護保険を先に利用します。

ただし、介護保険だけで本人に必要な支援を満たせない場合、障害特性に応じたサービスが介護保険にない場合、介護保険の支給量を超えて支援が必要な場合などは、障害福祉サービスを併用できる可能性があります。

介護保険優先は、「65歳になったら障害福祉サービスを一切利用できない」という意味ではありません。


16.在宅療養開始前に整えるべき支援体制

16-1.退院前カンファレンス

医療依存度の高い方が退院する場合は、退院前に次の関係者で情報を共有します。

  • 本人
  • 家族
  • 病院主治医
  • 病棟看護師
  • 退院支援看護師
  • 医療ソーシャルワーカー※13
  • 在宅医
  • 訪問看護師
  • ケアマネジャー
  • 相談支援専門員
  • 訪問介護事業所
  • 薬局
  • 福祉用具専門相談員
  • 医療機器業者
  • リハビリテーション職

16-2.共有すべき医療情報

  • 診断名
  • 既往歴
  • 手術歴
  • アレルギー
  • 感染症
  • 現在の病状
  • 予後に関する医師の説明
  • 処方薬
  • 医療用麻薬
  • 点滴内容
  • 医療機器の種類と設定
  • 酸素流量
  • 吸引方法と頻度
  • 経管栄養の種類、量、注入速度
  • カテーテル交換時期
  • ストーマ管理
  • 褥瘡の部位、深さ、処置方法
  • 急変時の対応
  • 救急搬送の基準
  • 蘇生処置に関する意向
  • 緊急入院先
  • 夜間・休日の連絡先

16-3.退院前に準備する物品

  • 特殊寝台
  • マットレス
  • ベッド柵
  • 車椅子
  • ポータブルトイレ
  • 吸引器
  • ネブライザー
  • 酸素機器
  • 経管栄養物品
  • 点滴スタンド
  • 衛生材料
  • おむつ
  • ストーマ装具
  • 褥瘡処置材料
  • 医療廃棄物容器
  • 非常用電源
  • 連絡先一覧

介護保険、医療保険、補装具、日常生活用具、自費購入のどれを利用するかを整理し、退院日に間に合うように手配します。


17.在宅療養における医療安全

17-1.急変時の観察項目

疾病ごとに異なりますが、次の変化は早めの連絡が必要です。

  • 意識状態の変化
  • 呼吸数の増加
  • 強い呼吸苦
  • 酸素飽和度の低下
  • 顔色不良、チアノーゼ
  • 新たな胸痛
  • 急な片麻痺や構音障害
  • けいれん
  • 高熱
  • 尿量低下
  • 嘔吐の持続
  • 経管栄養中の咳込み
  • 吸引しても改善しない気道分泌物
  • 人工呼吸器の警報
  • カテーテルの抜去・閉塞
  • 出血
  • 鎮痛薬を使用しても軽減しない疼痛
  • 急なせん妄
  • 転倒・転落

緊急連絡先と救急要請の基準を、本人、家族、訪問介護員等が見やすい場所に掲示します。

17-2.医療行為と介護職

介護職員が実施できる医療的ケアには法令上の範囲があります。

一定の研修、事業者登録、医師の指示、看護職との連携等を満たした介護職員は、喀痰吸引や経管栄養の一部を実施できる場合があります。しかし、訪問介護員であれば誰でも実施できるわけではありません。

インスリン注射、点滴管理、カテーテル交換等も、家族が日常的に行っているからといって介護職員が代行できるとは限りません。導入前に訪問看護と介護事業所の役割を明確にします。


地域別案内・在宅療養・FAQ・用語の脚注

18.本人の意思を中心とした療養支援

医療依存度が高くなると、安全確保や医療処置が支援の中心になりやすく、本人の生活上の希望が後景に置かれることがあります。

支援計画では、次の事項を本人と話し合います。

  • どこで暮らしたいか
  • どこで治療を受けたいか
  • どの程度の治療を希望するか
  • 苦痛が強いときに何を優先するか
  • 食べることをどう考えるか
  • 入院と在宅のどちらを希望するか
  • 家族にどこまで介護を依頼したいか
  • 会いたい人、続けたい活動
  • 外出や旅行の希望
  • 最期を過ごしたい場所
  • 意思を伝えられなくなった場合に代わりに考えてほしい人

意思は病状や生活状況によって変わることがあります。一度記録して終わりではなく、本人が話せる時期から繰り返し対話します。


19.制度利用のチェックリスト

難病、がん、医療依存度の高い方を支援するときは、次の項目を整理します。

医療費

  • 指定難病医療費助成の対象か
  • 軽症高額該当を利用できるか
  • 高額かつ長期に該当するか
  • 高額療養費の限度額適用を利用しているか
  • 健康保険組合の付加給付があるか
  • 重度障害者医療費助成を利用できるか
  • 医療費控除の対象費用を整理しているか

介護・看護

  • 要介護認定を申請しているか
  • 40~64歳の場合は特定疾病に該当するか
  • 訪問看護は医療保険か介護保険か
  • 特別訪問看護指示書が必要か
  • 夜間・休日の連絡先があるか
  • 緊急時の入院先があるか
  • 訪問介護員が実施できる行為を整理しているか

所得保障

  • 傷病手当金を申請できるか
  • 障害年金の初診日はいつか
  • 保険料納付要件を満たすか
  • 障害認定日はいつか
  • 生活保護や生活困窮者支援が必要か

障害福祉

  • 身体障害者手帳の対象か
  • 補装具を必要としているか
  • 日常生活用具の対象か
  • 障害福祉サービスを併用できるか
  • 移動支援や就労支援を必要としているか

災害対策

  • 医療機器の非常用電源があるか
  • 停電時に何時間使用できるか
  • 酸素ボンベの予備があるか
  • 避難先で電源を利用できるか
  • 個別避難計画を作成しているか
  • 医療機器業者の緊急連絡先があるか

20.主な相談窓口

相談内容 主な窓口
指定難病医療費助成 自治体の難病担当窓口、保健所
小児慢性特定疾病 自治体の子ども家庭担当窓口
成人移行 小児科、成人診療科、移行期医療支援センター
介護保険申請 市区町村、地域包括支援センター
ケアプラン 居宅介護支援事業所
医療保険による訪問看護 主治医、訪問看護ステーション
在宅医療 在宅療養支援診療所、病院相談窓口
高額療養費 加入する医療保険
障害年金 年金事務所、街角の年金相談センター
身体障害者手帳 市区町村の障害福祉担当
補装具・日常生活用具 市区町村の障害福祉担当
退院後の生活 医療ソーシャルワーカー、退院支援部門
就労 ハローワーク、障害者就業・生活支援センター
経済的困窮 福祉事務所、生活困窮者自立相談支援機関

21.横浜市・川崎市・大田区・品川区で制度を探すときの基本

難病、がん、医療依存度の高い方への支援は、住所地、年齢、加入保険、疾病名、障害の状態、医療処置の内容、所得、家族状況によって窓口が変わります。同じ疾病でも、指定難病医療費助成、介護保険、障害福祉、障害年金、自治体独自の助成のすべてを利用できるとは限りません。一方で、一つの制度に該当しなくても、別の制度で生活上の困難を補える場合があります。

相談を始めるときは、次の情報を一枚に整理すると話が進みやすくなります。

  • 住民票がある市区町村
  • 年齢と加入している医療保険
  • 診断名と診断された時期
  • 主治医、通院先、訪問診療の有無
  • 現在行っている医療処置
  • 日常生活で介助が必要な場面
  • 就労状況と収入の変化
  • 障害者手帳、障害年金、介護保険認定の有無
  • 利用中の訪問看護、訪問介護、福祉用具
  • 停電時に停止すると危険な医療機器

病院の相談支援センターや医療ソーシャルワーカーに相談する場合も、制度名を決めてから相談する必要はありません。「治療費が心配」「退院後に吸引を家族だけで続けられない」「仕事を休んで収入が減った」のように、生活上の困りごとを具体的に伝えます。

21-1.横浜市にお住まいの方

横浜市は指定都市であり、指定難病医療費助成の申請、障害福祉、介護保険等について市と各区の窓口が案内します。相談内容によって、区役所の高齢・障害支援課、保険年金課、こども家庭支援課、生活支援課等へつながります。

がん療養では、病院のがん相談支援センターのほか、横浜市が案内する在宅医療相談拠点へ相談できます。在宅で緩和ケアを希望する場合、外来主治医、訪問診療医、訪問看護、薬局、ケアマネジャー等の役割を退院前から整理します。

難病の医療費助成だけでなく、療養生活相談、障害福祉サービス、補装具、日常生活用具、介護保険、就労相談を別々に確認することが大切です。受給者証が交付されても、生活上必要な介助や用具が自動的に決まるわけではありません。

21-2.川崎市にお住まいの方

川崎市でも、指定難病医療費助成と療養相談、障害福祉、介護保険、医療費助成は担当が分かれています。各区役所・支所の担当窓口、病院の相談窓口、地域包括支援センター等へ、困りごとに応じて相談します。

医療的ケアが多い方は、通常の介護サービスの紹介だけでは安全な在宅生活につながらないことがあります。吸引、経管栄養、人工呼吸器、在宅酸素、中心静脈栄養等について、誰が、いつ、どの指示に基づいて実施するかを確認します。家族が不在になる時間、夜間の急変、災害時の電源確保も支援計画へ含めます。

21-3.大田区にお住まいの方

東京都の制度は、東京都が実施主体となる医療費助成と、大田区が申請受付や地域生活支援を担う制度があります。制度のページに東京都の案内が掲載されている場合も、最初の相談先や提出先が区の窓口となることがあります。

大田区は難病に関する相談、在宅療養、家族介護者の休息につながる事業等を案内しています。人工呼吸器を利用する方などは、訪問看護、短期入院、災害時支援の対象要件を個別に確認してください。

21-4.品川区にお住まいの方

品川区でも、指定難病、小児慢性特定疾病、障害福祉、介護保険、医療費助成、生活困窮相談は担当窓口が異なります。東京都の受給者証を利用する制度と区独自の給付を混同せず、申請前に対象要件と必要書類を確認します。

転入・転出、健康保険の変更、生活保護開始、年齢到達によって受給者証や自己負担上限額の変更手続が必要になる場合があります。転居前の受給者証がそのまま使えると考えず、転居予定が決まった段階で両自治体へ確認します。


22.診断から支援開始までの時系列

制度は「診断後に一度だけ申請するもの」ではありません。病状と生活が変化するたびに、利用できる支援を見直します。

22-1.診断直後

診断直後は治療方針の理解が中心になり、生活制度まで考える余裕がないことがあります。それでも、医療費が高額になる見込み、仕事を休む可能性、通院介助の必要性がある場合は、早い段階で相談窓口を確認します。

指定難病に該当する可能性がある場合は、難病指定医へ臨床調査個人票の作成を依頼します。がんの場合は、がん相談支援センターへ、治療費、仕事、家族への伝え方、療養場所について相談できます。相談支援センターは、その病院に通院していない方や家族からの相談に対応する場合もあります。

22-2.治療開始時

薬物療法、放射線治療、手術、長期入院等が始まると、窓口負担と収入減少が同時に生じることがあります。高額療養費、限度額適用、傷病手当金、医療費控除、勤務先の休職制度を分けて確認します。

治療の副作用によって食事、排泄、移動、入浴、家事が難しくなった場合は、年齢と原因疾病に応じて介護保険または障害福祉を検討します。単に診断名だけでなく、日常生活上の具体的な支障を医師や相談員へ伝えます。

22-3.退院準備期

退院日だけを決め、医療機器や訪問支援が後から届く状態は避けます。退院前カンファレンスでは、医療処置、薬剤、食事、排泄、移動、緊急連絡、夜間対応、家族の実施範囲、物品供給を確認します。

要介護認定の結果が間に合わない場合は、保険者やケアマネジャーと相談し、暫定的な計画で開始できるか検討します。ただし、想定した認定区分と結果が異なる場合の費用リスクについて説明を受けます。

22-4.在宅療養開始後

在宅開始直後は、病院では見えなかった負担が明らかになります。夜間の吸引回数、医療機器の警報、介護者の睡眠不足、通院手段、廃棄物、衛生材料の不足等を記録し、支援量を調整します。

「家族ができているから支援は不要」と判断せず、家族が継続できる時間と方法かを確認します。家族の体調悪化や就労継続困難は、本人の在宅生活にも影響します。

22-5.病状変化・再入院時

急性増悪、医療処置の追加、再入院、介護者の入院等は見直しの合図です。訪問看護の回数、特別訪問看護指示書、短期入院、レスパイト※14、障害年金、介護保険区分変更、福祉用具の変更を検討します。


23.がん療養で見落としやすい生活支援

23-1.治療と仕事の両立

治療予定と就労を両立するには、本人の同意のもとで、主治医の意見、勤務内容、通勤負担、勤務先の配慮を整理します。病名や治療内容をどこまで職場へ伝えるかは本人が決めます。

短時間勤務、時差出勤、在宅勤務、休憩場所、通院日の確保、重量物を避ける等の調整が考えられます。職場の両立支援担当、産業医、ハローワーク、がん相談支援センター等を利用します。

23-2.アピアランスケア

脱毛、皮膚変化、爪の変化、手術痕、乳房切除等による外見の変化は、就労や外出、人との交流へ影響します。医療用ウィッグ、胸部補整具等への助成は自治体ごとに対象、金額、購入時期、申請期限が異なります。購入前に領収書の記載内容と申請条件を確認します。

23-3.若年がん患者

40歳未満では介護保険を利用できず、40~64歳でも介護保険の特定疾病に該当しない状態があります。自治体独自の在宅療養支援、障害福祉、訪問看護、自費サービス等を組み合わせます。

妊孕性温存、就学、就労、子育て、住宅費等、若年者特有の課題があります。治療開始前に意思決定が必要な支援もあるため、主治医と相談支援センターへ早めに相談します。

23-4.緩和ケアは終末期だけではない

緩和ケアは、痛み、息苦しさ、吐き気、不安、不眠、家族の負担等を和らげる支援であり、治療と並行して受けられます。症状を我慢して治療終了後まで待つ必要はありません。

自宅での緩和ケアを希望する場合は、訪問診療医、訪問看護、薬局、介護サービス、緊急時の受入病院を調整します。在宅を選んでも、必要時の入院を否定するものではありません。


24.医療的ケアを安全に続けるための個別確認

24-1.在宅酸素療法

酸素流量を本人や家族の判断で変更せず、主治医の指示に従います。火気、喫煙、暖房器具との距離、酸素ボンベの固定、外出時の残量、停電時の対応を確認します。

24-2.人工呼吸器

設定値、回路交換、加温加湿、吸引、警報時対応、予備回路、外部バッテリー、手動換気手段、救急要請基準を文書化します。停電時間が長くなる場合の避難先と搬送方法も決めます。

24-3.喀痰吸引

吸引の深さ、圧、時間、回数は医療者の指導に従います。出血、強い呼吸苦、酸素飽和度低下等がある場合の連絡基準を共有します。介護職員が実施する場合は、必要な研修と事業者の体制を確認します。

24-4.経管栄養

栄養剤の種類、量、速度、体位、投与前後の確認、チューブ閉塞、嘔吐、誤嚥が疑われる場合の対応を整理します。薬剤をチューブから投与できるかは薬剤師へ確認します。

24-5.中心静脈栄養・持続点滴

ルート接続部の清潔、ポンプ警報、発熱、発赤、漏れ、閉塞、抜去時の対応を確認します。物品の保管場所、廃棄方法、夜間連絡先を決めます。

24-6.ストーマ・尿路管理

装具の交換頻度、皮膚障害、排泄量の変化、漏れ、出血、発熱時の連絡先を確認します。日常生活用具の給付対象、災害時の予備装具、外出時の携行品も整理します。

24-7.疼痛管理

定時薬と追加薬の区別、使用間隔、眠気、便秘、吐き気、薬の保管、残薬確認を行います。医療用麻薬を使用していることだけで、自宅療養ができないわけではありません。痛みが十分に軽減しないときは我慢せず医療者へ連絡します。


25.家族介護者を支える制度と考え方

家族は重要な支援者ですが、無制限に医療処置と介護を担えるわけではありません。家族の年齢、持病、就労、育児、睡眠、本人との関係を確認します。

利用できる可能性がある支援には、訪問看護、訪問介護、短期入所、短期入院、レスパイト、デイサービス、家族会、相談支援、介護休業制度等があります。対象要件は制度ごとに異なります。

次の状態は、支援体制を早急に見直す目安です。

  • 介護者が連続して眠れない
  • 吸引や体位交換の失敗への恐怖が強い
  • 通院以外に外出できない
  • 介護者自身の受診を中断している
  • 怒りや涙が増えた
  • 仕事を辞めなければならないと感じている
  • 医療機器の警報に一人で対応できない

家族支援は本人から介護を取り上げるものではなく、在宅生活を持続可能にするための支援です。


26.災害・停電・断水への具体的な備え

医療機器を使用する方は、一般的な防災用品に加え、医療継続計画が必要です。自治体の避難情報だけでなく、主治医、訪問看護、機器業者、電力会社、消防等と事前に確認します。

26-1.電源計画

機器ごとに消費電力、内蔵電池の持続時間、充電時間、使用できる外部電源を一覧化します。「バッテリーがある」だけでなく、実際の設定で何時間使用できるかを確認します。発電機は換気が必要で、屋内では一酸化炭素中毒の危険があります。

26-2.医療物品

薬、経管栄養、衛生材料、吸引カテーテル、ストーマ装具、酸素ボンベ等について、保管期限と必要量を確認します。冷蔵薬は停電時の保冷方法を医療機関・薬局へ確認します。

26-3.避難か在宅継続か

避難所に電源や医療スペースがあるとは限りません。移動そのものに危険がある方は、自宅の安全性、浸水・土砂災害リスク、停電見込みを踏まえて個別に判断します。福祉避難所は、発災時に本人が直接自由に入れる施設とは限らないため、自治体の運用を確認します。

26-4.個別避難計画

避難を支援する人、移動手段、医療機器、薬、意思疎通方法、緊急連絡先を記載します。計画を作成しても、支援者が必ず到着できる保証はありません。複数の連絡手段と代替策を準備します。


27.よくある質問

Q1.指定難病と診断されれば全員が医療費助成を受けられますか

指定難病の診断基準に該当することに加え、重症度基準または軽症高額該当等の要件を満たし、申請して認定される必要があります。診断名だけで自動的に受給者証が交付されるわけではありません。

Q2.がんはすべて介護保険の特定疾病ですか

40~64歳では、医師が回復の見込みがない状態に至ったと判断した末期の悪性腫瘍が対象です。65歳以上は原因を問わず、要支援・要介護状態であれば申請できます。

Q3.介護保険申請中でもサービスを始められますか

緊急性がある場合、認定結果前に暫定ケアプランで開始することがあります。ただし、結果と想定区分が異なる場合の自己負担について説明を受けてください。

Q4.訪問看護は毎日利用できますか

保険種別、主治医の指示、疾病、病状、特別訪問看護指示書等により回数の扱いが異なります。必要性があっても自動的に毎日利用できるわけではなく、主治医と訪問看護事業所が計画します。

Q5.家族が吸引できれば訪問看護は不要ですか

家族が実施できても、状態観察、手技確認、急変対応、物品管理、家族の休息が必要です。家族の実施能力だけで支援の必要性を判断しません。

Q6.身体障害者手帳と障害年金は同時に利用できますか

それぞれ目的と認定基準が異なるため、両方に該当する場合があります。一方の等級が、そのまま他方の等級になるわけではありません。

Q7.難病受給者証があれば障害福祉サービスを利用できますか

医療費助成の認定と障害福祉サービスの支給決定は別です。障害者総合支援法の対象疾病、生活上の支障、必要な支援量等を市区町村が確認します。

Q8.補装具は購入後に申請できますか

原則として購入前の申請が必要です。見積書、医師意見書、判定等が必要になる場合があるため、購入前に自治体へ相談してください。

Q9.吸引器や非常用電源は給付されますか

日常生活用具として対象になる自治体がありますが、疾病、障害状態、手帳、年齢、機器の仕様、所得等の要件があります。必ず購入前に確認します。

Q10.医療保険と介護保険の訪問看護を自由に選べますか

原則的な給付調整と例外が定められているため、本人が自由に選択するものではありません。年齢、要介護認定、疾病、特別指示等から適用保険を確認します。

Q11.緩和ケアを受けると抗がん治療は終了ですか

緩和ケアは治療と並行して受けられます。痛みや不安等への支援を早期から利用することが推奨されています。

Q12.在宅療養を選ぶと入院できませんか

在宅療養中でも、症状や本人の希望に応じて入院することがあります。緊急時の受入先と連絡方法を事前に確認します。

Q13.独居でも在宅療養できますか

病状、判断力、医療処置、緊急対応、訪問支援、見守り等を総合して検討します。独居だけを理由に不可能とは限りませんが、夜間を含む安全確保が必要です。

Q14.仕事を続けながら障害年金を受けられますか

就労していることだけで直ちに不支給とは限りません。障害の状態、日常生活、就労上の配慮や制限等を含めて認定基準により判断されます。

Q15.主治医に制度の書類を頼めば認定されますか

医師の診断書は重要ですが、保険料納付要件、初診日、所得、生活状況等、制度ごとの要件があります。書類作成前に窓口で必要条件を確認します。

Q16.医療用ウィッグは医療保険の対象ですか

一般に医療保険の治療給付とは別ですが、自治体が購入費助成を行う場合があります。対象者、購入日、上限額、申請期限は自治体ごとに異なります。

Q17.医療費助成の申請が遅れた場合はどうなりますか

指定難病では一定の範囲で支給開始日を前倒しできる仕組みがありますが、期間や理由に条件があります。他制度は遡及できない場合があるため、早めに相談します。

Q18.転居後も同じ受給者証を使えますか

実施主体や負担上限が変わることがあるため、変更手続が必要です。転居前後の自治体へ事前に確認してください。

Q19.医療機器を使っていると福祉避難所へ直接行けますか

福祉避難所の開設と受入方法は自治体により異なり、通常の避難所等で確認後に移る運用もあります。個別避難計画を作り、自治体へ確認します。

Q20.相談先が分からないときはどこから始めますか

通院中なら病院の相談窓口、在宅なら訪問看護やケアマネジャー、自治体では障害福祉または保健相談窓口から始めます。制度名ではなく困りごとを伝えてください。


28.公式情報を確認するときの注意

制度の対象疾病、所得区分、自己負担上限、申請様式、必要書類は改定されます。検索結果の要約や古いPDFだけで判断せず、国と住所地自治体の最新ページ、受給者証に同封された案内を確認してください。


29.疾病・状態別に考える支援の組み合わせ

制度は病名だけで決めるのではなく、治療内容と生活上の支障を組み合わせて検討します。以下は典型的な整理例であり、個別の受給可否を示すものではありません。

29-1.神経・筋疾患

筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、パーキンソン病関連疾患、多発性硬化症等では、移動、嚥下、呼吸、意思伝達が段階的に変化することがあります。指定難病医療費助成、介護保険または障害福祉、訪問看護、訪問リハビリテーション、補装具、意思伝達装置、日常生活用具を組み合わせます。

機器が必要になってから申請すると、納品までの期間に生活が不安定になることがあります。視線入力装置やスイッチ等は、本人が操作方法を練習できる時期から専門職へ相談します。本人の発語が難しくなっても、理解力や意思が保たれていることがあるため、家族だけで意思決定せず、本人に合った意思確認方法を整えます。

呼吸機能が低下する場合は、非侵襲的陽圧換気、気管切開下人工呼吸、吸引、在宅酸素等の導入前に、本人の希望、家族の負担、夜間支援、停電対策、緊急時対応を話し合います。

29-2.膠原病・自己免疫疾患

全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、血管炎症候群等では、外見上は分かりにくくても、強い疲労、疼痛、呼吸器症状、腎障害、感染リスク等が生活を制限します。医療費助成だけでなく、就労配慮、家事支援、移動支援、障害年金、身体障害者手帳等を状態に応じて検討します。

免疫抑制治療中は感染症への注意が必要ですが、支援者の訪問を一律に避けるのではなく、手指衛生、体調確認、ワクチン、換気等を医療者と相談します。体調の波が大きい場合は、できる日だけを基準にせず、悪化時の生活状況を申請書類や支援計画へ反映します。

29-3.炎症性腸疾患・消化器疾患

潰瘍性大腸炎、クローン病、短腸症候群等では、頻回な排便、腹痛、食事制限、ストーマ、経管栄養、中心静脈栄養が必要になることがあります。指定難病医療費助成、高額療養費、ストーマ装具等の日常生活用具、訪問看護、障害年金、就労配慮を検討します。

通勤・通学先ではトイレへのアクセス、休憩、食事時間、医療物品の保管が重要です。外出時の緊急用品、オストメイト対応トイレ、災害時の装具備蓄も確認します。

29-4.腎疾患・透析療法

慢性腎不全では、通院透析、腹膜透析、在宅血液透析等により必要な支援が異なります。自立支援医療の更生医療、身体障害者手帳、特定疾病療養受療証、高額療養費、障害年金、通院支援等を確認します。

腹膜透析や在宅透析では、清潔な操作場所、物品保管、廃棄、停電・断水時対応が必要です。介護者だけに手技を集中させず、訪問看護、医療機関、機器業者との連絡体制を整えます。

29-5.呼吸器疾患

間質性肺炎、肺高血圧症、慢性呼吸不全等では、在宅酸素、非侵襲的換気、人工呼吸器、吸引が必要になることがあります。指定難病医療費助成、身体障害者手帳、障害年金、訪問看護、日常生活用具、介護保険等を組み合わせます。

酸素飽和度の数字だけでなく、会話、食事、排泄、入浴、移動時の息切れを確認します。火気管理、外出用酸素、予備ボンベ、停電時の機器、救急要請基準を支援者全員で共有します。

29-6.血液疾患・免疫不全

再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、原発性免疫不全症候群等では、輸血、感染予防、長期治療、通院頻度が生活へ影響します。指定難病の該当、医療費助成、高額療養費、傷病手当金、障害年金、就労・就学配慮を確認します。

感染予防のための制限は主治医の説明に基づきます。本人や家族が必要以上に孤立しないよう、オンライン参加や訪問支援の方法も検討します。

29-7.進行がん・終末期

痛み、呼吸苦、食欲低下、倦怠感、せん妄等が変化しやすいため、訪問診療、訪問看護、薬局、介護サービスの連絡を迅速にします。65歳未満でも末期がんは介護保険の特定疾病となり得ます。

本人が希望する療養場所は変化することがあります。在宅を選んだ後に入院を希望することも、入院後に自宅へ戻りたいと考えることもあります。意思の変化を失敗と捉えず、症状と家族状況に応じて計画を更新します。


30.申請書類を準備するときの実務

30-1.診断書を依頼する前

制度ごとに指定様式、作成できる医師、診断時点、記載期限が異なります。一般的な診断書を先に作成しても、申請に使えないことがあります。必ず窓口で最新様式を確認します。

医師へは、家庭内でできない動作、介助量、症状の頻度、就労上の制限、医療機器等を具体的に伝えます。「大変です」だけでなく、「吸引が夜間を含め1日何回ある」「休憩なしでは通勤できない」のように生活状況を整理します。

30-2.申請日の記録

窓口へ提出した日、郵送日、受付番号、担当部署、提出書類の写しを残します。原本を提出する書類は、提出前にコピーまたは画像を保管します。個人情報を含むため、保管先と共有範囲に注意します。

30-3.更新手続

受給者証や手帳には有効期限や更新手続があります。医師予約と診断書作成に時間がかかるため、期限直前ではなく案内が届いた時点で準備します。更新中に転居、保険変更、所得変更がある場合は追加手続を確認します。

30-4.不認定・支給量への疑問

不認定通知や支給決定の理由が分からない場合は、まず決定内容と基準の説明を求めます。診断書の不足、対象時点の相違、必要書類の欠落等、修正可能な点がないか確認します。審査請求等には期限があるため、通知書を保管し、必要に応じて専門家へ相談します。


31.費用を制度別に切り分ける

医療依存度が高い生活では、医療費以外の支出も増えます。すべてが公的助成の対象になるわけではないため、項目ごとに制度を確認します。

費用の例 確認する制度・窓口
診察、検査、薬剤 医療保険、指定難病、高額療養費
訪問診療、訪問看護 医療保険または介護保険、公費助成
介護サービス 介護保険、障害福祉
車椅子、意思伝達装置 補装具、介護保険福祉用具
吸引器、ストーマ装具 日常生活用具等
衛生材料 医療保険、自治体給付、自費の区分を確認
通院交通費 医療費控除、自治体の移動支援等
住宅改修 介護保険、障害福祉、自治体助成
ウィッグ・補整具 自治体のアピアランス助成等
電気料金 医療機器利用者向け助成の有無を自治体へ確認

領収書だけでなく、健康保険からの給付通知、自治体助成額、民間保険金をまとめます。医療費控除では補填された金額を差し引く必要がある場合があります。


32.支援者間で共有する情報

情報共有は多ければよいのではなく、安全と本人の希望に必要な範囲へ限定します。本人の同意を確認し、誰が何を知る必要があるかを整理します。

32-1.医療情報

主病名、併存疾患、アレルギー、処方薬、医療処置、感染症、急変兆候、救急時の受入先、主治医連絡先を共有します。薬剤変更や酸素設定変更は、古い指示書が残らないよう更新します。

32-2.生活情報

本人ができること、介助が必要なこと、生活リズム、食事形態、排泄、移動、コミュニケーション方法、家族の支援可能時間を共有します。できないことだけでなく、本人が自分で続けたいことも記載します。

32-3.意思決定

本人が希望する療養場所、急変時の対応、説明を一緒に聞いてほしい人、意思を代わりに伝えてほしい人を確認します。救急隊や新しい支援者が読んでも誤解しない表現にします。


33.子ども・若者から成人期への移行

小児慢性特定疾病、医療的ケア児支援、障害児通所支援等は年齢により制度が変わります。18歳または20歳を境に、医療費助成、診療科、相談支援、教育、就労の窓口が変わるため、直前ではなく数年前から準備します。

成人の指定難病医療費助成へ自動的に移行するわけではありません。対象疾病、診断基準、重症度、申請様式を確認します。小児期からの主治医と成人診療科が情報共有し、緊急時の受診先と処方継続を確保します。

学校卒業後は、日中活動、就労、生活介護、訪問系サービス、短期入所等を検討します。保護者だけでなく、本人の意思やコミュニケーション方法を新しい支援者へ引き継ぎます。


34.住まいを変えるときの確認事項

自宅改修、転居、施設入所、グループホーム利用では、医療機器と支援者が安全に入れる環境を確認します。

  • ベッドや機器を置く床面積
  • コンセント容量と延長コードの安全性
  • 吸引や処置を行う照明・手洗い環境
  • 車椅子の動線と段差
  • 救急搬送時の通路・エレベーター
  • 酸素使用時の火気管理
  • 物品配送と廃棄場所
  • 訪問者の駐車・入館方法
  • 災害リスクと避難経路

住宅改修は工事前申請が原則となる制度があります。賃貸住宅では貸主の承諾が必要です。退院を急ぐ場合も、工事後では給付対象にならない可能性があるため、事前に担当窓口へ確認します。


35.追加のよくある質問

Q21.指定難病の対象疾病は毎年同じですか

対象疾病、診断基準、臨床調査個人票は改定されることがあります。厚生労働省の最新一覧を確認してください。

Q22.受給者証が届く前に支払った医療費は戻りますか

認定された支給開始日以後の対象医療について、償還払いを申請できる場合があります。領収書と明細を保管し、自治体へ確認します。

Q23.指定医療機関以外でも助成されますか

原則として制度の指定を受けた医療機関、薬局、訪問看護事業所等での対象医療が助成されます。受診前に指定状況を確認します。

Q24.介護保険と障害福祉を併用できますか

介護保険優先の考え方がありますが、介護保険にない支援や不足する支援について障害福祉を利用できる場合があります。個別に市区町村が判断します。

Q25.難病でも要介護認定を申請できますか

65歳以上は原因を問わず申請できます。40~64歳は介護保険の特定疾病に該当することが必要です。

Q26.障害者手帳がなくても日常生活用具を利用できますか

一定の難病患者等を対象とする自治体があります。疾病と身体状況、用具の必要性等を確認します。

Q27.入院中に介護保険の福祉用具を借りられますか

退院日と利用開始日、住宅への搬入、保険給付の開始時期をケアマネジャーと事業者へ確認します。入院中の病室利用を目的とする貸与ではありません。

Q28.訪問看護師は家事もしてくれますか

訪問看護は療養上の世話と診療の補助が中心です。一般的な掃除、買物、調理等は訪問介護や他の生活支援を検討します。

Q29.訪問介護員にすべての医療処置を頼めますか

実施できる行為には法令上の範囲、研修、事業者登録、医師の指示等の条件があります。個別に事業所へ確認します。

Q30.夜間だけ支援を増やせますか

定期巡回、夜間対応型訪問介護、重度訪問介護、訪問看護等の可能性がありますが、地域の提供体制と支給決定によります。

Q31.家族が遠方でも退院できますか

家族の同居を必須とする制度ではありませんが、病状、緊急対応、訪問支援、本人の判断力等を踏まえ、安全な体制を整えます。

Q32.医療機器の電気代は助成されますか

全国一律の給付ではありません。自治体独自制度や機器別の取扱いを確認します。

Q33.障害年金の初診日が分からない場合はどうしますか

当時の医療機関、紹介状、健康保険の記録、お薬手帳等を確認し、年金事務所へ相談します。推測の日付で申請しません。

Q34.傷病手当金と障害年金は同時に受けられますか

同一傷病による給付では調整される場合があります。健康保険と年金事務所へ確認します。

Q35.治療を中断していても支援制度を相談できますか

相談できます。経済的理由、副作用、通院手段、家庭事情等を伝え、医療機関の相談窓口や自治体と対応を検討します。

Q36.本人が制度申請を嫌がっています

本人が何を不安に感じているかを確認します。申請を強制せず、費用、手続、個人情報、利用後の生活について分かりやすく説明します。

Q37.意思疎通が難しい人の希望はどう確認しますか

表情、視線、スイッチ、文字盤、慣れた支援者の観察等を組み合わせます。家族の意見を本人の意思と同一視しないことが大切です。

Q38.医療材料が足りなくなったらどうしますか

自己判断で再利用せず、訪問看護、医療機関、薬局、機器業者へ連絡します。平常時から発注日と予備量を決めます。

Q39.旅行や外出はできますか

病状、酸素・電源・薬剤、移動手段、現地の受診先を主治医と確認します。制度上のサービスを住所地外で利用できるかも事前確認が必要です。

Q40.何から準備すればよいか分かりません

最初に「今困っていること」「今後起こりそうなこと」「緊急時に困ること」の三つを書き出し、主治医、病院相談窓口、自治体、ケアマネジャー等へ共有してください。


36.支援を途切れさせないための最終確認

制度を利用していても、更新忘れ、保険変更、転居、入退院、年齢到達、所得変更によって支援が途切れることがあります。受給者証、保険証情報、認定有効期間、医師指示書、サービス計画の期限を一覧にします。

支援者が変わるときは、連絡先だけでなく、本人が大切にしていること、急変時対応、医療機器、家族の役割、未申請制度を引き継ぎます。書類を作ることが目的ではなく、本人が希望する暮らしを安全に続けられることが目的です。

まとめ

難病、がん、医療依存度の高い方の在宅療養では、一つの制度だけで生活全体を支えることは困難です。

指定難病医療費助成と高額療養費は医療費を軽減します。介護保険は日常生活上の介護や福祉用具を支えます。医療保険による訪問看護は、末期がん、一定の難病、急性増悪等に対して頻回な看護を提供します。障害年金は所得を支え、身体障害者手帳、補装具、日常生活用具は身体機能と地域生活を補います。

特に重要なのは、病状が悪化してから制度を探すのではなく、治療開始時、退院前、医療処置導入時、介護者の負担が増え始めた時点で相談することです。

また、制度の対象であるかどうかだけでなく、「本人がどこで、誰と、どのように暮らしたいか」を支援の中心に置く必要があります。医療処置の安全性、家族の介護力、緊急時の対応、経済的負担、本人の希望を総合し、医療・介護・障害福祉・行政が役割を分担することで、医療依存度が高くても地域での生活を継続できる可能性が広がります。


用語の脚注

※1 指定難病

難病のうち、患者数、診断基準、治療方法、長期療養の必要性等について国の要件を満たし、厚生労働大臣が指定した疾病です。 本文へ戻る

※2 臨床調査個人票

指定難病医療費助成の申請等に使用する診断書で、難病指定医が診断基準、重症度、治療内容等を記載します。 本文へ戻る

※3 軽症高額該当

重症度基準を満たさなくても、対象疾病の医療費総額が一定期間に一定額を超える場合に助成対象となり得る特例です。 本文へ戻る

※4 高額かつ長期

指定難病医療費助成を利用する人が長期に高額な治療を受けている場合に、自己負担上限を軽減する仕組みです。 本文へ戻る

※5 第2号被保険者

40歳以上65歳未満の医療保険加入者で、特定疾病により要支援・要介護状態となった場合に介護保険を利用できます。 本文へ戻る

※6 暫定ケアプラン

要介護認定結果が出る前に、予想される区分を基に作成する一時的なケアプランです。 本文へ戻る

※7 特別訪問看護指示書

急性増悪、終末期、退院直後等で一時的に頻回な訪問看護が必要と医師が判断した場合に交付する指示書です。 本文へ戻る

※8 在宅療養支援診療所

24時間の連絡、往診、訪問看護、緊急入院等に対応する体制を整え、所定の届出をしている診療所です。 本文へ戻る

※9 障害認定日

障害年金で障害の程度を判定する基準日です。原則は初診日から1年6か月後ですが、傷病による特例があります。 本文へ戻る

※10 補装具

失われた身体機能を補完・代替し、個々の身体状況に合わせて継続的に使用する用具です。 本文へ戻る

※11 日常生活用具

障害者、障害児、難病患者等の日常生活を円滑にするため、市区町村が給付または貸与する用具です。 本文へ戻る

※12 アドバンス・ケア・プランニング

将来の医療やケアについて、本人を中心に家族や支援者が繰り返し話し合う過程です。特定の結論を強制するものではありません。 本文へ戻る

※13 医療ソーシャルワーカー

病院等で、医療費、退院後の生活、福祉制度、就労、家族関係等の相談に対応する相談援助職です。 本文へ戻る

※14 レスパイト

家族介護者の休息や事情に対応するため、本人が短期入所・短期入院等を利用する支援です。 本文へ戻る

※15 医療的ケア

喀痰吸引、経管栄養、人工呼吸器管理等、日常生活に必要な医療的な生活援助です。実施者と条件は行為により異なります。 本文へ戻る

文責:きてケアプランセンター 内容確認日:2026年8月1日
本ページは一般的な制度案内です。診断、受給可否、支給量、自己負担、申請期限は、主治医、加入保険者および住所地自治体の最新案内をご確認ください。緊急時は救急要請を優先してください。